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Anorak citylights

レコードを買ってから開けるまでのドキドキとか、自転車のペダルを加速させる歌や夏の夜中のコンビニで流れる有線など些細な日常とくっついて離れない音楽についての駄文集 twitter ID→ takucity4

あの娘、Killerpass『まわりたくなんかない』を聴いたらどんな顔するだろう

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私はハヤシック君と話をした事がない。ライブハウスで目をギロギロさせていたり、物販前でオロオロしていたり、ステージでベースを弾きながら低空ジャンプを決めている場面は何度も目撃しているが、会話らしい会話は一度もした事がないのだ。しかし私にはハヤシック君がどんな奴で、どんな事を考えていて、どんな事に怒っているかが分かる。それは、このKillerpass『まわりたくなんかない』を毎日聴いているからだ。
このアルバムのリリックからは等身大のハヤシックという人間が見えてくる。それはパンクバンドのアルバムとして重要な事だ。ひとりの青年の徒然なる思いがパンクサウンドの上で飛び回る。実に痛快であり本質的だ。
特に私が心を奪われたのは『レイシズム』である。KiliKiliVillaのコンピレーションアルバムやTHE ACT WE ACTのスプリット盤にも収録された楽曲であるが、まさしくKillerpassを代表する名曲だろう。ドカドカ暴れまくる引っ越しおばさんの布団叩き的怒濤のドラミング、謎のエフェクトでフニャフニャに萎びたイカの一夜干し味のギター、ゴロゴロ喉を鳴らす野良猫ベースに部活帰りの中坊化したFAST FOODみたいなボーカル。レイシズムに対する感情を希望と諦め、相反する感情を込めて綴った最高のリリック、ストレートなポップメロディ。一聴して彼らと分かる、強烈に記名性のあるパンクロック。
彼はきっとひねくれていて、人見知りで、不器用だ。しかしながら強い気持ちと確かな審美眼を持ち合わせてる青年だろう。そんな彼の思いを増幅し撒き散らかすKillerpassサウンド、そのカラクリに迫りたい。
そもそもポップパンクというカテゴリーから彼らは始まった。
誤解を恐れずに申し上げるならば、ポップパンクとは様式美の音楽であるように思う。いかにフォーマットを忠実に再現するか、いかに様式美のクオリティを高めることができるか、いかにポップパンクとしてのポイントを抑えつつオリジナリティを発現するか。鉄板のフレーズ、カウント、メロディ、コーラス。私も大好きなフォーマットであることを断っておく。
音楽にとって「更新する」という行為はその面白味のひとつだ。どんなやり方だっていい。既存のフォーマットをナナメから見てみたり、新しい価値観や考え方を持ち込んでみたり、異ジャンルの要素や特徴を配合してみたり、ミックスや音響を著しくいじってみたり。やり方は様々だが、時代毎にそうした新しい何かを見つけ出したり、または繋げる事によって音楽は進化してきた側面がある。それが天然であろうが計算であろうが関係ない。例えばFruityが他のスカパンクバンドとは全くベクトルの異なる支持を受け続けているのもそういう事であるし、Going steadyやliteratureにも言えることだ。
ポップパンクはその様式美の素晴らしさゆえに、しばらくそうした配合が実現されてこなかったように感じる。現存する手札だけでポップパンクは最高なのだ。ところが、Killerpassである。彼らが愛するポップパンクに持ち込んだものは従来のそれにはない異質のものであった。メロディメイクこそユーロポップパンクのそれに近いが、ギターには謎のエフェクトが施され、ドラムは凶暴なD-BEATを叩きこみ、極めつけはまるでブルーハーツのようにストレートかつ剥き出しの日本語によるリリック。それが天然なのか計算なのか、バランスがよく分からないところもいい。この感覚はレーベルメイトであるCAR10にも共通するものがあると感じている。
Killerpassのファーストアルバム『まわりたくなんかない』はそんな新しいポップパンクが全開になった1枚だ。前単独作『Fun Herbivorous!ep』で設計されたサウンドスタイルを突き詰め、磨きあげ、こじらせた決定盤である。
ポップパンクのメロディに英語以外の言語が乗った時の楽しさもきっちり日本語でアップデートしている。全編を一緒に歌えて、踊れて、酒が進む。ポップパンクの機能性もしっかりキープしながらネクストレベルを作り上げた。
それは泥沼ポップパンカーからブルーハーツへの回答でもあるし、StikkyとQueersとroyal headacheとGoing steadyが様々な垣根を余裕で超えパーティを始めたようであるし、3人の青年の内緒の日記のようでもある。
私は名古屋という場所に行った事はないが、Killerpassのようなバンドが沢山の仲間に囲まれて活動ができる事実というだけで、素晴らしい場所である事を確信している。きっと彼らは近い将来、華麗なロングシュートを決めまくってライブハウスにいるあの娘の顔を笑顔にするに違いない。それがオウンゴールではないことを祈りながら。

THE SATISFACTION松澤くんインタビュー

9/2、I HATE SMOKE TAPESから単独カセットテープをリリースしたTHE SATISFACTION。今回はソングライターの1人であり、歌とギターを担う松澤くんのインタビューをお送りします。
インタビューは2部構成になっており、THE SATISFACTIONの結成から今までを振り返るバンドヒストリー的1部、松澤くんの人生を変えた5枚+1枚のレコード及び「はすep」に影響を与えた5枚のレコードに迫る2部。そんな形式であります。
THE SATISFACTIONの過去と現在、そしてこれからを繋ぐ本インタビュー、筆圧マックスでお送り致します。

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先ずはお馴染み私の駄文レビューを御覧ください。スルーOKです
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THE SATISFACTION「はすep」
くだらねえ と呟いてみたはいいが、あんまり好きな言葉じゃなかった。髪の毛を伸ばしても似合わないし、部屋だって7畳くらいはある。タバコは無理して吸っているし、本当は政治にも興味ない。体は見栄と矛盾と脂肪で出来ている。
昨日の練習でのこと。隣のスタジオから壁づたいに聴こえてきたバンドの音があまりにカッコ良くって、リッケンバッカーにターゲットマークなんか貼って気取って立ってるだけの自分が心底イヤになった。スタジオを出る時、なるべく気配を消して外へ出た。
もうTシャツの襟をわざと伸ばすのも、部屋の壁中にLibertinesの切り抜きを貼るのも、リサイクルショップでホラービデオを探すのも、練習だけのバンドごっこも全部終わりにしたい。
昔は誉め言葉のように聞こえた幾多の「キミ変わってるよね」、全部丸めて破いてゴミ箱に投げつけた。結局俺は何者でもないし、あんなにカッコ良い音を出す人間にはなれない。滑稽ながらに決意する。もうマトモになろう。
お酒で全部台無しになった日の夕方、誰かが忘れていった1枚のCD-Rから聞こえてきた歌。思わず停止ボタンを押してバンド名を確認する。「ザ・サティスファクション」黒マジックで殴り書きの文字。これ、あの日隣のスタジオから聴こえてきた歌じゃないか。
外ではセミがミンミン鳴いてた。俺は何度も再生ボタン押してる。壁づたいに聞こえた歌の詞が今はハッキリ聞き取れる。
''マトモになんかならなくてもいいぜ''
うるせーバカって思った後、すぐに泣いた。
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Anorak citylightsのタクです。本日は宜しくお願いします。
松澤(以下 松):THE SATISFACTIONというバンドでギターとボーカルをやってます松澤です。doodlesというバンドでもギター弾いてます。本日は宜しくお願いします!
THE SATISFACTIONの結成はいつになるのでしょうか?
松:結成は2009年です。僕が大学1年生の時に結成しました。元々THE SATISFACTIONの3人は高校時代の同級生で、バンドをやっていたのは広内だけでした。元メンバーに原っていう奴がいたんですけど、彼が「バンドやろう」って誘ってくれて。広内と原、僕と星野。この順番で集まり、この4人で始まりました。
集まったメンバーの共通項はあったんですか?
松:銀杏BOYZが好きだったって事ですね。漠然と銀杏BOYZみたいな音がやりたいという思いがありました。当初はライブハウス毎のブッキングで呼ばれてライブをやらせてもらってました。毎回お金を払ってライブに出ていたんですが、仲良くなりたいバンドがあまり見つからなくて困ってましたね。当初は下北沢でライブする事が多くて、初ライブも下北沢屋根裏(現:下北沢ろくでもない夜)のオーディションライブでした。それから3年ぐらい活動を続けていたんですが、2013年の夏に1度解散するんです。
時期的に、就職活動が理由ですか。
松:そうなんですよ。当時、ドラムの星野はほぼ脱退状態で。ずるずるドラムは叩いてくれているんですけど、就職活動があったから心ここにあらず状態でしたね。そんな状態だったので、なんだか僕もバンドやるのがつまらなくなってきてしまいまして。曲も全くできなくなっていたし。そんな折りに、ベースの広内がTHE NOWHERES'に加入したんですね。
UNDERGROUND GOVERMENT所属のパンクバンドですね。僕もファンです。
松:そうですそうです!広内は広内でTHE NOWHERES'で楽しくやりはじめた事でしたし、星野は就活だしで、THE SATISFACTIONは解けて散りました。
なるほど。銀杏BOYZに影響を受け活動を始めたわけですが、解散以前はプレイする楽曲も銀杏BOYZ直系だったのでしょうか?
松:自分達なりに銀杏BOYZをただ真似するのではなくて、彼らの綺麗な部分に影響を受けていましたね。というのも、銀杏BOYZ直系のバンドで滅茶苦茶な事をやるじゃないですか。そういうのは嫌だったんですよね。結局は同じなのかもしれませんが笑
コピー等はされなかったんですね。
松:演奏が下手過ぎてコピーできなかったんです笑 当初は元々広内が弾き語りで歌っていた曲をバンドでアレンジしてプレイしていたんです。今は僕もTHE SATISFACTIONの曲を書いてますけど、活動初期はソングライターは広内だけでした。
やはり明確にパンクがやりたかった?
松:はい、パンクがやりたいという思いがありました。少し話がずれるんですけど、僕の体には吉田拓郎の音楽が染み付いてるんですよ。
とても意外です。
松:ですよね笑 親父が吉田拓郎のファンなんです。幼少の頃から車の中でずっと吉田拓郎が流れてまして、逆に嫌いになってしまうぐらいだったんですね笑 反発しながらも、高校の時に親父のギターを借りて練習し始めた時に、どうしても吉田拓郎の曲が弾き心地が良い事に気付いて。歌謡曲というか、ポップスですよね。自分の根底にはパンクよりもポップスがあると思います。
お父さんの影響もあった吉田拓郎から、どのようにパンクに没入したんでしょうか?
松:きっかけはELLEGARDENです。本当はメロコアがやりたかったんですけど、技術的にできませんでした笑 そこから直ぐに銀杏BOYZに出会ったんですね。
エレファントカシマシやtheピーズはいかがでしょう?
松:ああ、もう大好きです。ダメな自分の背中を押してくれてます。
松澤くんの歌詞って割りとネガティブですよね笑
松:タクさん、ヤブさんと同じこと仰ってますね笑 自分では自分をポジティブ野郎だと思ってるんですが笑 なんだろう、パンクってやっぱりどうしようもない感じを歌ってると思うんですよ。良くも悪くもはみだし者というか、ダメ人間の気持ちに寄り添うというか。
吉田拓郎も凄く暗い歌を歌ってたりしますよね。
松:僕の歌いたい事、内側から出てくる事はそこなんですよ。コンプレックスだったり日々のイライラだったり。情けないかもしれませんが、仕方ないんです。
話を本筋に戻します。2013年の夏に解散し、再開はいつ頃に?
松:2014年の1月です。僅か半年での復活ですね笑 脱退状態だった星野が「またバンドやりたい」と言い出しまして笑 THE SATISFACTIONを解散以前と以後で一期と二期に分けるならば、一期は完全に広内のバンドだったと思うんです。10曲あれば8曲は広内が書いてましたし。でも、二期はもうちょっと民主的になったんです。 僕も曲をガンガン書くようになりました。活動再開後に録音した京都epも、僕と広内で半分ずつ曲を書いてます。
京都epは限られた流通であるにも関わらず、THE SATISFACTIONの名前を全国的に広める事になった名作だと思います。
松:ありがとうございます。僕達も何だかんだ長いこと一緒にバンドやってるんで、お互いに影響を受け合ってる節もあると思うんです。歌詞もそれぞれ2人で書いてるんですけど、世界観は共有できてると思います。名前が挙がった京都epなんですが、これは自分達で録音からミックス、ジャケットの制作まで行った完全にハンドメイドの作品になってます。手にとってもらえれば分かるんですが、インナー等意外と凝った作りなんですよ。これは星野が1枚1枚コツコツ作ってるみたいです。
星野くんお疲れさまです!笑 京都epなんですが、海外の超マニアックなパンクバンド等を知らなくても手放しで良いと思える感じが凄く良いと思っていまして。マニアックな聴き方をする必要がなく、ストレートに良い。
松:嬉しいです。恐らくはメンバーの引き出しが少ないだけだったりもするんですが笑 カッコつけるのがヘタクソなんですよ。京都epは活動を再開してから直ぐに作ったんです。と、いうのも活動再開後は今まで4人だったメンバーが3人になってしまったので、昔の曲が演奏できなくなってしまった。3人でやれる新しい曲を作るしかなかったんですね。そうして曲が溜まっていったタイミングで、THE FULL TEENZの伊藤くんが京都で打っている企画に僕達を呼んでくれたんです。僕達も彼らの気持ちに応えたかったところもありましたので、新曲を詰め込んだ京都epを作ったんです。結果的に僕達の名刺代わりとなるような音源になりました。
THE SATISFACTIONとしては初の京都でのライブ?
松:初めてでした。伊藤くんが誘ってくれた経緯なんですが、僕達の4人時代の音源をSHORT STORYの超さんがディストロしてくれたんです。その音源を大阪のコータさんって方が聞いてくれて、僕達を大阪での企画に呼んでくれたんです。その企画で対バンで出てたのがTHE FULL TEENZで。当時は今の彼らとメンバーが違うし、曲も違うし、伊藤くん、長髪でチャラ男風でした笑 そんな縁があって、THE FULL TEENZと友達になれたんです。
京都epの反響はいかがでしたか?
松:自分達でも驚くぐらい誉められました笑 SEVENTEEN AGAiNのヤブさんやA PAGE OF PUNKのツトムさんやTHE NOWHERES'のハギオさんも誉めてくれて、完全にミラクルだと思ってます。本当に妙な下心抜きで作ったんですよ。録音やミックスもグチャグチャでしたし、製作にも1ヶ月くらいしかかかってないんです。それで初期衝動感が出たのかもしれませんね。
松澤くんはTHE SATISFACTIONの他にdoodlesでもギターを弾いています。両者の住み分けや及ぼす影響はありますか?
松:住み分けはありますね。THE SATISFACTIONは僕が昔から聴いてきた音楽をアウトプットするバンド。僕、70's PUNKとかPOWER POPも大好きなんですけど、doodlesはそこをアウトプットするバンドですね。70's PUNK等は大学に入ってレコードを熱心に掘るようになってから好きになりました。doodlesはTHE SATISFACTIONが解散する2013年の夏に始めました。最初は4人いたのが今は3人になっていますが、僕らなりに一生懸命活動をしています。もしかしたら「ヒマニー」みたいな速い曲はdoodlesでの活動からの影響かもしれませんね。以前は絶対作らないタイプの曲ですから。
根本的に松澤くんの作る曲は歌ものなんですね。
松:そうなんです。速い曲を作るのは苦手かもしれません。
話は変わるのですが、今回リリースされる「はす ep」はI HATE SMOKE TAPESからのリリースになります。これはどのような経緯で決まったのでしょうか?
松:先ほどお話しました、THE FULL TEENZに呼ばれた京都でのライブにSEVENTEEN AGAiNが出てたんですね。京都epは当日発売したので、音源も何もないまっさらな状態でヤブさんにライブを観ていただいた直後、ヤブさんが「カセットテープ作ろうよ」と笑
実に1年以上前からのお話だったんですね。
松:そうなんですよ。何せ僕たちは当時のストックを全て京都epに収めた直後だったので、カセットリリースのために1から作曲しないといけなかった。京都epをカセット化する案もあったんですが、光栄ながらいただいたお話でしたし、全て新曲でカセットを作ることに決めました。そこからなんだかんだで曲が出揃ったのが今年の7月で。I HATE SMOKE TAPESのラインナップはめちゃめちゃ凄いですし、そこに自分達が加われるのは本当に嬉しいです。単純にSEVENTEEN AGAiNのファンでもありましたし。
I HATE SMOKE TAPESのラインナップは松澤くんと近い年代のバンドが多く集められています。
松:この前も代々木でsleeping aides and razorbladesとも対バンさせていただきましたけど、僕は単純に今の日本の若いパンクバンドが大好きで。KiliKiliVillaも生き埋めレコーズも大好きですし、自分達がその中に入っていけるのは本当に嬉しいです。解散前の僕たちはどこにも入れなかったんです。僕達、青春パンクってよく呼ばれるんですけど、青春パンクそのものでは無いと思うんです。事実、それ系のイベントに出ても馴染めなかった。ポップスにもなれないし、青春パンクにもなれない。だから今の状況は本当に嬉しいです。
今の日本の若いパンクバンドは、共通する空気を含んでいても音楽性は様々ですからね。
松:そうなんですよ。だから僕達もその端っこにいれるんです!笑
今の日本のパンクのある側面を象徴するレーベルのひとつとしてKiliKiliVillaがあると思うんですが、4月に新代田FEVERで開催されたKiliKiliVillaのコンピレーションアルバムのレコ発イベントにも出演されてましたね。
松:僕達コンピには入っていないのに、安孫子さんからオファーがきて驚きました笑 僕も未だによく理解できていないかもしれません笑 安孫子さんとは面識があったんです。Anorak citylightsでのインタビューやコンピのファンジンにも書かれている、安孫子さんがレーベルを起こすきっかけになったSEVENTEEN AGAiNのツアー。あのツアーの1箇所に先ほど述べた京都のライブが含まれていたんです。僕も安孫子さんに京都epを渡して、少しだけライブも観てていただけました。
なるほど。今思えば、あのFEVERでのライブも新作カセットへの伏線となるような内容だったかとも感じています。「はすep」の製作はどのように進められたのでしょうか?
松:はい。今まで僕達の音源は自分達で録音してミックスまでやってたんです。今回もそうしようと思っていたんです。演奏技術とレコーディング技術は比例して高めていきたいという思いがありまして。ところが、レコーディング当日にMTRが壊れている事に気付いたんです。急いでMTRを用意しなくてはならない状況だったので、THE NOWHERES'のハギオさんにMTRを借りたら、なんと録音まで手掛けてくれたんですよ。しかもレコーディングの全日程に来てくれて、ミックスまでやってくれたんです!
ハギオさんプロデュースになったと笑
松:そうなんですよ笑 他人に録音やミックスをお任せしてみたら、自分達は演奏に集中できる事に気付きまして笑 非常に納得いくものが録れました。THE NOWHERES'は大好きでしたしハギオさんも信頼できる先輩なので大満足ですね。収録曲については最初からカセットテープを作るために書きためたものばかりです。「アゲイン」を作品の頭に持っていったり、「優男」を中盤のおいしい位置に挟んだりと、曲を書きながら曲順も並行して考えていきました。
ところで「はすep」ってどんな意味なんですか?
松:そこを聞いていただいて嬉しいです笑 僕の友達に面来(オモライ)っていう奴がいるんですよ。THE SATISFACTIONの過去の音源は彼の名前が由来のオモライズムというレーベルから出ております。その面来がコーラスの録音に来てくれたんですが、実際録音する時に全然指示と違う、「はす」という単語を発したんです笑
「はす」ですね。
松:はい。特に意味は無かったみたいなんですけど、一応辞書で調べてみたんです。そうしたら、「はす」には斜という読み方があって。パンクって斜めから物事を見る側面もあるじゃないですか?そんな意味もあるし、「はす」は「破す」、強引に解釈すれば破壊するともとれる。妙に「はす」という言葉が気に入ってしまいまして、「はすep」と名付けたんです。
思わぬ言葉が自分達のキーワードになってしまった。
松:そうなんですよ笑 あとは、英語のタイトルがあまり自分達に馴染まない気もしていたので。
今回、I HATE SMOKE TAPESからリリースされるに当たって、新たにTHE SATISFACTIONを知るリスナーも現れることは間違いないと思います。
松:そうですね。僕達みたいなバンドがいるって事をもっと知ってもらいたいと素直に思います。僕達が今まで好きで聴いてきたような、例えば銀杏BOYZやエレファントカシマシ、theピーズを好んでいるような方々にも届いたら最高ですね。反響が楽しみです。宜しくお願いします!


続いては松澤くんのルーツ探訪編、2部です。
「THE SATISFACTION松澤くんの人生を変えた5枚(+1枚)のレコード」
①BUMP OF CHICKEN「ユグドラシル」
いきなり意外なセレクトです。BUMP OF CHICKENの代表作ですね。
松:これは僕が音楽を聴き始めるきっかけになったレコードです。それまでは音楽を聴く習慣が無かったんですが、友達に本作を借りて聴いてみて衝撃を受けました。「歌詞がストーリーになってるし凄い!」と笑 メロディも良いし速い曲もあるしで、バンプを出発点に色んなバンドを掘るようになりました。
②ELLEGARDEN「ELEVEN FIRE CRACKERS」
松:これは高校1年生の時にリアルタイムで聴いてハマりました。ELLEGARDENをパンクで括るかはさておき、初めてそれらしいライブを観れたのもELLEGARDENが最初でした。幕張の3万人くらい入るホールで、初めてダイブとかモッシュというものを体験して。この時、バンドをやる事を決意しました。バンプは難しかったけど、エルレならできた。そんな感じです。
③吉田拓郎「今はまだ人生を語らず」
吉田拓郎の作品でもコアなとこ突きましたね~笑 普通は「元気です」ですよ。
松:これはCDが廃盤になってて買うと凄く高いんです。「ペニーレインでバーボン」という曲に放送禁止用語が含まれていて再発できないんですね。吉田拓郎は僕がフォークや昔の音楽を新鮮に聴けるようになったきっかけになったんです。シンプルに吉田拓郎かっこいいと思えて。初めて自分で吉田拓郎のレコードを買ったのも本作でした。親父がファンだから家にレコードは全部揃ってるんですけど、どうしても自分で欲しくて。ちなみに本作に入ってる「シンシア」は銀杏BOYZの峯田さんが敏感少年隊でもカバーしていて、凄く自分の中で繋がった感があります。
④銀杏BOYZ「DOOR」
松:本作をTSUTAYAで借りて初めて聴いて衝撃を受けました。もうイントロからすごいじゃないですか。
ジャーン!あいつらが簡単にやっちまう30回のセックスより~!
松:ジャーン!グミチョコレートパインを1回読むって事の方が!って笑 しばらくDOORばかり聴いてました。僕は銀杏BOYZの曲でもロマンチックなやつが好きなんですけど、本作は特にその要素が強いように思ったんです。今はアルバムとして好きなのは「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」かもしれませんが、自分の人生に強く影響を与えたのは間違いなく「DOOR」です。日本語で歌いたいと思ったのも銀杏BOYZがきっかけです。あとは当時高校生で僕も童貞だったので、淋しい男の心を優しく受け止めてもらっていました笑
松澤くん的に2014年に出た「光のなかに立っていてね」「BEACH」はいかがでした?
松:とにかく聴いた事がない音を投げ込まれた気持ちでしたね。本作をライブで聴きたかったと強く思います。
⑤ffeeco woman「CLASSIC DESTROYER EP」
⑥SEVENTEEN AGAiN「NEVER WANNA BE SEVENTEEN AGAiN」
松:ある日広内がffeeco womanとSEVENTEEN AGAiNの音源を買ってきたんですよ。もう聴いた瞬間ヤバい!って思いました。ライブハウスに通うキッカケになりました。週末ライブハウスに行って出演者に話しかけたりして、そこから色々繋がることができましたね。ffeeco womanもSEVENTEEN AGAiNもメンバーに音源を渡してお近づきになれたり。あ、ffeeco womanとは10月に吉田将之さんの企画で、SEVENTEEN AGAiNとは彼らのレコ発ツアー名古屋編で対バンさせていただきますので是非!
僕が最後に観たffeeco womanは、まだメンバーに女性がいました。
松:今は男性のみになっちゃいましたね。ffeeco manですよ笑

「はすep製作に影響を与えた5枚のレコード」
①エレファントカシマシ「明日に向かって走れ-月夜の歌-」
ちょうど今日大宮に来るまで聴いてました!
松:エレファントカシマシ自体リリースしてるアルバムが多すぎて、全部を聴いてるわけじゃないんです。でも、このアルバムは大好きです。ストレートに自分に入ってくるんですよ。だってアルバムが始まっていきなり「突っ走るぜ明日も~!」ですよ笑 「そうだよな、走るしかないよな!」って気持ちになりますね。あとは、「昔の侍」という曲。これは名曲ですよ。むちゃくちゃメロディが良い。「風に吹かれて」も入ってますし、マスターピースですね。エレファントカシマシは特にメロウな曲が好きです。そんな感じで、「はすep」のメロディ作りにおいてエレファントカシマシからの影響を意識しました。「マッチ」という曲は特にそれが顕著だと思います。
②SPARTA LOCALS「セコンドファンファーレ」
松:ふと昔聴いてた音源を聞き直す時ってあるじゃないですか。SPARTA LOCALS、凄く引っ掛かったんですよ。ギターもドラムもとにかく狂気的で、キてる。THE SATISFACTIONに何か新しい要素を注入するとしたら、初期のSPARTA LOCALSですね。このヒリヒリした感じは凄く欲しい。僕達、ヘラヘラしがちなので、、笑
③DERANGEMENTS×FOUR TOMORROW「SPLIT」
これ、聴き倒したな~笑
松:FOUR TOMORROWは勿論めちゃめちゃカッコ良いんですけど、特に僕はDERANGEMENTSの日本語の使い方に影響を受けました。メロディックでドタバタしたパンクサウンドに日本語を乗せるバンドってあんまり見付からなくて。本作を見付けた時、「ひとつの正解出ちゃってる、やりたい事やられてる」感ありました。音も凄く大きいし、加速度が凄い。自転車ぶっ飛ばしたくなります。
本作以前のアルバムでは英語でしたね。
松:そうなんですよ、それはそれでカッコ良いんですよね。DERANGEMENTSはあんまりYouTubeにもライブ動画とか上がってないし、謎の立ち位置感もあります。
④THE NOWHERES'「But The City Turnning」
松:メンバーのハギオさんが今回の音源製作を手伝ってくれてます。僕、このアルバム凄く好きなんですよ。とにかく音が凄い。
めちゃめちゃラウドですよね。
松:めちゃめちゃうるさいのに曲が美しいんです。彼らの曲は凄く生活感があって、世界平和ならぬ四畳半平和を歌ってる。もうカッコ良いです。
THE NOWHERES'しかり、吉田拓郎しかり、THE SATISFACTIONは四畳半サウンドの正統な後継者であります。
松:色々な狭さが音に出てます笑
⑤theピーズ「とどめをハデにくれ」
松:僕は曲を作ってますけど、「日が暮れても彼女と歩いてた」を越える曲を作れたら死んでもいいです。とにかく曲を作るときにこのアルバムを意識していますね。そしてこのアルバム、9曲入りなのに53分もあるんです。
theピーズの作品の中でも異様なオーラを放ってるというか。とにかく重いし暗いし遅い。ズブズブ落ちる感じがある。
松:凄い9曲ですよね。こんなアルバム作ってみたい。とにかく憧れてやまないアルバムです。
ありがとうございます。以上でインタビューは終了です。お疲れさまでした。じゃ、ユニオン行きますか。
松:ありがとうございました。楽しかったです!ユニオン行きましょー!

Miles Apart Recordsインタビュー

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今やカセットテープというフォーマットは完全に息を吹き替えし、インディー界隈のみならずトップアイドルグループまでもが新譜をカセットテープでリリースする、そんな状況にまで至っている。
AWAやLINE MUSIC等、もはや消費している事実さえ忘れかねない程の利便性を持つフォーマットの登場等何処吹く風、スマートフォンやタブレット端末では聴くことすら叶わない、究極のアナログフォーマットと言えるカセットテープが我々音楽リスナーに与える豊かさは、音楽を消費し続てしまうことへの反発を思い出させてくれる。
近年のアナログフォーマット復権については大いに支持するところであるし、これからも続いてもらいたい。しかしながら、インディーやパンクの文化におけるアナログフォーマットはブーム以前から、翻って文化が誕生した瞬間からずっと絶えることなくリリースフォーマットの主流であり続けたわけなので、近年のアナログフォーマット復権とはまた一味違った文脈を持っていることが言えるだろう。
さて、話は逸れたが、ここ日本にもカセットテープをメインに扱うレーベルやディストロが控えめに現れ続けている。今回紹介するMiles Apart Recordsは2013年に活動を開始した新進気鋭のインディーレーベルだ。そして、カセットテープによるリリースを中心に行っている。
しかしながら前述の通り、Miles Apart Recordsも近年のアナログブームとは関係なく、純粋なるアナログフォーマットへの愛情のみでリリースを行っている。それはこれから公開するインタビューにおいても明らかだ。
JIVやKUNG-FU GIRL、Pictured Resort等素晴らしいタイトルばかりを矢継ぎ早に連発するスタイルは好事家達から絶大な支持を得ており、リリースタイトルは発売直後に即完という状況が続けている。今最もエキサイティングなレーベルのひとつと見て間違いはない。

BURGERにもGNARにも無いけれど、Miles Apartだけが持っているファンタスティック・サムシング。
今回はMiles Apart Recordsを主宰する村上さんのインタビューをお送りします。

Anorak citylightsの宅と申します。インタビューよろしくお願いします。
Miles Apart Recordsの村上と申します。よろしくお願いします。
まずは村上さんがレーベルを設立された経緯を教えてください。
結構長くなってしまうので簡単に言うと、友人のバンドのファンジンを作るために設立をしました。その時点では音源の媒体を出すとは思ってもいなかったので、レーベル名もMiles Apart Booksとなっています笑
従来から音楽に携わる活動をされていたのでしょうか?
20代前半は赤と黄が印象的な某小売店で働いておりました笑 ジャンルは洋楽全般を担当しておりました。現在は音楽とは離れた仕事をしております。
なるほど。レーベル設立に伴う青写真や理念はあったのでしょうか?
"90年代に2,3作品リリースして消えてしまったオブスキュアインディーポップレーベル"をコンセプトにしております。カタログナンバーがまさか20番までいくとは思っていなかったので、そのコンセプトも今では曖昧なラインになってしまいましたが..笑
Miles Apart Recordsというレーベル名の由来についても教えてください。
とにかく距離を感じさせる名前にしたかったという理由で、好きなバンドの楽曲から選びました。バンド名は言わなくとも、Anorak citylightsを読んでいる皆さまならきっと分かってくれるかと!
当初は長期的なスキームで活動を行う予定が無かったという事ですが、何故ここまでハイペースなリリースを行うレーベルになったのでしょうか?
昨年Cassette Tapes Clubシリーズを始めた時期からリリースのペースが早くなりました。恐らく、リリース作業に慣れてこなせる仕事量が増えたことによるためだと思います。あとはリリースしたい作品が多かったというタイミング的なこともあります。
リリースするバンドについて、明確な審美眼のもとに選ばれている気がします。バンドはどのように見付け、選んでいるのでしょうか?
Miles Apartリリースに関しては、自分が気に入ったバンドのみをリリースしております。基本的にはライブで観たりBandcampやSoundcloud等を聴いてバンドを探します。
先ほど名前が挙がりましたCasette tape clubシリーズについて聞いていきます。やはりカセットテープというフォーマットに拘りがあるのでしょうか?
Casette tape clubを始める以前から海外のバンドやレーベルから買っていたり、割と身近にあったフォーマットということでカセットテープを選びました。海外のカーステレオ事情が~諸々というよりも、単純にカセットが好きだからという理由が強いです。チェックしていたら知らないバンドにも出会える楽しさを知ってもらいたい、というのもシリーズ化した理由です。さらに集める楽しさを見出してくれたら最高です。
統一感のあるアートワーク、ナンバリング等非常に集めたくなるフォーマットでありますが、何か参考にされたシリーズだったりレーベルだったりはありますか?
Casette tape clubのジャケットを作る際に参考にしたものは特にないです。ただ海外のレーベルではシングルシリーズのようなものは当たり前のようにリリースされていて、そういうものを目にしたり購入したりして少なからず影響を受けていると思います。その中でも学生の時に出会ったArt of the undergroundのシリーズはとても印象的でした。余談ですが、Casette tape clubのジャケットが"りぼん"や"花とゆめ"等の少女マンガのコミックスの装丁の雰囲気があると言われたことがあり、”少女漫画 単行本 表紙"で検索してなるほどと思いました笑
確かに言われてみれば..笑 思わぬところとシンクロしています!ちなみに何故限定生産にこだわるのでしょうか?(KUNG-FU GIRLのテープの確保には苦労しました、、笑)
その節はすみません!笑 言ってしまえば、当初のレーベル・コンセプトの名残みたいなものです。非常に申し訳ないと思いつつも、限定生産で今後もいきます!笑
海外のレーベル等意識はされていないという事ですが、特にシンパシーを感じていたり、動向をチェックしている国内のレーベルはありますか?
なかなか同じようなシンパシーを感じるところは今のところありません。リスナーとしてはSecond Royal, Rallye, Fastcut, KiliKiliVilla, I Hate Smoke Records, 生き埋めレコーズ等をチェックしています。好きなレーベルやバンドはとても多いです。あと、東京だとsanm繋がりで知ったCONDOMINIMUMの活動はとても素晴らしくてカッコイイです。彼らの動向はチェックするべきです。
カセットテープというフォーマットの魅力や利点にはどんな物があると感じますか?
デザインやカセットテープの独特な音質も魅力かと思います。聴くのに手間がかかるしかさばるし..と感じる方も多いと思いますが、個人的にはそれすらも愛おしく感じます笑
凄く共感できます笑 村上さんが気に入ったバンドをセレクトしてリリースしているという事ですが、リリースバンドの多くはまだ活動経歴が浅かったり、リリース経験が無かったりとフレッシュなニュアンスを持っているように感じますが、意図されているところなのでしょうか?
Casette tape clubシリーズについてはそのことを意図してやっております。バンドを発掘し紹介するというのもテーマの一つです。リリースしたバンドが少しでも話題になって次に繋がっていったり、きっかけになって活動を続ける力になればそれだけで嬉しいです。
幾多のリリースをされた中で特に印象深いリリースやエピソードはありますか?
WallflowerのNYC Popfest用に作ったカセットは、好きなバンドと好きな漫画家コマツシンヤさんのコラボということもあってリリースの中では特に気に入っています。リーダーの土屋くんもコマツさんの作品が大好きなので、ジャケットを描いていただけるとなった時は2人で大興奮でした笑Pictued ResortのVo/Gtのコージさんとも2作目からの繋がりでレーベルでの付き合いが長いのですが、彼のバンドがリリースして話題になっていく様は見ていてとても感慨深いものがありました。9月にリリースするデビューEPも楽しみにしています。
少し意地悪な質問です。日本のインディーポップやパンクに対して、Miles Apart Recordsさんが思うことはどんなものでしょう?また、シーンに対して提示したいものや価値観はありますか?
押しつけがましいのは嫌なので、何か感じ取ってもらえることがあればそれはそれでOKです。あとは純粋にレコードやカセットテープの作品が好きなので、バンドやレーベルの皆さまに是非ともこれからたくさんリリースして欲しいという願望は常にあります。
今回、Miles Apart Recordsさんの主宰としては初となるツアーが開催されます。これはショーケース的な意味をもつツアーなのでしょうか?

出演する全バンドは何かしらの形で今までのリリースに関わっていますので、ショーケースというよりもレコ発的な感覚の方が強いです。
ありがとうございます!村上さんの思う、インディーレーベルを運営する醍醐味とは何でしょう?
やりたいことを自分の考えている形に出来るので、やりがいや達成感がとてもあります。ただ全て1人で運営しているので、嬉しいときや辛いときに誰かとすぐに共有できないという点もあるのでたまにチームやグループを羨ましくも思います笑
今後、単発のカセットリリースだけでなく、例えばレーベルとしてオリジナルアルバムのリリースを考えていたりしますか?
8月以降も2本カセットのリリースがあるのですが、全てEPですね。オリジナルアルバムはいつか作りたいと考えております!まずはアルバムを出したいと思えるバンドと出会うところからですね..笑
近年のアナログブーム、ひいてはカセットブームについてどう感じていますか?
新譜だけではなく、再発、初アナログ化などのリリースが多くとても嬉しい状況ですが、プレスや価格の問題はもう少しなんとかならないのかなとは思います。一過性のものとは言わずに、このアナログ/カセットブームが永く続いていって欲しいです。
僕も同感です。最後に、Miles Apart Recordsの今後の動きについて教えてください。また、読者へのメッセージをお願いいたします!
今後の予定としては、TOURSというイベントを8/9(大阪)、22と23(東京)で開催します!詳しくはこちらをご覧ください。(http://www.milesapartrec.tumblr.com/tours)
直近のリリースは、上記のイベントで販売するカバーコンピCDとPictured Resortの7インチです。8/25にはUSのFuneral Advantageのアルバムの日本盤カセットテープ。9月にはオランダの18歳の青年のソロプロジェクト"Goodnight Moonlight"のEP、大阪のバンドのEPの2タイトルをカセットテープで発売予定です。これからも、ほんの少し気にかけていただけたら嬉しいです!ありがとうございました!

ありがとうございました!最後に、Miles Apart Records村上さんのオールタイム・ベストレコードを選んでいただきました!!コメント付きです。村上さん、ありがとうございました!

(アルファベット順)
Beach Fossils - Clash The Truth
2010年代のリリースの中で一番聴いているアルバム。"ぼくの/わたしの clash the truth。"(※最高な一文を某レコード店の店主からお借りしました。)全てが好み過ぎて、リリース以降こういう音しか聴けない時期があり今でも再発し悩まされています。

The Durutti Column - The Return Of Durutti Column
アルバムの内容は言うまでもなく、もちろん最高なのですが..。眠る前によく聴くので、今では快眠へのスイッチとして機能しています。

Mega City Four - Who Cares Wins
始めて聴いた2ndに一番愛着があります。中古盤でも値が張るMC4ですが、聴く価値はとてもあるので見つけ次第確保して欲しいです。メロディックパンクにカテゴライズされていますが、インディー好きにもオススメです。

Modest Mouse - The Lonesome Crowded West
なんとなく高校生の時に買って聴いたら、USインディーとかいう曖昧な定義のジャンルにハマるきっかけになってしまった1枚。いつ聴いても1曲目からテンションが上がります。

Supercar - Futurama
青春的な1枚なので、スーパーカーは聴くだけでエモい気持ちになります。
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over head kick girlをキミは知っているか

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インターネットは音楽とローカリズムの密接な関係を変質させてしまった。
それは地方の片田舎にいながら、画面を通し一瞬で東京や世界とコネクトする事を可能にした。YouTubeやUSTREAMを通し、遠く離れた場所で起きている現象を直ぐに追体験する事ができる。僅か100枚も作られていない音源を翌日手にする事ができる。最早日本のポップシーンにおいて、産地に問わず作品のクオリティはある程度平準化されているのかもしれない。しかしながら、作者の生まれ育った地域環境がそのパーソナリティに与える影響は当然ながら不変であり、そういった意味でのローカリズムは薄まることなく残っているだろう。
ことパンクカルチャーにおいては、その傾向は強い。
元々、80年代に発生したハードコアパンクシーンにおいては、国や地域により明確なサウンドやスタンスの差違が存在した。それはパンクというマイノリティなカルチャー故の情報網の脆弱さに起因するものであったのだが(そして、その事実こそがパンクにおけるジンやDistroの存在に直結する気がしてならない)、ある程度流通が整備されたそれ以降の時代においてもパンクとローカリズムは切っても切り離す事ができなかったのだ。それはパンクカルチャーの鍵となる''レーベル''という存在が大きいように思う。良いレーベルというものは拠点となる地に根を張り、独自の価値観に基づいた活動を続けていくものだ。そして、パンクにおいて最も重要なのは人間同士の繋がりであり、ネットワークだ。特定の地域で特定の価値観を共有する者達が独自のシーンを自分達の住む街で作り上げる事は必然であった。
すなわち、インターネットの普及により少し薄まった印象もあるローカリズムだが、パンクカルチャーにおいてはローカリズムが存在する合理的な理由があり、その強さこそ魅力のひとつでもあるだろう。この仮説を念頭に話を進めていきたい。
北海道という地方がある。
そこから出現した幾つかのバンドには、彼らにしか持ち得ない音を鳴らすことに成功していた。eastern youthやbloodthirsty butchers、cowpersやkiwirollもそうであった。
各々がバラバラの音楽を鳴らしながら、どこか共通するものを音の奥に秘めていた。それはコードやルーツ、サウンドエフェクトというもので形容できるものではなく、演者の生まれ育った環境に起因するものとしか思えない圧倒的な叙情性と価値観、熱い魂を抑え込みながら音を鳴らすが否応なしに洩れてしまう熱気のようなものを無意識のうちに共有していたのである。その凄みはあまりに独自性が高く、他の地域から現れたバンドからは決して聴くことのできない類いのものであった。
近年の北海道パンクシーンにおいても新たなサウンド及び価値観の指針が生まれつつある。
over head kick girlというバンドがこの渦の中心だ。彼らは北海道にて現れた現役のパンクバンドである。2007年に結成し極めて局地的な支持を集めていたが、2010年に一時解散。その模様は後ほど紹介する目撃者たちの証言に詳しい。
彼らのパンクロックは時期により様々な色を見せるが、美しくも激しく歪んだメロディと目眩く展開力は共通しており、そのサウンドの裏側には激情と冷静の合間で苦悩する若者の気持ちが透けてみえる。それは演者の体から勝手に漏れだし、サウンドのニュアンスを支配するのだ。
奇しくも同じ北海道で出現し、彼らからの影響を公言するthe sleeping aides and razorbladesやNOT WONKにも同じニュアンスを感じ取ることができる。脈々と受け継がれている、非常に言語化し難いサウンドに宿る魂(それは色で表すならば、青だ)。愛憎入り雑じり美しくも繊細に歌われるメロディ、怠惰を叩いてうち鳴らす激しいバンドサウンド。北海道というローカルが生み出した新たなパンクサウンドの源流こそover head kick girlである気がしてならない。先人達の残り香を吸い込み振り払いながらも、彼らから始まった新たな時代があるのだ。
ここで、彼らの軌跡を振り返ってみよう。

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2007年、北海道釧路にてover head kick girl結成。2008年に初のデモCDを作成、発表する。初期のメンバーは以下だ。
ボーカル ギター/橋本
ベース                /宮崎
ドラム                /松館
2009年の春には、活動拠点を釧路から札幌に移す。合わせて橋本くん以外のメンバーチェンジを実施。
ボーカル ギター/橋本
ギター                /大塩
ベース                /栗山
ドラム                /紫竹
現ラインナップとなる。
ここから精力的な活動を実施。デモCDやスプリットを発表するも、2010年10月解散。最後の音源は I Hate Smoke Recordsのサンプラーであった。
しかしながら2012年10月、ライブイベント「MATSURI」にて突然の復活。以降、マイペースにライブ活動を続ける。

リリースしている音源は2枚のデモCD、1枚のスプリット、1枚のコンピレーションのみと非常に少ない。しかしながら、特にセカンドデモにおいては彼等のサウンドスタイルが一時の完成を迎え、強烈な完成度を誇る代表曲ばかりの名作となっている。ここに、その全貌を記しておく。

1st demo(2008)
1.intro
2.Groupie(Blender Cover)
3.Keep
4.love
5.made in night
6.everyday
7.RIDE
9.fcukin girl

demo 1.5(未発表)(2008)
1.STAY DOWN
2.Groupie(Blender cover)
3.love
4.made in night
5.under wear
6.dont believe me

ANGRY(Split w/BASE BALL KNUCKLE)(2010)
1.STAY DOWN
3.stalking boy

2nd demo(2010)
1.the sunrises for me
2.my word,your brain
3.MIND CONTROL
4.vertical fall
5.LUCKY

Make It Alright!(I HATE SMOKE RECORDS VA)(2010)
16.WANT

そして2015年6月、コンピレーションアルバム「While We're Dead.:The First Year」への参加を経て、新録を含めたディスコグラフィー「over head kick girl wants to kill you」をKiliKiliVillaよりリリース。

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over head kick girl wants to kill you

2015年6月10日発売
品番:KKV-016 1,800円(税抜)

1.NEW DAY RISING
2.DECEIVE ME
3.Bored
4.the sunrises for me
5.my word,your brain
6.MIND CONTROL
7.vertical fall
8.LUCKY
9.WANT
10.stalking boy
11.STAY DOWN
12.love
13.猿人類
14.under wear
15.made in night
16.everyday
17.RIDE
18.fuckin' girl
19.the sunrise for me
20.outro

如何にして彼らのサウンドは生まれたのか。

ここで、over head kick girlのメンバーであり、首謀者である橋本くんにその血肉となった10枚のレコードを選んでいただいた。ここにohkgサウンドのヒントがあることは明白だろう。

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The Bananas/Nautical Rock N Roll
橋本(以下 橋):2007年に今とは全く異なるメンバーでover head kick girlを結成したのですが、その当時影響を受けていたバンドの一つがbananasです。
ハートウォーミング、でもヘロヘロだしショボい。そういうバンドがやりたいなーと思っていました。The Bananasのアルバムはそれぞれ名曲と捨て曲がバランス良く入っているので、一番を選ぶのが難しいのですが、このアルバムに収録されている「Billy Rueben」はお葬式で流して欲しい曲です。

 THE GRUMPIES/WHO ATE  STINKY?
橋:こちらも、初期over head kick girlにおいてかなり影響を受けていたバンドです。常識というか、エチケットというか、倫理というか、僕が持っているそういう物のを全部無視した感じで、「あ、やっていいのね?こんな汚い音で」と、凄く衝撃を受けました。(もちろんメロディーや不協和音全開のギターにも)

このバンドの所為で、暫くは汚い音のバンド以外聴けませんでした。我々の1st demoも完全にこれに影響を受け、自分でMIXをしていたのですが(MTRで)ただひたすら音が汚くなる様に。とMIXしていたら、GRUMPIES以上に音が汚くなって「やったー!」と男泣きをしたのが思い出されます。
また、FYPとのスプリットに収録されているLita Fordの「Kiss Me Deadly」のカバーが最高すぎて泣けます。(Lita Fordの顔と動きは生理的に無理)

Smoking Popes/Destination Failure
橋:シカゴのSmoking Popesの3枚目のアルバム。
初めて聴いた時、サッド且つメロウなメロディーにやられてしまい、ベッドにうつ伏せになり腰をひたすら動かしていたかと思います。
当時は、ガチャガチャしているB級パンク的な事をやっていた訳ですが、Smoking Popesを聴いて、「フザケすぎたら周りの人に迷惑かけるし、もうちょっと真面目にバンドやろう」と思いました。
ちなみに、他のアルバムですが、我々の「STAY DOWN」という曲名はSmoking Popesからパクりました。
Weakerthans、GOOD LUCK、Radiator Hospitalやビリー睾丸もそうですが、日本人の僕にはこの類いのヘロヘロな歌い方が出来ないのが悲しいです。

Bent Outta Shape/Bent Outta Shape
橋:最初に聴いたのがRecessからリリースされている「Stray Dog Town」で、勿論そちらも凄く好きなのですが(1曲目から2曲目への流れが、死ぬほどカッコいい)
バンドに影響を与えているという点ではこっちになるかと思います。
叫んでいるけど輪郭のあるメロディや、興奮のあまり「ぎぃぇゃぉー!」と叫ばざるを得ないタイミングでやって来るシンガロングパート、何よりも「Starin` at the walls」を聴けば分かる通り、ギターリフの全てが最高で何度も鳥肌を立たせてしまってましたが、当時僕はKFCでバイトしていたので、鳥肌をそのまま揚げて客に出していました。
Recess経由でベントを知り(Recessの無料配布のサンプルに入ってた事から)、そこからRADONやBilly Reese Peters、Dan Padilla等のNO IDEA、ADD周辺のバンドを漁っていました。

Jesse/Jesse
橋:LEATHERFACEのフランキーがPOPE解散後にやっていたバンド。(多分)
こちらは、7インチの曲も収録している唯一のアルバムになると思います。(多分)
学生時分、LEATHERFACEには多大な影響を与えられていますし、バンドとしてはJesseよりLEATHERFACEの方が断然思い入れがある訳ですが、「フランキーの作品」という枠で考えると正直このアルバムが僕的には一番聴き安くて好きかもしれません。
「HANDFUL OF EARTH」を何度もパクってはボツになり、一度もちゃんとした曲になったことはありませんでした。

MEGA CITY FOUR/Shattered
橋:メロディックバンドの評価の中で、引き合いに出されやすいメガス。
多くの人が「神だ、天使だ」と崇めるメガス。
僕も愛して止まなく、停学覚悟で鼻にピアスを開ける一歩手前でした。
あと、wizが着ていた「Y」というダサいワッペンが胸に貼ってあるジャケットを古着屋で探していました。
我々の音楽の中にメガスの影響というのは正直あまり感じ取る事は出来ないかとは思いますが、僕がメロディックパンクを飛び火して色々聴く様になったきっかけでもあるバンドだし、僕自身も影響は凄く受けていて、僕も音楽を聴く時には、メガスを引き合いに出して考えてしまう事が多々あります。
アルバムとしては「SEBASTOPOL RD」が一番なのですが、(高校生の頃、修学旅行前日に近所のGEOでジャケ無しの物を280円で買い、修学旅行当日誰にも相手にされず、一人で聴き続けていた思い出もある)初めて聴いたのがこの曲で、当時my spaceにアルバム未収録曲がいくつか上がっていて、超名曲「Things Go Wrong」もその中の一つなのですが、「Shattered」を初めて聴いた時の衝撃が今でも忘れられないので、曲単位で上げさせて頂きました。

SPRAY PAINT/STILL EMPTY ME AND STILL MOVING CITY
橋:多分、メガスと同じレベルで、このバンドが存在していなければ今の様なバンドはやっていなかっただろうなと思います。
1年に一回ギターの耳コピに挑戦しては、出来なくて断念しています。

Doughboys/Home Again
橋:当時通っていた専門学校のすぐ近くに「ドリカム」という昭和歌謡やROCK/POPSみたいなレコードを取り扱っている普通のおじさんとおばさんがやってるレコード屋があって、その店に何故かこのアルバムとBlankの7インチやアルバム、Big Drill Car等の「絶対誰か身近な先輩が売ったやつだ」的な音源がいくつかあって、歓喜していました。全く整合性の取れてないレコード屋で買った、超整合性の取れているアルバム。
しばらくはこれしか聴いていなかったと思いますし、聴いてた時期が丁度2nd demoのレコーディングの時期でエンジニアの人に「Doughboysみたいにして下さい!」って言ったのを覚えています。
ちなみに、「Crush」に収録されている「Shine」と「Fix Me」はWizも作曲に関わってるらしいですね。当時は「めっちゃメガスじゃん!サイコー!」と思って聴いてたんですけど、何とも言えない気持ちになりました。

Challenger/Give The People What They Want In Lethal Doses
橋:Milemarkerのメンバーのサイドプロジェクトで、Milemarker休止時(多分)にJADE TREEからリリースされたアルバム。
正直僕、milemarkerは全く興味ないんですけど、このバンドに関しては耳につくウザいリフと天才的過ぎる展開に衝撃を受けました。専門卒の僕の頭脳じゃこんな曲作れる気がしません。
小さい時からもっと算数ドリルを沢山解いておけば良かった。

PLUG/RESOUND
橋:90年代に札幌で活動していたPLUG。
僕は平成生まれだし高校までは釧路に住んでいたから、このバンドが当時札幌でどういう扱われ方をしていたのかは全く知らないのですが、札幌にもI EXCUSEやINTERNATIONAL JET SETの様な素晴らしいメロディックパンクパンドがいたんだなぁ。と思いました。
勿論本人達はメロディックという意識でやっていた訳では無いと思いますが、
超展開から繰り出されるグッドメロディーや、同じ札幌という地でやっていた。という事もあり、一つの目標みたいな感じになっています。ちなみに、これに収録されている「Rain」という曲が超大名曲です。


以上が、over head kick girl橋本くんのルーツとなったレコード達である。勿論彼の音楽への興味は尽きる事がなく、このリストには膨大な続きがある。どうかライブハウスで、本人の口から聞いていただきたい。
最後に、over head kick girlを歴史の闇に埋めなかった勇敢なる好事家たちの証言をもって結びとしたい。僕の能書きだらけの駄文より、彼らの証言こそがover head kick girlの魅力を最大限に捉えている事だろう。一人目はover head kick girl最良の支持者、ハナマツトシヤくんだ。

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おはようございますこんにちはこんばんは。トシヤと申します。
お前誰だよ、って?札幌在住のお客さんです。たまーに企画もやります。
そんな野郎がでしゃばってこんなところでover head kick girlについて書かせていただけるということで、少しだけお付き合いください。
こういうの書くの初めてで、文才もないしつまんないでしょうけど。
仕事で函館から札幌へ出てきていた僕はパンクと出逢い、ライブハウスへ行くようになっていた。でも友達もいなくて、馴れ合いをしているお客さんに嫌悪感を抱いていた。要はひねくれ者だった。だからライブハウスに行っても常にボッチだった。誰とも目を合わさず、1人で酔って、1人でライブを楽しんで、1人で帰ってた。
ライブハウスに通いはじめて2年くらいだろうか、over head kick girlというバンドに出会った。初めて観たのはまだはっしーが高校生の時。ohkg釧路時代。
この時は正直まだあんまり彼らに興味を持ってなかった。というかちゃんとライブを観れてなかった。
その翌年、はっしーが札幌へ出てきた。するとohkgは四人になってた。
衝撃だった。あぁ、オレこういう音楽が好きなんだ、って思わされたのを覚えている。ほどなくして、はっしーが初めて声をかけてくれた。「よかったら聴いてください。」と、スタジオ一発録りのデモをくれた。まだほとんど知り合いもいなく、人見知りな僕は「ありがとうございます。」と言って貰った。粗い音のそのCD-Rを、僕は擦り切れるほど聴いた。
それからohkgがライブをやる、となったら出来る限り行った。仕事柄、毎度は行けなかったけど、出来る限り行った。はっしーは人見知りの僕にいつも声をかけてくれ、メンバーも紹介してくれた。当時、ドラムのケースケは既に挨拶は交わすほどの面識であったけど、カズキとしょうちゃんは全然。
おそらくこの時点で、メンバー全員と面識を持ったバンドはohkgだけでした。僕を舐めてもらっては困る。生粋の人見知りだから。
気付けば、はっしーとは個人的にも遊ぶようになった。本当に友達らしい友達をライブハウス周りで持ったのははっしーが初めてだ。
その後、僕は長期出張で半年ほど札幌を離れ、茨城へ。
その間にヤツラは解散した。突然。勝手に。
絶望した。なんで僕がいない間に勝手にやめてんだよ、と。翌年の話もしてたじゃねーかよ、と。
悔しかった。僕は一番のファンである自信があったから。でもまともに連絡も出来ず、そのままohkgは消えていった。翌年、はっしーは東京へ移住した。
2012年春。東京に遊びに行って、はっしーと会った。突然耳打ちしてきた。「秋にohkgやれそうっす。」
2012年秋。そして彼らは復活した。僕と同い年のJUNNくん企画。
当然札幌に戻っていた僕だったが、仕事でいけなかった。また悔しい思いをさせられた。
後日、映像で観たohkgのライブは凄かった。何度も観た。Pigstyがあんなになってるのは、僕は観たことがない。愛されているバンドだったのだ。僕だけじゃない、みんなが待っていたんだ。
でもそこに僕はいない。悔しい。
その翌月、待ちに待ったMATSURI。秋葉原で僕はohkgを観た。初めてライブというものを観て泣いた。ライブには数百回行ってるだろうけど、初めて。
そしてまたohkgは眠った。
その約1年後、僕は友人二人と共同で、初めての企画をやることになった。
僕は真っ先にohkgの名前を浮かべた。でも悩んだ。そもそもやる気はあるのか、1年前に復活してやって、またひょこっと復活して。いらんことばかり考えてしまっていたが結論は簡単だった。僕がohkgを観たいから出て貰いたい、だ。
正直に言うと、当日の彼らのライブはめちゃくちゃだった。けど、彼らの愛を感じた。そして周りの愛も感じた。
そして彼らはまた、ゆっくりと活動を再開した。
2014年の年末、レコーディングをすると聞いた。音源を出す、と。しかもKilikilivillaだ。
陰に埋もれていたohkgがついに陽の光を浴びることとなる。僕は単純に嬉しかった。やっと僕の大好きなバンドが世に認知される日がきたのだ、と。
そして先日、久々に彼らのライブを観に行った。KiliKiliVilla企画。楽しみ過ぎた僕は、記憶がほぼない。飲み過ぎて初めて記憶を飛ばしたのだ。
後日聞くと、ずっとダイブしてたと。よっぽど楽しみだったんだな、自分。その場にいたみなさん、ごめんなさい。僕は楽しんでいたみたいです。
でも悔しいよ。覚えてないんだもん。
現在5/31。まもなく彼らの音源が世に出る。
まだ僕は聴いていない。でも確信してる。最高の名盤だ。
次に観れるのは7/4札幌Pigstyレコ発。
あれ?僕の誕生日じゃないか。たまたまだけどブチアガったぜ。三十路突入アニバーサリーバースデイ、自分そっちのけでお祝いしてやるよ。でも記憶をなくさないことにだけは気をつけて、楽しもうと思います。

なーんて何書けばいいかわかんなくて、ただのオバヘと私、みたいな固い文章になっちゃいましたけどね。要はあんたら誰にも負けないくらいアイツらが好きで、誰よりも音源を楽しみに待ってる、ってことですよ。
普段からメンバー各々と遊ぶくらい仲良いのってたぶん未だにオバヘだけだし。でもそんなのはたまたまで関係ないんですよ。僕がover head kick girlの一番のファンですからね。
最後に、オバヘの四人へ。
また勝手に解散とかしたら許さないから!!!
ファン代表より。
ハナマツトシヤ


2011年2月、自分が初めてライブというものをした次の週だったと思うんですが、白浜君とELLCUBE近くにあった満龍(チャーシューめっちゃ冷たい)でラーメンを食べて、近くのミスドでハニーチュロ食べながらLatterman再発の話とかをしていたら、「もう解散しちゃったんだけどover head kick girlってバンドが札幌にいてさー加藤絶対好きだと思うよ!」ってタバコのカートンケースで作ったCDのケースなんて初めて見たので興味津々で話を聞いて、というのが僕とover head kick girlとの出会いです。その時はmyspaceでover head kick girlを再生し、パソコンのスピーカーにiPhoneのマイクを近づけ録音するという狂気じみた行動を自分が取るなんて思ってもいませんでした。
というようにover head kick girlはきっと誰かにとっての特別なバンドなんだなと思います。僕にとっても勿論特別なバンドなのですが、over head kick girlがブイブイ活動してた頃を知っていたり、リアルタイムでライブを観れて影響を受けた人にとっての特別さは計り知れないなと思います。そしてそんなバンドが時を超えて復活を果たし、音源がボイスメモからではなく、ラジカセで聴けて、ライブも観れるなんてマジたまんねーなーと思います。

P.S PIGSTYでオーバーヘッドが復活ライブをしてて、ハッシーさんと初めて二人で一緒にタバコ買いに行く途中急に、「加藤君、君は醜男だなあ。」って言われたのが未だにどういう意味だったのかわからず、端正な顔立ちをした先輩に普通に顔の作りを批判されたと思っているのですが、真意は神のみぞ知るというやつです。
加藤(NOT WONK)


小学一年生のころ、同じ地区のいばりん坊にポケモンカードと買ったばかりのゲームボーイのカセットを盗まれた。
学校休んだ子の家に、届け物を一緒に届けに行った時に盗られた。
今かんがえると、ほんとにひでーよなーって思いつつも、笑えるからまあ良いかなーって思う。
一緒に遊んでボケモンカードをやると、かつての自分の主力が相手の手札から出てくる度になんだかなーって子供ながらに思った。
そういうことばかりの人生って訳ではないけど、比率的にそういうことが多めに起きてる気はする。高校時代野球部に金玉殴られたのは今でも根に持っている。
多分こういう根に持ち、こんにゃろうめー!!って精神が自分やハッシーさんや白浜には人より強くある気がする。
順位的には1位白浜2位ハッシーさん3位自分だと思うけど。
この3人で飲んだ時はお互いにお互いの揚げ足の取り合いになるだけで、本当に開催するだけ無駄な時間を過ごしたなーって気分になることもある。無駄な時間を積み重ね過ぎて、ほとんど何も思い出せないくらいだ。
やっとハッシーさんの新しい音源を聴ける。バンドをやっていて大きく嫉妬することがあるのは、この二人に対してくらいだ。
だから二人のバンドの音源を聴くのは、ほんとうに楽しみ。全然知らない奴が彼らのことをすげー!!って絶賛するたびに、俺のがあいつらのこと知ってるから!!っていつまでも思っていたいなーって今は思う。
川田(CAR10)


私がover head kick girlに出会ったのは高校生の時でした。           
厳しかった部活を途中で辞めて、何をしたら好いかもよくわからずにフラフラしていた時期でした。 
衝撃的でした。
音楽について無知だった自分にとって、あの音はあまりにも新しくて、刺激的で、あの時私はover head kick girlに心を全て持っていかれてしまったかのように思います。
2010年秋、カウンターアクション横のサンクスの前で録り終わったばかりのWantを聴かせてもらったあの時に、かずたそが壁にもたれてしゃがみ込んで「俺たちもうダメかもしれない」と言ってたこと。
それから数日経って161倉庫でのライブが終わり、その直後に突然解散してしまったこと。
2012年、MATSURIでの復活、over head kick girlを待ちわびていた人達で溢れていたあの秋葉原スタジオリボレの熱気、涙、あの光景のこと。
全部覚えています。
  over head kick girlは、すごく近いようで、とても遠い、同じ地に立っているようで、雲の上の、憧れの4人です。
彼等に憧れ続けて、追いかけても追いかけても追い付けないし、ましてや追い越すこともできませんでした。
この時代に生まれて「あのバンドの全盛期だったあの時代に、あの曲が出来たこの時期に生まれたらどんなに良かったことか」 と嫌になるくらい何度も思ってきました。
しかし唯一、心から、over head kick girlの存在するこの時に生まれて本当に良かったと感じます。
そして今後また、大好きな彼等のライブ、新曲、進化する姿をこの目で見られることが本当に幸せです。

札幌ラブメッセンジャーズ!
はっしー、しょーちゃん、かずたそ、ケスケさん
「over head kick girl wants to kill you」
発売おめでとう!
秋栃 美沙(THE SLEEPING AIDES & RAZORBLADES)

 

over head kick girlは僕にとってのヒーローです。
ヒーローというものは、僕にとっては、というより僕が思うのは永遠の憧れであり、永遠に手の届かない高さの位置にいるものだと思い、と言いつつも親近感が湧くものなんだと思います。
ボーカルのはっしーさんは僕にとっては高校時代からヒーローでした。まだ会ったことないときはCDの中での存在だし、神格化的な物が勝手に進んでいました。
初めて会った時は自分が当時やっていたバンドで初札幌ライブをしたときなのですが(厳密にはもっと前に軽く一回会ってるんですがそれは無かったことにした方が話が上手く進むのでそうします)、知り合いが全くいなかった当時の自分にはっしーさんがずっと付き合って色んな話をしてくれた記憶が未だにあります。
何も自分は間違えなかったんだと。自分がデッドゾーンのラストシーンでのクリストファーウォーケンを演じて、そのシーンを自分自身が第三者目線で見てるような感覚というか。
ぼくがメガシティフォー好きだったのが理由で、はっしーさんもメガシティフォーが好きだから、ずっとそんな話ばっかして、未発表の音源とか聴かせてくれたのとか、今思えばああいうのがあったから自分も未だに譲らずメガシティフォー好きなのかなーと思います。
あと、山ほど映画を教えてくれたのとかも覚えてて、あれがあったから未だに自分は映画が、石井聰互が好きなんだと思います。今でもお互いが観た映画の感想を言い合ったり、知らないものを教えてくれたり、ずっとこういうのが理想だったんだ!って思っていました。
今でもそんな関係が変わらず続いてるのってサイコーだと思います個人的な思い込みじゃなければ良いけども笑
オーバーヘッドの音楽に対する愛は言葉じゃなかなか簡単に言い表せれられないので、あれなのですが、メガシティフォーよりも普通にカッコいいから僕は好きです。
なんというか、本当に支離滅裂で上手く言えないんですが、、兎にも角にも、はっしーさんは僕のヒーローで兄のような存在なので、また音源が出るってなると、もうそれだけで毎日が楽しくてしょうがないです。
白浜(THE SLEEPING AIDES AND RAZORBLADES)

over head kick girlとの出会いは6年前?だったかな?北海道へMODERN GOODDAYSやFREE KICKを観に行った時にハッシーが『僕over head kick girlてバンドやってるんすよ!』て言って1stデモを渡してくれたのが出会いでした。
当時はまだ企画をやり始めたばかりだった自分の企画名を知っていたり、各メンバーの好きなバンドがマニアック過ぎて驚いたのと、チャラい感じの若い子(ハッシーは派手な服装、カズキは頭が緑)ってイメージ、初めてライブを観たのは東京に来た渋谷乙、池袋マンホールで衝撃と同時にほんとに19歳かよ!?音源より全然ライブバンドで凄くかっこいいじゃん!て素直に思って、その日から一気に好きになったのを覚えてます。
その時に初めてライブ観たのに気づいたら最後の曲でヤブ君(SEVENTEEN AGAiN)とダイブしてた記憶があります。
北海道にも数回観に行ったりして、2010年10月に北海道の161倉庫にover head kick girlを観に行った時の次の日に突然の解散発表しててビックリしたのと悔しくなってる(まだ観たかった)自分がいて、数年経ってMATSURI開催するのを決めた時に、あの時の悔しさが凄くあったので1回目のMATSURIにはなんとしてもやってほしくてメンバー全員に1人1人に電話してお願いして、全員がOKしてくれた時は嬉しくて泣きましたね。
ライブの時も泣いてましたけど…。
気づいたら付き合いが経っている分中々うまく言いたい事がまとめられないんですが、ほんと衝撃的でかっこいいバンドなんすよね。
よく『あの頃は』良かったて言うけれど、過去には過去の良いバンドがいるように、今は今で、時代には時代の良いバンドが常にいると思った瞬間でもあり、日本の若手シーンてやっぱり面白いなと、きっかけを作ってくれたバンドの一つがover head kick girlです。
ハッシーから「レコード出してください」と言われたりもしてたけど、レーベルなんてやるつもりもなかったんで、こうやって数年経ってまさかkilikilivillaからover head kick girlの音源が、世に出回る時が来た!と思ったら素直に嬉しいです。
あの頃の青春と今の青春が沢山詰まった最高な音源(アルバム)が完成したね!
ハッシー、カズキ、ケースケ、ショウチャンほんとにおめでとう!
over head kick girlは永遠に青春で大好きです。

HiRO(break a school)

大体において16、17才の青年というのは裸同然で転がっているものである。この多感な時期に我々は裸同然で転がる事によって、その先の人生に起きる様々な苦難や試練に打ちのめされない為のタフネスを体に刻みつけているのかもしれない。つまり、この極めて限られた時期に裸同然で転がり続けた者のみだけが得られるそれが有るはずなのだ。
だから我々はそうしなくてはならないし、その先も延々と転がり続けなくてはならないのであるのであるのだな、、、。
っと初めて札幌でライブをした幾年前の真冬の午前2時、酩酊しながら謎の青春パンク論をストーブの前で暖を取りつつ1人唱えていると、聞き取れない何かを叫びながら彼は突然現れた。
ちょうど上記論述の様な16、17才の青年だった。ただ、彼は超裸だった。
裸同然ではなく裸一貫、極寒の地の真冬の男子便所を一人転げ回っていた。
彼は今日の企画に出ていた、まだ高校1年生にも関わらずBANANASかGRUMPIESだかのカバーをしてた様な、もしくはその様な曲を演奏してたOVER HEAD KICK GIRLのボーカルの彼だった。
その後私は、裸同然の青年と裸一貫の青年の相違点を幾つか考え、彼と私の人生がこの先特別に交わる事はきっとないだろうと思い札幌を発った。
そんな憶測とは関係無しに、我々は当然だったかの様に気がついた時には既にまた何処かで出会っていた。
それから僅かな時間が経った渋谷のライブハウス。たぶん橋本君の事を思い出せる限りに思い出し続けるだろう、今もそのライブは鮮明に覚えている。
首元をビリビリに引き裂いたJawbreakerのTシャツを着た彼の目は明らかにあの時とは全く異なり、研ぎ澄まされた輝きの様な怨念の様な、異様な異彩を放っていた。
最後の曲で私は誰も受け止めてくれないフロアーへ1人ダイブした。
凄まじい変化だった。何が凄まじく変わっていたのかを挙げれば切りが無い程のバンドの躍進であった。
誰の目にも見ても解る大きな変化を敢えて一つだけ挙げるなら、彼が服を着ていた事だった。
だけどその服も今にして思えば、何処かを転がり回ったかの様にズタボロだった様な気もする。
それからまた幾らかの時間がたった今、私と彼は我々が暮らす町で何かを探し求め二人彷徨っていた。
それは彼が求めているまだ絡まった新しい展望を紐解く為の道程の様でもあり、ただひたすらに旨いとんかつ屋を探し求めるただの友人との、ただ何と無く過ぎて行く時間の様でもあった。北海道の裸一貫の青年と私は気がつけば、ただの時間を共有するただの2人になっていた。
やはり人生は捨てたもんじゃない。
誰もが輝きを放ち続けたいと求め続ける限り、誰もがそれを放ち続ける事は願う限り可能であると思う。
しかし人が人々に成り、人々でありながら輝きを放ち続けられる時間は誰にも図れない。
して輝きを放てなかった時間は、暗くて誰の目にも映らなかった分だけ、次に輝きを放つ時、強く光る。
今回発売されたこの音源が、彼等の放つこれからの序章となることを切に願っております。

ヤブソン(SEVENTEEN AGAiN)

大人になる上で誰もが持つ感情をあるがままに叫んだ第一次OHKG。今作の新録曲で感じる第二次OHKGは、大人という通行手形を手に入れて歩き始めた社会で感じる葛藤や矛盾に対する感情をこれでもかと吐き出している。周りのクソみたいな大人達への怒り、自らの評価と周辺の評価の差異、思い通りにならないことへの歯痒さ、自分だけが悲劇のど真ん中に位置し、自分が居なくなったらここは終わるぜという間違った意識。あれだけなりたかった大人なのに、今は大人であることに反発している。この音源を聴き、OHKGは順調に大人の階段を登っているなと感じた。嬉しく、微笑ましく感じた。もはや親戚のおじさん状態である。まだまだ音楽的にも、人間的にも成長していく段階である。その途中過程でここまでのものを作り上げたOHKGは本当に素晴らしいし、今後に秘められた可能性を考えると正直ゾクゾクする。
Yuki SP(SP RECORDS)

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over head kick girlのストーリーは続く!

NOT WONK加藤くんロングインタビュー

2015年5月20日、KiliKiliVillaより1枚のアルバムがリリースされます。

バンドの名前はNOT WONK。北海道苫小牧に住む若干20歳の若者たちが作り上げたアルバムです。筆者も一足早くアルバムを聴かせていただきましたが、本当にとんでもないものが刻まれてしまっている作品だと思います。この1枚で何か大きなものが変わっていくのかもしれない。そんな予感と可能性に満ちた作品です。

リリース前夜の4月下旬、東京都渋谷区某所にてNOT WONK加藤くん単独インタビューを実施。KiliKiliVillaを主宰する安孫子氏、与田氏、福井氏のお三方に見守られながら程良い緊張感でインタビューはスタートしました。

NOT WONK加藤くんロングインタビュー、最後まで楽しんでいただければ嬉しいです。

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NOT WONK - Laughing Nerds And A Wallflower ...

アルバム発売おめでとうございます。アルバム、毎日聴かせていただいているのですが、恐ろしい出来だと感じています。大きな例えかもしれませんが、The StrokesやArctic Monkeys等、時代の節目に現れては若者の共感を一身に集めるようなスケールの大きい作品になっています。今とても面白い事になってる日本のパンクシーンの可能性を一段と高める事になるなんじゃないか、と思います。

安孫子(以下 安):うひぃーーー!笑

加藤(以下 加):ありがとうございます!今回僕達にとって初めてのアルバムを作らせていただく事になって、まず初めに目指したのは「やりすぎない」という事なんです。アルバムを作るから何か特別な事をしよう、とは思わなかったんです。普段通りのテンションで演奏して、録音をして、ありのままのムードをアルバムに落とし込みたかった。

今回、デビューアルバムにして17曲収録という大ボリュームになっているわけですが、この辺の意図についても教えてください。

加:初めは10曲入りのアルバムにする予定だったんです。デモCDの曲は収録せずに、新曲のみで作る予定だったんですね。というのは「デモCDの曲を入れるとアルバムとしてブレてしまうかも」という思いがあったんです。

ただ、僕が好きなスーパーカーのファースト(スリーアウトチェンジ)が19曲入りだったこともありまして、デモCD収録曲の再録を加えて曲数を増やしたんですね。19曲には届かなかったんですが、収録曲を増やすために『1994』や『Super City Three』、『Bunco』等を新たに書き下ろして録音しました!

新曲と既発曲が全く違和感なく溶け込んでいる事に驚きました。

加:主観的なところで見てしまうと少しはてなマークがつくところも正直あるかもしれません。でも、自分達を全く知らない方々がこのアルバムを聴いていただいた事を想定すると、何の問題も無いと感じています!

17曲も入っていると、曲順を決めるのも大変だった事が想像できます。

加:はい!まず、1曲目の『1994』はアルバムのイントロダクションっぽい曲が作りたくて新たに書いた曲なんです。1994年は僕の生まれた年ですね。弾き語りから始まるのは割とベタかもしれませんが、絶対にやってみたかった事です。

アルバム全体の構成なんですが、抑揚をつける事を意識しました。17曲も入っていると、ちょっと長すぎて最後まで聴けなかったり、中だるみを感じる事もあり得ると思うんです。それは絶対に避けたかったんですね。色々悩んだ結果、新曲を前半に集めて再録を後半に集めました。そうすれば昔から僕達を知っている方も楽しめると思ったんですね。

なるほど。僕はアルバムの前半もそうですが、後半の方がむしろ好きかもしれません笑

加:ありがとうございます!アルバムの最後に『Never Dye It Blonde』という曲が入ってるんですが、僕はどうしてもこの曲を最後に持っていきたかったんです。というもの、僕はリスナーとして「アルバム最後の曲」というものが好きで。デモCDの最後に収録されている『I Know』も元々はそんな思いから作ったんですね。『1994』からアルバムを聴いていただいたら、『Never Dye it Blonde』まで聴いてもらえたら嬉しいです!

既発曲については今回アレンジも大幅に変わっています。

加:既発曲については、ライブでやっているアレンジで録音しようと考えていたんです。ただ、デモCDの曲を収録する事が決まったのはレコーディングが開始してからだったんですね。実のところ、デモCDの曲は最近のライブでもあまり演奏していなくて。ただ、以前の録音より絶対に良くなる自信がありました。僕は自分の音源を毎日聴くんですよ。それこそ登下校の時とか。日頃から頭の中で色んなアレンジを考えていたので、それを煮詰めて具現化したんです。『I Know』は完全に違う曲になったと思います!

ちなみに、『I Know』は安孫子さんにもコーラスで入っていただいています。

女性コーラスの起用には驚きました。

安:凄く効いてるよね。あれによって更に見えてくるものがあるよね。

加:今回のアルバムはコーラスも頑張りました。僕、コーラスが多用されている曲って好きなんです。より曲が輝く感じがします。コーラスはなるべくたくさん入れたいんです。

そして、アルバムはKiliKiliVillaからのリリースです。

加:最初、安孫子さんからアルバムのリリースのお誘いを受けた時は、嘘だと思いましたね!笑 今だから言えるんですが、少し疑いました笑 ただ、お誘いいただく前から、「まとまった音源を作りたい」と思っていたんですね。I Hate Smoke Tapesからリリースしていただいたカセットテープも自分達で録音していたので、次回は誰かの力をお借りしたい願望がありました。

安:タイミングがバッチリ合ったわけだ。

加:お誘い頂いて、本当はふたつ返事でオッケーさせていただきたかったんですけど、少し考える時間をいただきました。

と、いうのもですね、安孫子さんはKiliKiliVillaについて「パンクのレーベル」と表現されて、そこが少しだけ気になったんです。僕たちはパンクが大好きですけど、パンクとは異なる発展性も求めていたので、少し迷ってしまいました。

安:うん、あれはあえてパンクという言葉を使ってみたんだよね笑 パンクの文脈にあるレーベルにしたい、という事だから。

加:パンクは勿論一番好きですし憧れではあるんですが、僕たちが最終的に目指しているのはそこだけではなくて。パンクバンドと評される事は本当に光栄ですが、少し気恥ずかしさもあります。

安:パンク観、音楽観みたいなものを一瞬で共有できればそれでいいんだよね。

パンクシーンに留まり続ける事の面白さも勿論あると思います。

安:うん、それはそれで面白いんだよね。そして、NOT WONKは清純かつあざとくない活動をしていくと思う。でも、多分はみ出てしまう。だから、色んなパンクバンドの子たちと話してもさ、みんなNOT WONKにめちゃめちゃ期待してるんだよね。

加:僕がカッコいいな、と感じているポジションは…例えば、Lostageですね!僕は彼らのアルバムをそれこそ1枚くらいしか持っていないので音楽的に語れるところは多くありませんが笑 大きい会場やフェスも出るし、札幌クラブカウンターアクションでの個人企画にも出ていたりしてとても憧れますね。KiliKiliVillaには彼らにも感じる発展性や間口の広さも内包されているので、最終的にリリースを決めさせていただいたんです。その流れで2014年末のKiliKiliVilla設立記念イベントにも呼んでいただいて。

安:ほんと嬉しかったなあ。

あの時のこと、凄く鮮明に覚えています。(※2014年12月28日KiliKiliVilla主催『不安と遊撃』において、NOT WONKは機材トラブルによりライブを一時中断する憂き目にあっていた。)

安:あの時は泣けたね。アンプのトラブルがあったけど、復旧後のライブが物凄く良くて。加藤君の直情的な部分も見れて、NOT WONKには申し訳ないけど、NOT WONKをもっと好きになった。

加:あの日はですね、そもそも前々日に『Laughing Nerds And A Wallflower』のレコーディングをしてたんですね。レコーディングのための練習も入念にして、バンドの状態はめちゃめちゃ仕上がっていたと思いますし、苫小牧の先輩達からも背中を押してもらって臨んでいたんです。なのに、蓋を開けてみたらアンプが壊れていて、ギターの音が出なくなってしまった。「よりによって何でこんな日に!」って思いました笑 僕はただ自分に腹が立って、情けなくて。

安:みんながあのトラブルすらドラマチックに感じたよ。俺は泣いて震えたね。

加:LINKの柳井さんには「俺はあのまま最後まで音鳴らなくていいと思った笑」って言われました笑 ほんと1日ヘコんでました。

話のベクトルを少し変えさせていただきます。NOT WONKはパンクバンドとしてキャリアをスタートしていますが、所謂パンクリスナー以外からも熱烈な支持を集め始めています。加藤君にとって、今の日本のパンクシーンはどう映っていますか?そして、その中でどうありたいのでしょうか?

加:僕はSEVENTEEN AGAiNが好きでバンドを始めたので、今でもパンクにはとても憧れているんですが、僕には良くも悪くも窮屈に感じる瞬間もあったんです。なので、パンクシーンをもっと広めていきたいし、切り開いていきたいんです!パンクではない音楽シーンにもパンクを受け入れさせていきたいし、パンクのカッコ良さを広めていきたい。

安:加藤くんはスーパー自然体だからねー。去年から日本各地でライブするようになって、色んなパンクシーンを楽しんでいるんだと思う。

加:それですね!そして、僕が思っている事とKiliKiliVillaが思っている事は近しいんだと思います。それは今回リリースされたコンピレーションアルバム(While We're Dead.:The First Year)のメンツから見ても明らかですし。単純に僕の好きな人達ばかりが収録されていますし。今まで僕達と共有できる考えを持っている人達が日本全国にいたんですけれど、接点が無くて繋がってこれなかった。最近になって各地の点が線で繋がりはじめていて、そうなれてきたのはKiliKiliVillaの影響も大きいんだと思います。

安:レーベル初めて本当に良かったなー笑 まだまだこれからです!

加:少し話を戻すと、僕は特定のシーンの方だけに聴いてもらうより、色々なタイプのリスナーの耳に届いたらいいな、と思っているんです!パンクカルチャーに精通していない方にも聴いてもらいたい。それができたらバンド冥利に尽きます。

なるほど。加藤君は北海道の苫小牧という、所謂非文化圏でバンド活動をしてきました。苫小牧という環境が自らの創作に与えた影響って何だと思いますか?

加:東京や大阪等の都市であれば、同じ音楽が好きな人達や同じ考えを持つ人達で集まれるくらいの文化的な土壌があると思うんですけど、苫小牧にはそれが無くて。MEGA CITY FOURはもっての外、GREEN DAYを好きな人でさえ僕は出会えないような環境でバンドをやってきました。やはり「わかってもらえない感」は大いにあるかもしれません。

そんな中で、僕は数少ない先輩方から「バンドとはこうあるべきだ」という事を演奏や音作り、ライブの進め方に至るまで教えていただきました。勿論1から10まで手取り足取り教えていただいたわけではなく、先輩方からの助言を参考にして自分達の音楽に落とし込んでいきました。ライブも頻繁に観ていただいて、常に評価や意見をいただいていました。なので、文化的な側面ではないところで、苫小牧から良い影響を受ける事はたくさんありました。

安:俺がNOT WONK2回目に観たのは2014年のMATSURIの時だったのね。彼らはスタジオライブでの出演だった。スタジオライブはさ、バンドの普段の音作りが丸裸になるから何気にちょっと難しいよね。より意識的な音作りを求められる。最終的にぐちゃぐちゃになってしまうケースも多々ある。でも、NOT WONKはスタジオライブでも音作りが非常に上手かった。これにはほんとビックリした。勢いだけとか、技術の稚拙さに逃げないんだよね。演奏や音作りが真っ当に上手い。

バンドとしての土台、地力がある。

安:そう!苫小牧で徹底的にサウンドメイクの基礎をつけているんだよね。だから、自主音源でもあんなに高いクオリティのものを作り上げることができている。

苫小牧でのバンド活動は非常に恵まれたものであるんですね。

安:うん、本当に恵まれてるんだと思う。

THE FULL TEENZの伊藤君が仰ってた、フジロッ久(仮)の藤原君とNOT WONKのライブビデオを観ていて、「なぜこんなにステージングに貫録があるんだろう」と2人で頭をかしげた話に通じるものがありますね。

安:うんうん。NOT WONKはパンクの持つある種のアマチュアリズムを迎合しないできたんだよね。

加:嬉しいです!結果的に苫小牧での経験でバンドとしての土台ができました。今後も苫小牧を中心に活動して、呼ばれれば日本各地でライブをしていきたいです。そういう形がベストです。

安孫子さんは生き埋めレコーズのコンピレーションアルバム『生き埋めVA』でNOT WONKを知ったんですよね?

安:うん、俺はkillerpass林くんの家で生き埋めVAを聴いたんだよね。あそこに収録されてる『Guess What I'm Thinking』1曲で虜になった。それから通販で購入したデモCDを聴いて、彼らのルーツがMEGA CITY FOURだと知って。もうキュンキュンきた笑 「あー!これ俺の大好きなやつー!」みたいな笑 一緒に作品作りたくなって仕方なくなった。

加藤君、アルバムを制作する上で具体的にインスピレーションを受けたバンドやアルバムはあるんですか?

加:そうですね。僕は皆さんが思ってるより音楽を深く掘れてなかったりするんですよ笑 それこそ今日もずっと自分達のアルバムを聴いていましたし笑 そして、僕は本当に今でもMEGA CITY FOURばかり毎日聴いています。色んな人に、「何聴いてるんですか」って聞かれるんですけど、いつも困ってしまいますね。去年ガッツリハマったのもCirca WavesとLiteratureくらいで。

なるほどです。やはり、MEGA CITY FOURがNOT WONKのルーツを辿る上で最も重要になってくるわけですね。

加:本当にそうです。MEGA CITY FOURって日本では局地的にとても愛されてますけど、イギリス本国では不遇の扱いを受けていたバンドじゃないですか。その辺も興味ありますね。

安:日本でも一時期は忘れられていたと思う。今でこそ再評価が進んでさ、音源も値段が高騰していたりするけどね。20年以上前のバンドだけど、やっぱりあのメロディの美しさに心掴まれるよね。

与田(以下 与):MEGA CITY FOURのファーストって何年のリリースだっけ?

加:1989年ですね!GREEN DAYのインディーデビューと同じ年です。

与:なるほどね。その頃のイギリスはStone Rosesが出てきて、数年間はマッドチェスターのムーブメントが起きていた時期じゃん?イギリスの若者でロックやパンクを聴いてる者なんていなくてなってしまった。みんなテクノ、ハウス、アシッドハウス漬けで。いわばMEGA CITY FOURは当時からすれば時代遅れだったというか。メロディが立っている真っ当なロックンロールなんて過去の遺物みたいに捉えられてたんじゃないかな。

一同:なるほど~!

安:面白いのは、2000年代の日本において、GOING STEADYがカバーした事などでMEGA CITY FOUR初期のカッコ良さを紹介できたと思うんだ。

でも、2010年代のここにきて、NOT WONKがMEGA CITY FOURの中期、ミドルテンポの曲が主流になってきた頃を凄く評価してるでしょ?「ここにきてそこを掘ったか~!」と笑 そこがこう、音楽の面白いとこだよねー。

与:MEGA CITY FOURはさ、80年代のThe SmithsとかNew Orderから継承するものが何も無かったんだよね。Stone Rosesにはそこがあったから。MEGA CITY FOURはUKロックの王道からは外れてしまったわけだよ。デビューがもう少し早かったり遅かったりすれば、また状況が変わったのかもしれない。

ただ、2015年の日本で苫小牧の若者が再びMEGA CITY FOURに光を当てている、それも中期の彼らを笑 面白いねー。

安:MEGA CITY FOURは20年以上前のバンドだけど、年月を超えて本当に素晴らしいです。

与:Stone Rosesにも勿論パンクのアティチュードが根底にあったんだけど、生み出した音楽が全く異なるものだった。UKロックの伝統を引き継ぎながら、ダンスミュージックとのクロスオーバーを果たして全く新しいものを提示したんだよね。それが当時の若者達の気分にガッツリはまった。MEGA CITY FOURは勿論凄かったんだけど、当時の時代のムードにははまらなかったんだね。それこそロンドンのライブハウスがどんどん潰れていったタイミングなんだよ。いかにロックミュージックが下火だったか分かる。

正直、NOT WONKはパンクシーンにおいて異端だと思う。全く新しいものを作っていると思う。でも、パンクが無ければNOT WONKはスタートしていなかった。それはStone Rosesも同じなんだ。だから、NOT WONKにはとても可能性を感じているよ。

今、NOT WONKを好きになったリスナーが、NOT WONKを入り口にしてMEGA CITY FOURを聴き始めてる現象も局地的にですが起こっています。

加:めちゃくちゃ嬉しいですね。バンド冥利に尽きます。wizが報われる。

安:そっか、でもこれからNOT WONKがもっと広がっていけば、その現象は拡大していくわけだもんね。面白いなー笑 けむちゃん、MEGA CITY FOURのアルバム売り払ってる場合じゃないよ笑

僕は彼らの同じアルバムをたくさん持っているので笑 さて、話を本筋に戻します。加藤くんは今回のアルバムでパンクシーン、ひいては日本のロックシーンにどんなインパクトを与えたいと思ってますか?

加:まずは、今回のアルバムを作る上でお世話になった人々に恩返しがしたいです。それは数字で表せるものじゃないかもしれませんが。今回、5月のタワレコメンに選出していただいたり、良い意味で自分が予想外の状況になっていて。

僕は曲を作ってライブができればそれが一番幸せなんですが、今回のアルバムが広がってくれれば単純に凄く嬉しいと思います!もし酷評だったとしても、「じゃあみんなにもっと良いって思ってもらえるものを作ろう」とは思いませんし。先輩方が僕達にとても期待してくれているのも本当に嬉しいんですし、その気持ちに応えることが出来ればいいかな、と。

なるほど。その辺のテンションはメンバー間で共有できている?

加:正直、それはNOT WONKの弱いところで笑  CAR10とか本当に羨ましいと思ってるんですが、NOT WONKはオリジナルメンバーって僕だけなんですよ。ベースのフジとドラムのアキムは10人目くらいのメンバーなんです。

お!では、話は前後しますがNOT WONKの結成秘話をお話しいただきたいです。

加:2010年に結成して、最初はHi-STANDARDとELLEGARDENのコピーからバンドを始めたんです。僕はギターではなくベースを弾いていました。2011年に初ライブをして、その後にFREEKICKっていう先輩のバンドの企画に出させていただきました。その時に、初めてオリジナル曲を披露したんです。そこで初めて自分の曲を評価してもらって。嬉しくてたくさん曲を作っていたら、残念ながら初期メンバーが脱退していったんです。それから何人もメンバーの入れ替わりがありまして。THE SLEEPING AIDES AND RAZORBLADESの白浜くんも一時期NOT WONKのサポートメンバーだったんですよ!笑

安:マジー!?笑

加:白浜君と一緒に数回ライブもやりました。当時彼はTHE SLEEPING AIDES AND RAZORBLADESの前身バンドをやっていて、イーストベイパンクに色々混ぜた感じの音を出していました。カッコ良かったですね~!

白浜君の肩書きは現THE SLEEPING AIDES AND RAZORBLADES、ex-NOT WONKになるわけですね笑

加:本人は嫌がるかもしれませんが笑 それから白浜君もサポートメンバーを卒業して、メンバーが僕ひとりになった時に見付けたのがフジとアキムだったんですね。最初ふたりは普通のお客さんでした。NOT WONKを観に来ていた後輩だったんです。

僕がよく出ているライブハウスの2階がスタジオになっていまして、よく練習で使っていたんです。ある日、隣の部屋からブラストビートが聴こえてきて、覗いてみたら僕の高校のジャージを着た奴がブラストビートを叩いていたんですよ笑

高校のジャージでブラストビート笑  

加:そこから僕が話しかけて、メンバーに入ってもらったんです。フジも僕のメンバー募集の誘いにすぐ食いついてくれて、入ってくれました。現メンバーが固まったのが2013年の5月くらいですね。それからすぐにセカンドデモCDを作りまして。

名作デモ『Wonk For Wonk』の前作ですね!

加:はい!あれはGreen DayとかErgs!に憧れて作った作品ですね。丁度その頃Snuffy Smileのバンドを知るようになりまして。NavelやLong Ball To No-One等ですね。そこからMEGA CITY FOURに行き着くわけです。

その話は置いておいて、そんな感じでふたりとの関係が始まったものですから、正直スタジオとライブ以外で会う事はあまり無かったんですよ。

と、いうことは今回のレコーディング合宿は・・・・・笑

加:はい、ほぼ初めてですね、ふたりと寝泊まりしたのは!笑

安:マジかーーーーーーー!!笑

加:良い経験をさせていただきました笑 ふたりには演奏以外のバンド活動を殆ど任せてこなかったので、これからはその辺もどんどん共有していきたいですね。

もしかして、好きな音楽もバラバラですか?笑

加:最近は共有できるようになりましたけど、以前は正直全く合わなくて笑 フジはニュースクール系のハードコアしか聴きませんでしたし、アキムはフュージョンとメタルを聴いていましたね笑 

それから、僕が白浜君にしてもらったように、自分の好きな音源をふたりに貸すようになりまして、徐々に価値観を繋げていったんです。

安:それにしてもフジくんもアキムくんも加藤くんの持ってくる曲に対する理解度は物凄いからね。面白いなあ。

そろそろ、インタビューも締めに入りたいと思います。

 与:最後に、俺も一言話していい?笑

お願いします!

与:パンクの精神性を持ちながら、高い音楽性を持っているバンドが日本ではしばらくアンダーグラウンドからしか出てきていない気がするのね。特に最近のメジャーなロックシーンにそんなバンド は出てきていない。だから、日本の音楽産業が一巡した今のタイミングでNOT WONKみたいなバンドが出てきたのはある意味必然なんだよね。自分達の方法論、自分達のパンク・アティチュードで、何か大きなものを揺り動かす可能性を秘めたバンドが現れた。みんな潜在的に求めてたんだと思う。

そして、今回のアルバムなんだけど、本当に理屈じゃないものになっているというか。ロックンロールの歴史では、若者がそのままの気持ちで音楽を作り上げた結果、とんでもないものが出来上がってしまう瞬間がある。それはBeatlesだったりStone RosesだったりClashだったりって事なんだけど、狙ってできるものじゃない。「こうなりたい」「ああなりたい」って気持ちだけじゃなくて、「これを伝えたい」という計算の無い本当の気持ちが盤に刻まれた時、結果的にとんでもなく多くの人の心を捉えるんだよね。反対側からモノを見るのでなく、真正面からストレートにとんでもない球を投げるバンド。音楽の知識の深さ等は一切関係なく、「音楽が好き」という純粋な気持ちに訴えかけるバンド。NOT WONKはそういう存在なんだと思う。それがロックのいちばんの魅力でもある、プレスリーの時代からずっとそういうバンドが時代ごとに飛び出してきてるのは偶然じゃないし、今の日本のロックシーンでは本当に貴重な存在。

加藤君、ロックは剥き出しの気持ちを歌った奴が一番偉いし、時代を変えるんだよ。全ては後からついてくるから。

パンクの諸先輩方からの期待を一身に受けているわけですが、今後のNOT WONKが本当に楽しみです。

加:ありがとうございます!本当に恐れ多いですが、自然体で頑張ろうと思います。まずは、アルバムのリリースと反響が本当に楽しみです。

今後もライブだったりリリースだったり色々仕込んでいるので、チェックしてください!

 

 リリースinfo

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NOT WONK “Laughing Nerds And A Wallflower”

2015年5月20日発売
品番:KKV-014 
2,000円(税抜)

 

While We're Dead.:The First Year (勝手に)全曲解説

 遅れ馳せながら、4/22にリリースされたKiliKiliVillaのコンピレーションアルバム『While We're Dead.:The First Year』に付属しているファンジンに、本名で参加させていただきました。考えて考え抜いて、自分に求められた役割みたいなものを勝手に勘違いしながら書かせていただいたのですが、蓋を開けてみれば他の執筆者の方々の寄稿文が遥かに面白く、僕は完全に負けていましたね。悔しい。

さて、ロックやパンクミュージックにおいて、コンピレーションアルバムが果たしてきた役割が非常に大きいものだという事は、周知の通りでしょう。音楽シーンにおける時代や特定の地域、コミュニティが持つムードを切り取り、同時代のリスナーに紹介する役割を果たしていました。また、何分「時代を切り取る」ことに正しく成功したコンピレーションアルバムには資料的価値が追加され、後世の音楽リスナーに受け語り継がれていくのです。

そういう意味で、本作はまさしくコンピレーション・オブ・コンピレーション。KiliKiliVillaが一番ドキドキしている音楽の地点、PUNKレーベルとしてのスタンスがはっきり映し出されており、音楽性は様々ながらどこか共通した価値観を持つバンドのみ収録されております。

これは当ブログが去年から提示してきた「新しいパンクシーン」とがっちりリンクしてくるものでありまして、そういった文脈からも今回ファンジンへの参加をお誘いいただいたのだと認識してます。
とまあ、何だか小難しい話になりましたが、純粋に良い曲ばかりの名曲集です。「お前はどのバンドが一番良かった?」なんて話で友達と盛り上がるのが一番の楽しみ方でしょう。是非アルバムを購入してみてください。音源とファンジン、最高のコンビネーションになっております。
今回『While We're Dead.:The First Year』のリリースを記念しまして、勝手に全曲解説をやります。勿論非公式なので書きたい放題、語りたい放題の有り様であります。
解説に移る前に、意味深なアルバムタイトルについて、由来を安孫子氏にお伺い致しました。『While We’re Dead.: The First Year』とは文字通り、安孫子氏がパンクから遠ざかっている間、パンクシーンが非常に面白い事になっていた事に由来しております。タイトルにあるWe'reとは一体誰なんだろう?  本当に自分か?それとも私達の周りのシーンだったりして?転じて、We're をYou'reに置き換えたら、世間に何か投げ掛けてる意味にも捉えられます。あなた達がシカトしてる間にこっちはこっちで楽しんでるぞー、と。結局のところ、タイトルの真の意味は受け取り方次第といったところなのでしょう。しかしながら、First Yearの部分については文字通り、『元年』です。これはKiliKiliVillaが今後もコンピ、ファンジンは続けていくという意思表示であります。要するに、死んでる場合じゃないぞ!って事なんだと思います。それでは、勝手に全曲解説はじめます。全ての遊び足りない好事家たちへ。
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①Not Wonk『Laughing Nerds And A Wallflowers』

トップバッターはNot Wonk。KiliKiliVillaよりアルバムデビューが決まっている、北海道のヤングパンクス超新星。当ブログでも昨年にインタビューを実施しているので、是非チェックしてほしい。4つのカウントで静かに幕が上がり、加藤が確かめるように歌いだす。徐々に熱を帯びるサウンドの向こう側にはwizの魂、彼の青い疾走のバトンを引き受けたのは、苫小牧に住む20歳そこそこの若者たちだったと誰が予想しただろうか。MC4とCirca Wavesのミッシングリンクなんて形容は決して言い過ぎでは無く、むしろ彼らの肩の向こうにはもっと広く大きなステージが見えてくるのだ。所謂パンク以外のリスナーの間でも既に話題沸騰、5月にリリースされるファーストアルバムの射程距離は遥か遠い場所を指している。

 

②Seventeen Again『リプレイスメンツ』

Seventeen Againは歌う事を止めなかったバンドだ。社会が変わっても、歳を重ねても、家庭が生まれても、彼らはバンドを続けていく事を決して諦めなかった。結果、結成10年後にKiliKiliVillaとの邂逅を果たす事になる。彼らに対するパブリックイメージは所謂メロディックパンクかもしれないが、彼らがその通り実行した事はただの1度もない。彼らは常に一貫して様々なポップミュージックの要素をパンクに落とし込んできたし、その方法論はしっかりと後続に受け継がれている。いよいよ時代が彼らに追い付こうとしているが、ここにきて更に脚力を高めた彼らに届く事はないだろう。僕らが遅いのではない、彼らが速すぎたのだ。

 

③The Sleeping Aides & Razorblades 『SILENT MAN』

00年代以降のグラムパワーポップに、新旧様々なポップミュージックのエッセンスを配合し独自のパンクサウンドを生み出す彼らだが、今回はシンセサイザーを大胆に導入。新機軸!まるで若りし頃のロバートスミスにYoung Governerが憑依したかのような激キラー膝抱え系グラムシンセパワーポップが本作の勢いを更に加速させている。I Hate Smoke Tapesからのカセット、DEBAUCH MOODからの7’ではまさしくスリーピング節としか言いようのない独自のパンクロックを展開した彼ら/彼女らであるが、その尖ったセンスの矛先がどんどんポップに振りきれている事は大変恐ろしい事実であり、来るセカンドアルバムのクオリティは本作が保証済である。

 

④Summerman『Littleman』

2014年、bandcampに突如アップされたデビューepが瞬く間に評判を呼び、一気にインディーシーンの有望株に躍り出たバンドだ。Cap'n jazz や近年の90's emoリバイバルと共鳴しながら、そこからはみ出る 確かな日本的歌心。パンクのメンタリティが爆発する彼らのライブは死ぬほど熱く衝動的であり、トリプルギターの全員合唱スタイルは初見で度肝を抜いた。 Four Tomorrow等日本の地下メロディックシーンとの親和性も高く、いそうでいなかった存在であることは間違いない。本作もハートウォーミングでありながらサビでは大合唱間違いなしのキラーチューンを披露、煌めくコードワークに導かれた先には穏やかな波の音と潮風。夏はもうすぐだ。

 

 ⑤Over Head Kick Girl『The Sunrise For Me』

NOT WONKもTHE SLEEPING AIDES AND RAZORBLADESも彼ら無しでは生まれなかった(かもしれない)、北海道の生ける伝説。執拗なピックスクラッチから一気に疾走するバーストメロディックパンク。単にメロディックといっても彼らの場合は所謂ただのそれでは無く、過剰なまでのサッドネスや、特異な展開、情念で泥々のメロディセンスを持ち合わせている。僕もスリーピング白浜くんより彼らの音源をいただき、衝撃を受けた。この感覚はあらゆる意味で早すぎた。ごく少数作成されたデモ音源は当然に入手困難、ジャパニーズパンクの新たなカルト名盤誕生かと思われたが、なんと6月にはKiliKiliVillaより編集盤の発売が決定、震えて待つ!

 

⑥Homecomings『FINE』

Heavenly発Pavement経由スピッツ行の電車で帰路に着く四人組、Homecomings。ジャングリーなギターポップ然としたデビュー作、より普遍的な歌の魅力を獲得したフルアルバムに続き、脱臼オルタナポップソングを提供。世間が彼らに期待する方向を絶妙にかわしながら、自分たちだけの方法論でしっかりとルーツに落とし前をつけている。一見パンクと紐付かない彼女たちの佇まいではあるが、福富くんのソングライティングは確かなパンクの素養を感じさせるものであり、ネオアコやギターポップもパンクを起点としたカテゴリーである。彼女たちが現行のパンクバンド達と活動を共にしているという事実そのものが、現行のパンクシーン最大のエポックであり、面白いところだ。

 

⑦CAR10『Tornade Musashi』

 今年初頭にKiliKiliVillaより発表したセカンドアルバムの興奮冷めやらぬCAR10の新曲で後半戦が盛大にスタートする。彼らの演奏はどんどんエクストリームになっていくが、川田くんの歌の焦点はどんどん絞れていく。あまり指摘されていないところではあるが、川田くんの歌は相当に魅力的だ。どんなメロディも彼の声を経由すれば妙な脱力感が生まれ、強烈な記名性がある。近年はGEZANとの邂逅やVenus Peter沖野氏からの激賞、カジヒデキの自主イベント出演等存在そのものがジャンルのクロスオーバーとなりつつある彼らだが、出自は日本の地下パンクシーンである。本作は彼らのパンクバンドとしての意地と地力を感じさせる素晴らしい勢いと発想に満ちたパンクソングである。

 

 ⑧MILK『I Always』

Vampire Weekend『A-PUNK』を二倍速で鳴らしたら、やがて目の前には田園が広がっていた…釣りだ祭りだ収穫だ!世界初、耳に優しい草食系ハードコアパンク!な4ピースカルテット。Summer Of Fanからの単独デビュー名作7'『MY E.P』も即ソールドアウト。CHEAP SKATEも真っ青なMORE CHEAP SKATEサウンドであらゆるジャンルを控えめに横切る、エンドロール中に席を立つ若者系サウンドがいきり勃つ1分間の白昼夢。このスカスカサウンドでモッシュの海を作り出す事ができるのは、世界的に見ても彼らくらいでしょう。

 

⑨Hi,How are you?『それはそれとして』

2014年春の京都旅行中、「清水寺に忘れ物をした」と自分でもどうかと思う嘘をぶっこいてホテルを脱出、Hi,How are you?のインストアライブを観た。思いついた事を喋りながら、悠々と歌をうたう原田くんを見て、十代の頃街に出てひとり考えていたとりとめのない事や、どうでもいい出来事をいくつか思い出して、なんだか家に帰りたくなったのだ。シンプルな弾き語りながらパンクの素養に溢れているであろうハイハワの歌は、バンドサウンドだらけの本作においても、浮くどころか気の利いたフックとして機能していて何だかホッとする。生活を歌にしたり、歌が生活だったりする原田くんのバランスや音楽との向き合い方は、さながら曽我部恵一さんのようだ。多作なところも含めて。

 

⑩Odd eyes『All Time Favorite』

アメリカのSST、日本のless than tvのバンドに見られた「ハードコアパンク+アルファ」を地で行くストレンジパンクバンドOdd eyes。Summer Of Fanからの7'において、「同じバンドで疑似スプリット盤を作る」的驚異の発想を見せている。パンクの枠には到底収まらない情報過多なストレンジサウンドには様々な分野からのゲスト参加も多く、その支離滅裂な音楽性も相成り、ボーダレスな孤高の立ち位置を持つ。京都PUNKシーンの懐の広さを象徴する存在であり、あらゆる人脈を巻き込んで吹き飛ばす強烈なエネルギーがある。なによりカベヤくんの言葉はパンチラインだらけで非常にかっこいい。彼は間違いなく言葉の人だと思う。

 

⑪killerpass『レイシズム』

僕が最後に観たkillerpassは(もう数年前だが)ドタバタポップパンクサウンドに自前のスペイン語でまくし立てるように歌う林さんが印象的であった。少し前に出たファースト7インチでは謎のサウンドエフェクトを装備、歌も日本語に様変わり、さながらShock Treatmentの平均身長が165センチになってBURGER RECORDSから復活作をリリースしたかのような痛快具合だったのだ。恐らく林さんは様々な国のポップパンクを泥沼のように掘ったあげく、「ポップパンクは母国語で歌う事が一番カッコいいんじゃないか」という結論にたどり着いたのかもしれない。リリックについて、僕はタクという苗字であるため中国や韓国の方と誤解される事が多く、それはそれで全然構わないのだが、人一倍レイシズムというものに対して考えることが多かった。いつの日か無くなってくれって何度も考えた。これは僕の歌だと思うんだ。

 

⑫Suspended Girls『The Sun Wind In Summer Zeal』

ポップパンク大国日本が誇る巨人達で結成された広島のポップパンクバンドのミラクルポップチューン!ポップパンクの様式美を突き詰めるとオリジナルが生まれるという、世界でも類をみないほど開かれたポップパンクだ。CAR10やHomecomingsと並列して、Suspended Girlsも入ってしまうところが本作の面白味のひとつだ。むしろ、この90'sスタイルのポップパンクはKiliKiliVilla安孫子氏の重要なルーツであり、このバランス感覚こそ安孫子氏の提示する価値観のひとつであるように思うのだ。同じ価値観を共有できるパンクミュージックを、世代を越えた形でコンパイルする。狙いは大成功といえるだろう。また、killerpass~Suspended Girlsの流れも個人的に秀逸。ポップパンク親子夢の共演である。

 

⑬Link『Douglas』

エンドロールを飾るのはLink。90年代の終わりに横浜から現れ、日本のパンクロックシーンのど真ん中を走り抜けた彼らが20年後の日本で安孫子氏率いるKiliKiliVillaと合流したことは非常に意義深い。紆余曲折あり1度は足を止めてしまったが、本作における彼らの佇まいはとてもフレッシュであり、一巡した新しいパンクシーンで彼らが新たなポジションを獲得していることは本当に最高の事実である。今まで散々若いバンドについて書いたけど、世代とか関係なく共有できる者同士でとことん楽しもうよ!って事だと思う。1曲目のNOT WONKと同じ空気感をシェアしており、Linkも彼らのように新しい気持ちで無邪気に音楽を奏でていることが伝わるロックンロールパンクは、本作のエンドロールという大役を最高の形で果たしているのだ。

 

 

 

 

 

角田くん(And Summer Club)×伊藤くん(生き埋めレコーズ)インタビュー

 4月29日に生き埋めレコーズよりデビューEPをリリースするAnd Summer Club、今や日本のインディシーンにおいて熱い視線を一身に受ける彼らですが、今回はソングライターである角田くんと、生き埋めレコーズの首謀者のひとりでありTHE FULL TEENZとしても活動する伊藤くんのチャットインタビューを公開します。知られざるAnd Summer Clubの誕生物語、音楽的ルーツ、生き埋めレコーズとの出会い、伊藤くんの性癖まで、包み隠さず語っていただきました!

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 (左端が伊藤くん、左から3番目が角田くん)

 

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『Superdash』

ヘビーハワイポップを自称する彼らだが、当然アロハシャツは着ていないし日にも焼けていない。しかし、ヘビーハワイポップバンドは現れた。それも、南国では無く大阪からである。口笛を吹き、潮風を纏いながら、猫を撫でるかのように鳴らした轟音のポップソングはあの子のスカートの隙間を抜けて遥か遠くを目指す。それはSTIKKYとBEACH FOSSILSが時を超えて繋がった瞬間であり、放射能で泳げなくなった未来のワイキキビーチで鳴らされる毒まみれのテーマソングでもある。

ある種の狂騒めいた盛り上がりを見せる日本のインディーポップシーンにおいて、「夏」を名前に掲げた彼らが持つパンクの心は強烈なカウンターパンチであり、聴衆をYoutubeからライブハウスへ誘う最後の切り札だ。ヘビーハワイの波音は極めて大音量、それもノイズの向こう側で強烈なリヴァーブを纏いながら聴こえてくる。このアルバムをイヤホンで楽しんだなら、次のアクションはもう決まっている。ライブハウスで本作を大音量で聴き、残る耳鳴りの向こう側で夏を見付けよう。

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 宜しくお願いします!

角田くん(以下 角):宜しくお願いします!

伊藤くん(以下 伊):宜しくお願いします。今日は頭冴え渡ってます。

角:笑 俺はビール飲んでます笑

いいですね、ダラダラやりましょう~!And Summer Clubって実は謎が多いバンドなんじゃないかと思ってるんです。ネットで検索しても詳細なバイオグラフィーが出てこないし、メンバーの名前さえ出てこない笑 まずは結成の経緯から教えてください!

角:こういうのちゃんと話すの初めてなんで緊張します。And Summer Clubの結成は2013年です。今僕は22歳なんですが、大学1回生、19歳くらいの頃からギターのぐるぐるとはバンドをやってたんですよ。そのバンドのメンバーが僕とぐるぐる以外全員抜ける事になってしまったんです。途方に暮れていた時に、今ベースを弾いてもらっているチャーケンと出会って、And Summer Clubを結成しました。

(若いな…)伊藤くんはおいくつでしたっけ?

伊:僕は21歳ですね。角田さんのひとつ年下になります。

(もっと若い…)当初からメンバーは固定されていたんですか?

角:ドラムだけ変わってます。最初は僕の友人でありイラストレーターである田中って奴に無理やりドラム叩いてもらってました笑 今はごろうって奴にドラム叩いてもらってます。東京でのライブに、大阪から自転車で向かうヤバい人ですね笑 僕とぐるぐるが同い年、チャーケンとごろうが伊藤くんと同い年ですね。

バンド名はどんなニュアンスで命名したんですか?

角:恥ずかしいんですが、アメリカのThe Strange Boysってバンドのアルバム「And Girls Club」に由来してます。Girlsって名乗る事が恐れ多かったので、僕にとっての「女の子」を象徴する「(500)日のサマー」からSummerを引用し、And Summer Clubという名前になりました。

伊:良いエピソードだなー。

角:バンド名変えたいなー笑

眩しいエピソードですね。And Summer Clubは雑多な音楽の要素を含んでいると思うんですけど、特に影響が色濃いバンドってあるんですか?

角:メンバーが共通で好きなのは、Mac Demarcoですね。And Summer Clubの曲を作る時はMoonheartsやCaptured Tracks、Recessや最近のUSインディに影響されているつもりです!あと、友達のバンドに影響を受けることも多いですね。

伊:このラインナップにRecessが入るのがAnd Summer Clubっぽいですね。

角:CAR10の川田さんに教えてもらってからめっちゃ聴いてる。

結成して間もなくデモCDが出て話題になったタイミングで僕はAnd Summer Clubを認識したんですけど、伊藤くんがAnd Summer Clubと出会ったのはどのタイミングですか?

伊:初めて知ったキッカケは菅沼くん(生き埋めレコーズ、THE FULL TEENZ、sprintklub)に教えてもらった事ですね。菅沼くんはCAR10の川田さんのツイートでAnd Summer Clubを知ったみたいです。実際に聴いてみたら、今まで関西にはいなかったタイプの音で、尚且つ僕と年齢も近い事が分かってとてもビックリしました。僕は菅沼くんと二人で『MIDSUMMER SPECIAL!』っていう企画を不定期で行っているんですけど、2013年の11月に開催した回にAnd Summer Clubも出てもらったんです。それが初対面ですね。

角:あの日楽しかったな~。

And Summer Clubは本当に結成してすぐバンドマンの間でも話題になってたんですね。

伊:多分そうだと思います。スタジオの練習音源がBandcampに上がってて、そこから広がった感じですね。

角:iphoneのボイスメモを使って、できた曲をネットにアップしまくってたんですよ。懐かしい笑

角田くんは『MIDSUMMER SPECIAL!』に参加して、伊藤くんやTHE FULL TEENZと出会っていかがでしたか?

角:あの日は本当に楽しくて、最高の思い出です。初めて自分たちのライブを楽しめた日でもあります笑 あの日に出会って、今でも繋がりが深い人がたくさんいます。伊藤くんや菅沼くんや生き埋めレコーズの人々はもちろんですが、仲が良いfULLHOUSEの木村やLADY FLASHに初めて出会った日でもあるので。打ち上げでぐるぐるがゲロしたのも良い思い出です笑

伊:はまいばくん(生き埋めレコーズ)と皆が接近したものこの日ですね、そういえば!あ、はまいばくんは、生き埋めレコーズの映像ディレクターです。

はまいばさん、勿論存じ上げてます!『MIDSUMMER SPECIAL!』は関西インディの点と点を線で繋いだ感がありますね。そして、それがキッカケで2014年5月にリリースされた『生き埋めVA』の参加に至るんでしょうか?

伊:そうですね。その日の打ち上げでfULLHOUSEとAnd Summer Clubがスプリットを作ろうという話になってて、冗談で「僕らがレーベル作ってリリースしたいです」って話をしたんです。後日みんなで話してて、どうせならたくさん友達を作ってコンピレーションアルバムを作ろうという事になったんです。完全に勢いでしたね笑

角:そうやったな~。

『生き埋めVA』でAnd Summer Clubを認知した方も多いと思うんです。伊藤くんの中では、その頃から彼らの単独作のリリースを考えていたりしたんですか?

伊:いえ、生き埋めレコーズの他のメンバーはどうか分かりませんが、僕は毎度のリリースで手一杯なので、あんまり先のリリースまでは考えないですね。「○○が今レコーディングしてるらしい」とか、「○○が素晴らしい音源を作ったのに流通に困っている」みたいな話をその時々で耳にするので、そのタイミングで生き埋めレコーズからのリリースをお誘いする感じです。And Summer Clubについても、2014年の秋頃にレコーディングの話を聞いたので、声をかけました。

角:今回のEPについては、最初は自主でリリースしようと思ってたんです。僕自身も生き埋めレコーズの今後のリリースが楽しみですね。

伊:今年はリリースの予定がいくつか決まってます!

僕も生き埋めレコーズのカタログはコンプリートしております笑 角田くんは今回生き埋めレコーズからリリースされてみていかがでしたか?なにしろバンドにとってリリースするレーベル選びってとてもデリケートなものだと思うんですよ。

角:めっちゃ嬉しいですよ。知らない人や大人から言われていたら怖かったかもしれないです。生き埋めレコーズは友達だし、尊敬してるし、仲間感も強いので安心してお任せできました。生き埋めレコーズのカラーも好きです。

角田くんの思う、生き埋めレコーズのカラーってどんなものでしょー?

角:歳が近いし、センス良いし、かといってオシャレぶってないし、パンクが好きなとこですね。20歳くらいの若者が作った新鋭レーベルってところもかっこいいです。うーん、もっと上手い言葉で伝えれたらいいですね。

 生き埋めレコーズって京都のレーベルですけど、良い意味でローカリズムに固執していないんですよね。『生き埋めVA』も全国各地のバンドが収録されてますし、地域性よりも世代感というか、気の合う感じや価値観を共有できる感じを最も大事にしているように思えて。伊藤くんは泊まるところや帰りの電車も決めずに東京来ますし笑 そういうのって特別だなーと感じてます。今回のEPが事実上のデビュー作になるわけですが、収録曲はどのように決めたんですか?デモやVAの曲が入っていないもので。

角:収録曲は折角なので、今のAnd Summer Clubのムードを知ってもらえるような曲を選びました。去年から今年にかけて作って、よくライブで演奏している曲ばかりです。

面白いと思ったのは、デモの時よりもパンキッシュになっていることです。普通は逆ですよね笑

角:そうですか?笑 デモも本当はもっとパンキッシュに録りたかったんですが、ノウハウも分からず完全にDIYで録ったので変な感じになってしまったかもしれません。

デモの激ローファイ感は天然によるものだったんですね笑 今回の新譜に入ってる曲に関して、具体的に強い影響を受けたバンドとか、意識した音のニュアンスはありますか?

角:今回のEPはPOST MODERN TEAMの岸田さんに録ってもらったんですけど、Smith WesternsのファーストやMoonhearts、Teen Suicideの音源を聴いてもらって、音のニュアンスを伝えました

伊:僕もレコーディングに参加したんですけど、岸田さんの敏腕っぷりは凄かったですね。ギターとスネアの音が特に最高だと思いました。曲は言わずもがな、です!

And Summer Clubのバイオグラフィーに書かれている、『ヘビーハワイポップ』っていうのは?笑

伊:それは僕が考えました笑 And Summer Clubって、バンドのheavy hawaiiみたいに酩酊感が強いし、ハワイって夏っぽい単語だし、何より『ヘビーハワイポップ』って言われても字面からどんな音なのか想像つかないところが気に入ってます笑

角:僕らは『ヘビーハワイパンク』だと思ってます笑

伊:なるべく『インディーポップバンド』って言葉使いたくなかったんですよ笑 今たくさんいますからね。

角:そうやね。インディーって言葉、嫌いになりはじめてる笑

インディーって便利な言葉ですからね~笑 POST MODERN TEAMの岸田さんを起用したのはどなたのアイディアですか?

角:僕らのアイディアですね。岸田さんには普段からバンドでもプライベートでもお世話になっているので、僕らのやりたい事を一番的確に汲み取ってくれる確信があったんです。岸田さんはPOST MODERN TEAMの音源も自分で手掛けていますし、LADY FLASHのアルバムも録っているんです。

僕もPOST MODERN TEAMのアルバム、愛聴してます。新譜のリリックはまだチェックできていないんですが、どんな事を歌ってるんですか?

角:歌詞はあまり深い事言ってないんです笑  主に日常や身の回りの事を歌っています。

なるほど。今回の新譜のアートワークについても教えてください。

伊:アートワーク凄いですよね。前回生き埋めレコーズからリリースしたRevolution For Her Smileのジャケットもそうでしたが、ジャケットからどんな音だか全く分からないのが最高です。

角:あんまりUSインディっぽいジャケットにはしたくなかったんですよ。アートワークは僕の親友であるまんたろうに頼みました。僕は彼の絵が大好きなので、特にうるさい注文等はせず、安心してお任せしました。音源を聴いたインスピレーションで書いたみたいです。不気味な感じが出ていたら嬉しいなあ。

ありがとうございます。And Summer Clubの今後の意気込みを教えてください!

角:とりあえずアルバムを作りたいです!あと、色んな媒体で音源リリースしてみたいです。変な場所でのライブもしてみたいですね笑 お誘いお待ちしてます。

これにてインタビュー終了です。最後にお二人から各々読者に向けてコメントをお願いします!

角:色々とありがとうございました。ライブ来てください!CD買ってください!友達になってください!あと、大阪の難波にある味園ビルに入ってる『ゆとりちゃん』っていうバーで毎週水曜日に働いてます。遊びに来てください!笑

伊:今って、soundcloudとかTwitterが普及してるので、インターネット上だけで音源が話題に上がるバンドって沢山いるんですけど、そういうバンドはライブがあんまりだったり、なんならライブしたことないってバンドもたくさんいまして。And Summer Clubはそんなバンドに飽きた方々におススメです。CD聴いていただいて、ライブ観て欲しいです。宜しくお願いします!これから一発抜きます!

角:僕はオナ禁中なので酒飲みます!

いやいや、抜きましょうよ~!

角:抜いてから酒飲む事に決めました。ありがとうございます!

伊:着衣おっぱい最高です~!

着衣おっぱいのイメージとして送られてきたものは、篠崎愛さんのたわわな画像でありました。篠崎愛さん、ありがとうございました!

 

リリースのお知らせ。

And Summer Club『Super Dash』(IKRC-6)

2015年4月29日(水)発売

800円(+税) 紙ジャケ仕様

 (取扱い店舗)

COCONUTS DISK(吉祥寺)

Violet&Claire(京都)

JET SET RECORDS(京都/下北沢)※予定

Second Royal Records(京都)

EGYPT RECORDS(大阪)

FLAKE RECORDS(大阪)

TOONICE RECORD SHOP(高松)

record shop DIGDIG(岡山)

RECORDSHOP ZOO(名古屋)

sone records(静岡)

diskunion(関東圏/オンライン)

THISTIME online store(オンライン)

SOULMINE MEGA MART(オンライン)

HOLIDAY! RECORDS(オンライン)

 

レコ発のお知らせ。

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