Anorak citylights

レコードを買ってから開けるまでのドキドキとか、自転車のペダルを加速させる歌や夏の夜中のコンビニで流れる有線など些細な日常とくっついて離れない音楽についての駄文集 twitter ID→ takucity4

mobb deepとdown north camp

忘れもしない、宇都宮西川田のブックオフ。うら若き大学生夏の実家帰省。退屈に耐えられなくなり、そこらのブックオフを回り片っ端から500円棚を漁る。「M」列の一番はしっこ、mercury revの隣り。引き上げた瞬間、強烈なヤニの匂いにやられる。ジャケットに写る、不敵な黒人と目が合う。一瞬時間が止まる。そのままレジへと駆け込み、100円を5枚出してすぐに車に乗り込んだ。
サウンドシステムからは得体の知れないドロッドロの音塊。助手席からはやはりヤニの匂い。これがmobb deepとの出会いである。そのまま深夜まで彼らの音を浴びながらドライブし、山道で迷い半泣きになり、ようやく家に着き泥のように眠った。
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後に調べると本作はUSヒップホップのクラシックとして名高い事を知る。
イリーガルな暮らしや心の痛みを切実に綴ったリリック。
nasやQtip等の間違いない客演陣。
不穏なピアノのループ、幽玄なサックス、硬質なハイハットの響き、どこまでも怪しく煙たく美しいトラック。
havocとprodigyのスムース極まりないフロウ。
どれをとっても完璧に近く、気持ち良い音像だ。何時間でも聴けてしまう。
僕はmobb deep体験以降、トラックの嗜好がサンプリング物に偏ってしまい、ワンループ+ハイハット搭載のトラックにのめり込む事になる。当時幅を利かせてたシンセばりばりのハイファイなプロダクションは受け入れることができず、スターであったseedaでさえ毛嫌いしていた。
そんな僕に光をくれたのが、s.l.a.c.k.、issugiがレペゼンするdown north campの登場だった。特に鮮烈だったのはMONJUのファーストである”blackde.ep”、MONJUに所属するissugiのソロデビュー作である”thursday”。
どちらもトラックメイクは16flip。
Mobb deep直系というべき、煙たいワンループとハイハット使いは、僕を再び夜のドライブに駆り立てた。
Mobb deepのようにイリーガルな体験を持たない彼らは、夜やスケボーや仲間のことを歌う。とびきりドープなトラックの上で。
Mobb deepの遺伝子を最良の形で受け継いだ彼らこそ、日本のヒップホップの理想だよなあ といつも思ってます。
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