Anorak citylights

レコードを買ってから開けるまでのドキドキとか、自転車のペダルを加速させる歌や夏の夜中のコンビニで流れる有線など些細な日常とくっついて離れない音楽についての駄文集 twitter ID→ takucity4

呆れるくらいにパンク♡ぐらんぴぃず♡

7月6日に結婚し、新居に引っ越した。職場から程近い新築アパートの2階だ。さぞかし甘い新婚生活が始まることだろうと夢想していた。朝はチューで送り出してもらい、昼は愛妻弁当を食べ、夜は美味しい晩御飯を食べながらバラエティ番組等を見て笑うのだ。お風呂で背中を流してもらって、夜はくっついて眠る。
現実はというと、僕は毎日でひとりで起き、コンビニで朝御飯と昼御飯を調達し、夜はテレビもつけずに冷凍食品のパスタをすすっている。漫画を読みながら眠り、気付いたら朝になっている。何故こんな体たらくになってしまったのか。
答えはシンプルで、平日は嫁が実家に帰っているからだ。
妊婦というものは大変辛いジャンルらしく、仕事しながら妊婦をこなすのはなかなかハードらしい。新居から職場までは車で片道1時間かかるため、平日は職場に程近い実家から通勤し、週末に新居へ戻ってくるという具合である。
世間では"週末婚"と呼ばれている。どうやら僕らはそれらしい。

仕方ない 仕方ない と言い聞かせながら一人暮らしをこなしているわけだが、どうやらこれがなかなか悪くない。何が悪くないって、自由だからだ。大音量でエッチなビデオを見ようが、drop deadを聴こうが、部屋をキンキンに冷やした状態で布団に入ろうが、寝る前にお菓子を食べようが、自由なのである。
想像してみて欲しい、社会人になってから5年だ。3年を実家で過ごし、1年半を熊谷の社員寮で過ごし、半年を嫁との同棲で過ごしている。常に他者と共存してきた身としては、学生時代以来の一人暮らしに興奮を禁じ得ないわけだ。しかも学生時代の後半は当時の彼女と半同棲してたもので、実に7年ぶりくらいの一人暮らし。平日限定ではあるが。
というわけで、真夜中にコンビニに行ったり観ないであろうDVDをたくさん借りてきたり、音楽は大きな音で聴き放題。それなりに楽しんでいる。ただ、ひとつだけ懸念事項がある。お金の話である。
僕は音楽が好きなので、毎月新品中古あわせて音源を15枚~30枚くらい買うサイクルを崩さず生きてきた。17歳くらいの頃からだ。これは最早僕のライフワークであり、日常的にネットやレコード屋さんでディグる事が最大の趣味となっている。
結婚してから僕の収入は"お小遣い"のみとなっており、それがまあ、月に30000円となっている。正直、この金額では今までの購入サイクルを維持することが全くもってできない。2500円の新譜を買うなど相当の決心が必要なのである。ましてや僕はサラリーマンだ、昼御飯だとか飲み会だとか経済新聞だとか様々な費用の一時的な立て替えだとか、怒濤のような出費の波が僕の物欲を押し流すわけである。新しくオープンした大宮のdisk unionで、secret affairのセカンド500円の購入を1時間悩む程だ。事の重大さを理解していただけただろうか。
音楽が好きであるという事は、ましてや、パッケージされたフィジカルな音源のみを嗜好するアナログなリスナーにとって、①音源購入費用の捻出 ②音源を保管するスペースの捻出 ③デートコースにおけるレコード屋さんの選択 (10分だけ見てきていい?という守れない約束)はもはや一生の悩みといっていい。命題である。
僕は今まさにその命題最大の関門、音源購入費用と戦っているわけであります。本当に苦しいです。ましてや嫁は音楽に無関心、レコードはゴミだと思っているわけで…。隙あらば僕のコレクションをブックオフに引き取らせようと狙うわけです。世のサラリーマン諸君はどうしているんだろうか。

話が大きく脱線したわけであるが、そんな一人暮らしの最中だ、それなりに音源を聴いたりネットを見たりする時間はあります。
寝る前にsoulmineの記事を読んでいて、胸が熱くなる名前を発見したわけです。"the grumpies"。熱心に聴いたバンド。
元々僕はポップパンクというジャンルにそこまで精通しているわけではなく、ポップパンクファンのマスト盤を一通りなぞって満足してるくらいの浅いファンであります。grumpiesもポップパンクファンの間では王道中の王道、ポップパンクを少し勉強すればすぐに名前が見つかるバンドであるわけです。
あれは大学生の終わり頃だったろうか、新宿のユニオンパンク館にてplow unitedやsidewalksなんかと一緒にgrumpiesの"who ate stinky?"を購入。とにかく衝撃を受けました。
ハイもローも関係ない、ギターもベースもドラムも融解したギッタギタのジャンクなアンサンブルの上を、常軌を逸したテンションで歌いまくるガキみたいな男女ボーカル。みなぎる無邪気な狂気。しかしメロディは狂おしいほどにポップ。どうやって録音したのか想像もつかない爆発的に汚い音質。どこをどう聴いても最高で、一緒に買ったplow unitedはあまり聴かずじまい。
そして、Grumpiesを聴き進めていくうちにひとつの疑問が浮かぶわけです。
"これ、ポップパンクなの?"
確かに死ぬほどポップだし、呆れるくらいパンク(!)です。だが、その2つをくっつけたポップパンクという言葉で括るとどうも違和感がある。少なくとも僕が聴いてきたポップパンクとは似ても似つかないし、こんなに過剰で初期衝動を感じるポップパンクバンドは聴いたことがない。形式や趣味嗜好より衝動が先に立っている印象を受けた。所謂パワーポップと判別ができないような、3コードにビーチボーイコーラスで様式美を競うポップパンクとは全く別物なのだ。海岸や地名や言語じゃ括れないポップパンクバンド!そんな結びで終わりにしたい。
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