JIV相馬くんインタビュー
局地的に大きな注目を集めるMiles Apart Recordsのカセットテープシリーズに、新たなニューカマーが登場!その名もJIV。何気なく買って聴いたが最後、その若さと衝動が溢れるバーストガレージチューンの連発に感銘を受けました。今回はJIVのボーカル兼ギターの相馬くんにインタビューを実施。テーマは毎度おなじみ『新作の製作に影響を与えた5枚のレコード』『相馬くんの人生を変えた5枚のレコード』についてです。インタビューの前に、こちらもおなじみレコメンドをどうぞ!
(右端が相馬くん)
Jマスシスがcloud nothingsと早稲田の銭湯で出会い意気投合、お互い素っ裸のまま露天風呂でギグをかました挙げ句に全員感電、命からがら完遂寸前ローファイガレージパンクずっこけ3人組。東京・早稲田を中心に活動するバンド、JIVが鳴らす音楽を誠実に表現するならば、こんな風だろう。新旧オルタナヒーローのソウルが一堂に介した轟音ガレージサウンドの海に、パワーポップ、シューゲイズ、ポップパンク等の元素を撒き餌のように放流、寄せる波の音からは過去と未来が同時に聞こえてきた。裸で泳ごう、吐くまで泳ごう。
宅イチロー(以下 宅):今回は「新作の制作に影響を与えた音源5枚」「相馬くんの人生を変えた音源5枚」というテーマから選ばれた計10枚の音源を肴に、JIVの音楽について聞いていけたらと思います!よろしくお願い致します!!
相馬くん(以下 相):よろしくお願いします!
Twin peaks『Wild Onion』
宅:Twin Peaks!シカゴのガレージバンドですね!いきなり少し意外です。
相:彼らの男らしさというか、若いのに渋さも備えているところに、いつも痺れてます。音楽的にはリバーブのかかり具合等をとても参考にしてます!『Superbad』は特にTwin peaksを意識していますね。
宅:なるほど。言われてみれば、JIVの曲のリヴァーブ感、あと個人的にはボーカルやコーラスのヤンチャ具合にTwin peaksを感じますね!
相:ガレージロックバンドに有り勝ちな一辺倒な感じもなくて最高ですねー。『Mirror of time』みたいなミディアムテンポの曲もやる感じがずるいです。ボーカルも凄く意識しています笑
宅:JIVにもミディアムテンポの歌モノ曲とかあるんですか?
相:今回のカセットには収録してないのですが、1曲だけあります。後々、作品など作る機会があれば発表したいですねー!
宅:JIVからはジャングリーなギターポップ、シューゲイザー、ガレージ、ビーチポップそしてパンク、様々なポップミュージックの素養が配合されている感じを受けます。では、2枚目をお願いいたします!
Modernettes『Teen City』
相:これは本当に最高ですね!全曲シンプルなのに少しひねりのあるところや甘いメロディーが最高です。
宅:80'sパワーポップのバンドすね!やはり彼らのメロディーに影響を受けたんですか?
相:ボーカルのメロディー等はかなり意識してますし、ガッツ溢れるギターも真似したくて仕方ないです。サビでわかりやすく盛り上がらない感じも凄く好きで、僕は曲を作るときにベタベタなサビになりがちなので、勉強になりますね。
宅:JIVは割りと曲の初めから盛り上がってますからね笑 僕、カセットB面のデモ2曲がめちゃめちゃ好きなんですよ。
相:嬉しいです。『B.S.B』は僕が初めて作った曲なんですよ。一番古い曲なんですが、割と自信があったのでdemoとして収録しました。
宅:本当ですか!あのメロディの求心力含め、かなり勢いまかせなんだけど、バックのコーラスは何故かめちゃめちゃ綺麗だったり、僕は一番好きですね。イビツで美しいパンクソングだと思ってます。相馬くんはどの辺の音楽をメインで聴いてるんですか?
相:あんまりジャンルには拘らないのですが、最近はガレージロックが好きですね。でも、高校の頃はThe Smithsみたいなギターポップが凄く好きでした。
宅:近年、BURGER等のレーベルの貢献もあって、アンダーグラウンドなガレージパンク、盛り上がってますよね。僕もFIDLARとかよく聴いてました。ギターポップは僕めちゃめちゃ好きなんですよ。ネオアコとかはどうですか?
相:すみません!笑 ネオアコあんまりしっくり来ないんですよね…。Aztec Cameraとか借りたんですけど、あんまりハマらなくて笑
Misfits『Static Age』
相:僕、Green dayが好きなんです。彼らがMisfitsの曲をカバーしているので、聴いてみたら凄くメロディーが良くて。いつか彼らみたいなメロディが作れたら最高です。
宅:所謂名作とされる『Walking among us』ではなく、正式なレコードデビュー前に録音された本作の方がしっくりきたわけですね。
相:『Walking among us』も好きなんですけど、『Hyblid Moments』と『Teenagers From Mars』が好き過ぎて笑
宅:や、ポップでめちゃめちゃ最高ですよねー笑 Green dayお好きなんですね!
相:Green dayは『Insomniac』が1番好きなアルバムです。
宅:Misfitsはポップパンクのニュアンスも強いバンドですけど、ポップパンクも好きだったりするんですか?
相:好きですね~。初期のBink182とかも好きでした。最近のFIDLARやWAVVESにもポップパンクを感じてます。
宅:Green dayが好きなのは何かキッカケがあったりするんですか?彼らって多くの場合、洋楽やパンクの入り口みたいな存在だと思うんですけど、色々音楽を掘ってる相馬くんがGreen dayを好きで居続けているのは興味深いですね。
相:はい。僕は小学生の頃カナダに住んでいたんです。その頃は音楽とかあまり聴いてなかったんですけど、ある日テレビから流れてきた『American Idiot』にかつてない衝撃を受けたんです。あれから、Green dayは僕のアイドルですね。
Black Lips『Arabia mountain』
相:Black Lipsです。宅さんも好きだと仰ってる『B.S.B』は完全に彼らが元ネタです笑
宅:確かにあの無闇な騒がしさ、言い換えれば悪ガキ感、一緒にガンガン歌えちゃう感じはBlack lipsですね笑
相:今回リリースしたカセットは、割と男らしい感じと言いますか、プロトタイプの現行ガレージパンクを目指したので、彼らをよーく聴いてました。あと、このアルバムはとても僕好みのポップ感で最高です。
宅:ここまで全て海外のバンドですが、日本のバンドで注目していたりシンパシーを感じるバンドはいますか?
相:友達のバンドだと、5000は凄くカッコ良いですし、京都のTHE FULL TEENZや大阪のAnd Summer Clubにはよくしてもらっていて嬉しいです。CAR10やNOT WONK等のKiliKIliVilla周辺のバンドも凄く好きです。
宅:5000!僕気になってます。十三月の甲虫のバンドですね。THE FULL TEENZやAnd Summer Club、CAR10やNOT WONKとは同時代性を強く感じます。
相:生き埋めレコーズのイベントに誘ってもらえた事が大きいですね。
宅:なるほど、JIVは東京のバンドなのに関東でのライブが少ない気がしていました笑
相:最近まで割とグタッと活動してたので笑 今後はライブとかガンガンやりたいです。
No Age『Nouns』
相:そもそもJIVはNo Ageみたいな音楽がやりたくて始めたバンドなんです。編成まで真似してましたからね。ドラムとギターの2ピースで笑
宅:そもそもバンドどんな経緯で結成したんですか?
相:同じ大学のサークル内で組んだバンドなんです。結成は2013年ですね。リスナーズサークルの新歓コンパに行ったら、結構お洒落な感じの音楽好きが多くて。みんなFlying lotusとか聴いてるみたいだったので、「Flying lotusあんま良くない、分からない」という趣旨の発言をした途端ハブられてしまいまして笑 そんな時、違うサークルの新歓コンパで会った、JIVドラムの小野くんが話しかけてきてくれて、2人でバンドを組むことになりました。
宅:現在はスリーピースバンドですよね。
相:2ピースのNo Ageスタイルは難しくて、同じサークルの先輩にベースとして加入してもらいました。
宅:相馬くんってもしかしてめちゃめちゃ若い?笑
相:最近やっと合法的に飲酒が可能になりました笑
宅:ひえ~!では、続いては、そんな相馬くんの人生を変えた5枚のレコードについて話していきましょう。
Blur『Modern Life Is Rubbish』
相:Blurは人生で一番好きなバンドです。ブリットポップを好きになりかけている時期、OasisとBlurばかり聴いてたんです。最初はOasisの方が取っつきやすかったんですけど、聴きこんでいくうちにどんどんBlurの虜になっていきました。『For Tomorrow』は完璧な曲ですね。
宅:なるほど。僕は『Park Life』派ですね。
相:勿論好きなんですけど、ちょっと派手過ぎますね、僕には。
宅:Blur、新譜出ますね!
相:最高ですよね!グレアムのギターが爆発してます!
宅:グレアムのソロはいかがですか?
相:好きです!『Happiness In Magazines』が一番です。
宅:ガレージパンクが好きでBlurも好き、面白いバランスです
Replacements『Pleased To Meet Me』
相:Replacementsは『Let it be』を友達に薦められてハマったんです。掘っていくうちに本作に出会ってやられましたね。彼らのアルバムの中で1番ロックンロールを感じます。バンドの音楽的には『Let it be』のバランス感の方が参考になりますが。
宅:Replacementsはそれこそビリージョーにも影響を与えてますし、初期のパンクサウンドから徐々にルーツミュージックの匂いがしてくる辺りも最高です。アメリカ!って感じがします。
相:それです!アメリカ感!『Pleased to meet me』は最もアメリカ感のするアルバムです!
宅:カントリーやフォークやスワンプ等のアメリカンな要素がロックンロールに帰結していて最高す!
The Pains Of Being Pure At Heart『Belong』
相:これは高校の時に好きな女の子とCDの貸し借りをしていて、このアルバムをすごく好きだと言ってもらえたので、凄く思い入れがあります笑 その後、その女の子のウォークマンを借りて、僕の好きな音楽でパンパンにして返したらひかれましたけど笑
宅:JIVからはシューゲイザーの匂いもほんのり感じますよ。
相:あんまり意識していなかったですね。シューゲイザーの要素が少しあるバンドは好きなんですが、もろシューゲイザーみたいなのはあんまり好まないですね~。
宅: 僕も、もろシューゲイザーはあんまりですね。『loveless』とかも全然。ギターが前に出まくったガレージパンクの趣あるバンドが良いすね。それってJIVのことなんですが笑 あ、JIVっていうバンド名の由来は?
相:バンド名を決めるときに、小野くんの筆箱に『jib』って書いてありまして笑 ノリでバンド名に拝借しました笑 その後、jibからJIVになりました。深い意味とかは全然無いんです。
宅:CAPTURED TRACKSの、DIIVっぽい名前だなあ~と思ってました笑
相:そう言えばそうですね笑
DOM『Sun Bronzed Greek Gods』
相:これも捨て曲が全くなくて最高です!大学に行かずに引きこもっていた時に良く聞いていた思い出があります。『I wonder』は泣けます!Epを2枚出して解散したところもカッコ良いです。
宅:Dom!また趣が変わってきましたね。シンセを多用した、チルウェイブの文脈を持つバンドですが、確かに部屋で引きこもって聴くに適した、程よいベッドルーム感あります笑
相:音楽と反して見た目がクソ悪そうのも最高です笑
宅:JIVはバンドとして目指すビジョン等はあるんですか?
相:アメリカに行きたいです笑 BURGER RECORDSからカセット出せたら最高ですね!
宅:今回、Miles Apart Recordsからカセットがリリースされましたが、とても素敵なフォーマットでデビューできて、ある意味インディーポップバンドの理想的なデビュー形だなって思うんです。今回Miles Apart Recordsからリリースされていかがですか?
相:Miles Apart Recordsのカセット企画は普通にファンだったので、嬉しいですね。僕らのことをあんまり好きそうじゃない人とかも好きって言ってもらえてる気がするので嬉しいです!Miles Apart Recordsの中の人がすごい良い人だったのも良かったです笑 特定のシーンってよりもいろんな人に良いって言われるバンドになりたいですね。
宅:JIVの音楽は色々なニュアンスを含んでるので、ガレージパンクファンからギターポップファン、パンクファンまで幅広い層に受け入れられると思います。それこそTHE FULL TEENZやCAR10みたいに。
銀杏BOYZ『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』
宅:!!!
相:思秋期真っ盛りって時に聴いて色々こじらせました笑 いい意味でも悪い意味でも凄く影響受けましたね。
宅:相馬くんの年齢だと、銀杏BOYZは後追いですよね?
相:僕が聴いていた頃には表立った活動はしてなかったですね。Going Steadyは「EXILE好きです」みたいな人とかも好きって言える気がするですけど、銀杏BOYZは何となくクラスでもカースト下位の人が聴いてる感じがします笑
宅:銀杏BOYZは極端すぎるんですよね笑 音楽的な影響を受けてたりはしますか?
相:うーん、歌詞にBUZZCOCKSが出てくる感じとかは影響受けてるかもしれません!
宅:GREEN DAYやDookieも出てきますからね~笑 と、いう感じでそろそろお時間です!本日はお忙しいなかありがとうございました!
相:ありがとうございました!