角田くん(And Summer Club)×伊藤くん(生き埋めレコーズ)インタビュー
4月29日に生き埋めレコーズよりデビューEPをリリースするAnd Summer Club、今や日本のインディシーンにおいて熱い視線を一身に受ける彼らですが、今回はソングライターである角田くんと、生き埋めレコーズの首謀者のひとりでありTHE FULL TEENZとしても活動する伊藤くんのチャットインタビューを公開します。知られざるAnd Summer Clubの誕生物語、音楽的ルーツ、生き埋めレコーズとの出会い、伊藤くんの性癖まで、包み隠さず語っていただきました!
(左端が伊藤くん、左から3番目が角田くん)
『Superdash』
ヘビーハワイポップを自称する彼らだが、当然アロハシャツは着ていないし日にも焼けていない。しかし、ヘビーハワイポップバンドは現れた。それも、南国では無く大阪からである。口笛を吹き、潮風を纏いながら、猫を撫でるかのように鳴らした轟音のポップソングはあの子のスカートの隙間を抜けて遥か遠くを目指す。それはSTIKKYとBEACH FOSSILSが時を超えて繋がった瞬間であり、放射能で泳げなくなった未来のワイキキビーチで鳴らされる毒まみれのテーマソングでもある。
ある種の狂騒めいた盛り上がりを見せる日本のインディーポップシーンにおいて、「夏」を名前に掲げた彼らが持つパンクの心は強烈なカウンターパンチであり、聴衆をYoutubeからライブハウスへ誘う最後の切り札だ。ヘビーハワイの波音は極めて大音量、それもノイズの向こう側で強烈なリヴァーブを纏いながら聴こえてくる。このアルバムをイヤホンで楽しんだなら、次のアクションはもう決まっている。ライブハウスで本作を大音量で聴き、残る耳鳴りの向こう側で夏を見付けよう。
宜しくお願いします!
角田くん(以下 角):宜しくお願いします!
伊藤くん(以下 伊):宜しくお願いします。今日は頭冴え渡ってます。
角:笑 俺はビール飲んでます笑
いいですね、ダラダラやりましょう~!And Summer Clubって実は謎が多いバンドなんじゃないかと思ってるんです。ネットで検索しても詳細なバイオグラフィーが出てこないし、メンバーの名前さえ出てこない笑 まずは結成の経緯から教えてください!
角:こういうのちゃんと話すの初めてなんで緊張します。And Summer Clubの結成は2013年です。今僕は22歳なんですが、大学1回生、19歳くらいの頃からギターのぐるぐるとはバンドをやってたんですよ。そのバンドのメンバーが僕とぐるぐる以外全員抜ける事になってしまったんです。途方に暮れていた時に、今ベースを弾いてもらっているチャーケンと出会って、And Summer Clubを結成しました。
(若いな…)伊藤くんはおいくつでしたっけ?
伊:僕は21歳ですね。角田さんのひとつ年下になります。
(もっと若い…)当初からメンバーは固定されていたんですか?
角:ドラムだけ変わってます。最初は僕の友人でありイラストレーターである田中って奴に無理やりドラム叩いてもらってました笑 今はごろうって奴にドラム叩いてもらってます。東京でのライブに、大阪から自転車で向かうヤバい人ですね笑 僕とぐるぐるが同い年、チャーケンとごろうが伊藤くんと同い年ですね。
バンド名はどんなニュアンスで命名したんですか?
角:恥ずかしいんですが、アメリカのThe Strange Boysってバンドのアルバム「And Girls Club」に由来してます。Girlsって名乗る事が恐れ多かったので、僕にとっての「女の子」を象徴する「(500)日のサマー」からSummerを引用し、And Summer Clubという名前になりました。
伊:良いエピソードだなー。
角:バンド名変えたいなー笑
眩しいエピソードですね。And Summer Clubは雑多な音楽の要素を含んでいると思うんですけど、特に影響が色濃いバンドってあるんですか?
角:メンバーが共通で好きなのは、Mac Demarcoですね。And Summer Clubの曲を作る時はMoonheartsやCaptured Tracks、Recessや最近のUSインディに影響されているつもりです!あと、友達のバンドに影響を受けることも多いですね。
伊:このラインナップにRecessが入るのがAnd Summer Clubっぽいですね。
角:CAR10の川田さんに教えてもらってからめっちゃ聴いてる。
結成して間もなくデモCDが出て話題になったタイミングで僕はAnd Summer Clubを認識したんですけど、伊藤くんがAnd Summer Clubと出会ったのはどのタイミングですか?
伊:初めて知ったキッカケは菅沼くん(生き埋めレコーズ、THE FULL TEENZ、sprintklub)に教えてもらった事ですね。菅沼くんはCAR10の川田さんのツイートでAnd Summer Clubを知ったみたいです。実際に聴いてみたら、今まで関西にはいなかったタイプの音で、尚且つ僕と年齢も近い事が分かってとてもビックリしました。僕は菅沼くんと二人で『MIDSUMMER SPECIAL!』っていう企画を不定期で行っているんですけど、2013年の11月に開催した回にAnd Summer Clubも出てもらったんです。それが初対面ですね。
角:あの日楽しかったな~。
And Summer Clubは本当に結成してすぐバンドマンの間でも話題になってたんですね。
伊:多分そうだと思います。スタジオの練習音源がBandcampに上がってて、そこから広がった感じですね。
角:iphoneのボイスメモを使って、できた曲をネットにアップしまくってたんですよ。懐かしい笑
角田くんは『MIDSUMMER SPECIAL!』に参加して、伊藤くんやTHE FULL TEENZと出会っていかがでしたか?
角:あの日は本当に楽しくて、最高の思い出です。初めて自分たちのライブを楽しめた日でもあります笑 あの日に出会って、今でも繋がりが深い人がたくさんいます。伊藤くんや菅沼くんや生き埋めレコーズの人々はもちろんですが、仲が良いfULLHOUSEの木村やLADY FLASHに初めて出会った日でもあるので。打ち上げでぐるぐるがゲロしたのも良い思い出です笑
伊:はまいばくん(生き埋めレコーズ)と皆が接近したものこの日ですね、そういえば!あ、はまいばくんは、生き埋めレコーズの映像ディレクターです。
はまいばさん、勿論存じ上げてます!『MIDSUMMER SPECIAL!』は関西インディの点と点を線で繋いだ感がありますね。そして、それがキッカケで2014年5月にリリースされた『生き埋めVA』の参加に至るんでしょうか?
伊:そうですね。その日の打ち上げでfULLHOUSEとAnd Summer Clubがスプリットを作ろうという話になってて、冗談で「僕らがレーベル作ってリリースしたいです」って話をしたんです。後日みんなで話してて、どうせならたくさん友達を作ってコンピレーションアルバムを作ろうという事になったんです。完全に勢いでしたね笑
角:そうやったな~。
『生き埋めVA』でAnd Summer Clubを認知した方も多いと思うんです。伊藤くんの中では、その頃から彼らの単独作のリリースを考えていたりしたんですか?
伊:いえ、生き埋めレコーズの他のメンバーはどうか分かりませんが、僕は毎度のリリースで手一杯なので、あんまり先のリリースまでは考えないですね。「○○が今レコーディングしてるらしい」とか、「○○が素晴らしい音源を作ったのに流通に困っている」みたいな話をその時々で耳にするので、そのタイミングで生き埋めレコーズからのリリースをお誘いする感じです。And Summer Clubについても、2014年の秋頃にレコーディングの話を聞いたので、声をかけました。
角:今回のEPについては、最初は自主でリリースしようと思ってたんです。僕自身も生き埋めレコーズの今後のリリースが楽しみですね。
伊:今年はリリースの予定がいくつか決まってます!
僕も生き埋めレコーズのカタログはコンプリートしております笑 角田くんは今回生き埋めレコーズからリリースされてみていかがでしたか?なにしろバンドにとってリリースするレーベル選びってとてもデリケートなものだと思うんですよ。
角:めっちゃ嬉しいですよ。知らない人や大人から言われていたら怖かったかもしれないです。生き埋めレコーズは友達だし、尊敬してるし、仲間感も強いので安心してお任せできました。生き埋めレコーズのカラーも好きです。
角田くんの思う、生き埋めレコーズのカラーってどんなものでしょー?
角:歳が近いし、センス良いし、かといってオシャレぶってないし、パンクが好きなとこですね。20歳くらいの若者が作った新鋭レーベルってところもかっこいいです。うーん、もっと上手い言葉で伝えれたらいいですね。
生き埋めレコーズって京都のレーベルですけど、良い意味でローカリズムに固執していないんですよね。『生き埋めVA』も全国各地のバンドが収録されてますし、地域性よりも世代感というか、気の合う感じや価値観を共有できる感じを最も大事にしているように思えて。伊藤くんは泊まるところや帰りの電車も決めずに東京来ますし笑 そういうのって特別だなーと感じてます。今回のEPが事実上のデビュー作になるわけですが、収録曲はどのように決めたんですか?デモやVAの曲が入っていないもので。
角:収録曲は折角なので、今のAnd Summer Clubのムードを知ってもらえるような曲を選びました。去年から今年にかけて作って、よくライブで演奏している曲ばかりです。
面白いと思ったのは、デモの時よりもパンキッシュになっていることです。普通は逆ですよね笑
角:そうですか?笑 デモも本当はもっとパンキッシュに録りたかったんですが、ノウハウも分からず完全にDIYで録ったので変な感じになってしまったかもしれません。
デモの激ローファイ感は天然によるものだったんですね笑 今回の新譜に入ってる曲に関して、具体的に強い影響を受けたバンドとか、意識した音のニュアンスはありますか?
角:今回のEPはPOST MODERN TEAMの岸田さんに録ってもらったんですけど、Smith WesternsのファーストやMoonhearts、Teen Suicideの音源を聴いてもらって、音のニュアンスを伝えました。
伊:僕もレコーディングに参加したんですけど、岸田さんの敏腕っぷりは凄かったですね。ギターとスネアの音が特に最高だと思いました。曲は言わずもがな、です!
And Summer Clubのバイオグラフィーに書かれている、『ヘビーハワイポップ』っていうのは?笑
伊:それは僕が考えました笑 And Summer Clubって、バンドのheavy hawaiiみたいに酩酊感が強いし、ハワイって夏っぽい単語だし、何より『ヘビーハワイポップ』って言われても字面からどんな音なのか想像つかないところが気に入ってます笑
角:僕らは『ヘビーハワイパンク』だと思ってます笑
伊:なるべく『インディーポップバンド』って言葉使いたくなかったんですよ笑 今たくさんいますからね。
角:そうやね。インディーって言葉、嫌いになりはじめてる笑
インディーって便利な言葉ですからね~笑 POST MODERN TEAMの岸田さんを起用したのはどなたのアイディアですか?
角:僕らのアイディアですね。岸田さんには普段からバンドでもプライベートでもお世話になっているので、僕らのやりたい事を一番的確に汲み取ってくれる確信があったんです。岸田さんはPOST MODERN TEAMの音源も自分で手掛けていますし、LADY FLASHのアルバムも録っているんです。
僕もPOST MODERN TEAMのアルバム、愛聴してます。新譜のリリックはまだチェックできていないんですが、どんな事を歌ってるんですか?
角:歌詞はあまり深い事言ってないんです笑 主に日常や身の回りの事を歌っています。
なるほど。今回の新譜のアートワークについても教えてください。
伊:アートワーク凄いですよね。前回生き埋めレコーズからリリースしたRevolution For Her Smileのジャケットもそうでしたが、ジャケットからどんな音だか全く分からないのが最高です。
角:あんまりUSインディっぽいジャケットにはしたくなかったんですよ。アートワークは僕の親友であるまんたろうに頼みました。僕は彼の絵が大好きなので、特にうるさい注文等はせず、安心してお任せしました。音源を聴いたインスピレーションで書いたみたいです。不気味な感じが出ていたら嬉しいなあ。
ありがとうございます。And Summer Clubの今後の意気込みを教えてください!
角:とりあえずアルバムを作りたいです!あと、色んな媒体で音源リリースしてみたいです。変な場所でのライブもしてみたいですね笑 お誘いお待ちしてます。
これにてインタビュー終了です。最後にお二人から各々読者に向けてコメントをお願いします!
角:色々とありがとうございました。ライブ来てください!CD買ってください!友達になってください!あと、大阪の難波にある味園ビルに入ってる『ゆとりちゃん』っていうバーで毎週水曜日に働いてます。遊びに来てください!笑
伊:今って、soundcloudとかTwitterが普及してるので、インターネット上だけで音源が話題に上がるバンドって沢山いるんですけど、そういうバンドはライブがあんまりだったり、なんならライブしたことないってバンドもたくさんいまして。And Summer Clubはそんなバンドに飽きた方々におススメです。CD聴いていただいて、ライブ観て欲しいです。宜しくお願いします!これから一発抜きます!
角:僕はオナ禁中なので酒飲みます!
いやいや、抜きましょうよ~!
角:抜いてから酒飲む事に決めました。ありがとうございます!
伊:着衣おっぱい最高です~!
着衣おっぱいのイメージとして送られてきたものは、篠崎愛さんのたわわな画像でありました。篠崎愛さん、ありがとうございました!
リリースのお知らせ。
And Summer Club『Super Dash』(IKRC-6)
2015年4月29日(水)発売
800円(+税) 紙ジャケ仕様
(取扱い店舗)
COCONUTS DISK(吉祥寺)
Violet&Claire(京都)
JET SET RECORDS(京都/下北沢)※予定
Second Royal Records(京都)
EGYPT RECORDS(大阪)
FLAKE RECORDS(大阪)
TOONICE RECORD SHOP(高松)
record shop DIGDIG(岡山)
RECORDSHOP ZOO(名古屋)
sone records(静岡)
diskunion(関東圏/オンライン)
THISTIME online store(オンライン)
SOULMINE MEGA MART(オンライン)
HOLIDAY! RECORDS(オンライン)
レコ発のお知らせ。