Anorak citylights

レコードを買ってから開けるまでのドキドキとか、自転車のペダルを加速させる歌や夏の夜中のコンビニで流れる有線など些細な日常とくっついて離れない音楽についての駄文集 twitter ID→ takucity4

豊田道倫&mtvband"fuckin' great view"と私

京都へ向かう新幹線の中にいる。
相方が寝てしまったため、イヤホンを耳に差し、窓の外で流れていく知らない街を眺めている。
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もし、この知らない街で生まれ育ったら僕は今頃どんな暮らしをしていただろうか。そんな考えても仕方ないことを考えながら、iPodをカチカチ叩く。最近大宮のHMVで購入したアルバム、豊田道倫&mtvband"fuckin great view"を聴く。
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豊田道倫という人間は、ある種の歪さを鳴らし続ける音楽家である。どんな歌でも強烈な違和感をマーキングする豊田の歌。あの不安定極まりない歌は、大衆化され消費されることを拒む膜だ。だからこそ、一部のリスナーからカルト的に支持され熱狂を集める。彼の歌が持つ歪さは、楽曲に左右されることがない。例えコブクロやエグザイルを歌おうが、確かな違和感をマークするだろう。そして、それは嫌悪感にも変わりかねない。
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しかし、彼の持つ天賦の詩情は今作でも冴えているし、バックを務めるmtv bandは美しくも凶暴なアンサンブルを奏で、さしずめ"気の狂った新宿のパステルズ"と形容したくなる ささくれだった壊れかけのギターポップを完成させている。
特に"heavenly drive"は真骨頂。
キーパーソンはやはりこの男、冷牟田敬。
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顔が峯田和伸に似ている。
Paradiseや昆虫キッズでも聴ける彼の美しくも凶暴なギターはジョニー・マーのようにギターで曲に花を添える。東京のインディーシーンを代表するギタリスト。

充実したメンバーに支えられた今作は豊田のキャリアを代表する1枚になるはず。前作の"mtv"と合わせて彼の好調ぶりがうかがえるし、彼も手応えを感じているのでは。とにかく曲が良い。
僕はそろそろ京都に着くので、この辺で。