Anorak citylights

レコードを買ってから開けるまでのドキドキとか、自転車のペダルを加速させる歌や夏の夜中のコンビニで流れる有線など些細な日常とくっついて離れない音楽についての駄文集 twitter ID→ takucity4

あの夏 あの海 あのカメラ-aztec camera"high land hard rain"について-

子供の頃、夏休みに福島のおばあちゃん家に出かけることがとても楽しみだった。
おばあちゃんは福島県いわき市に住んでおり、そこは海沿いの街であったことから遊びに行く度に海や川へ連れていってもらえたのだ。
兄弟や従姉とみんなで海へ出かけ、日が暮れるまで遊んだ。あの時の景色や気持ちは今でも鮮明に覚えている。
光が水に溶けて乱反射し水面は輝いた。両手で水をすくってみると、それは指の隙間からすぐに落ちていってしまい、手の中には少しの砂 色や形の無い何かだけが残った。石ころの角が足の裏に少し痛く、僕は足をバタバタさせながら顔を水につけないよう泳ぐ。波が寄せる度に海水が口の中に入り込み、僕はうがいをしながら気の済むまでそこにいて海の中の色や空をずっと見たり、岸の方から聴こえるセミの鳴き声に耳を傾けていたのだ。大したことは微塵も考えていなかった。ただ美しいものを見たり、それに似た気持ちになれるような体験がしたくて、夏の暑い日を選んでは海に連れていってもらったのだ。
十数年が過ぎて、大学生になり東京に住むようになって、福島のおばあちゃん家にも行かなくなって、それより東京で彼女と買い物をしたりセックスをすることばかりにかまけていた頃。幡ヶ谷のブックオフで250円だった本作を僕は見つける。初めて見るのにどこかで見たような気持ちになる不思議な絵画がアルバムジャケットの真ん中に横たわっている。いくら見ても何を表現した絵画なのか分からないし別に分からなくても全く構わないのだが、どこか奇妙な清涼感を放つジャケットに僕は惹かれた。
携帯電話で検索してみると、ネオアコースティックというジャンルの代表的作品として支持されているらしい。レビューに添えられたエバーグリーンという言葉が決定打となり、僕はそいつをレジに持っていったのだ。
それまでの僕はpunkという音楽に心酔しており、70'sから現行のものまで国内外のpunkバンドを聴き漁ってはひとり盛り上がっていたのだ。punkだけでどれだけ聴いただろうか、検討もつかない。幾多のpunkレコードを聴いていくなかで、あることに気が付く。僕はpunkのビートじゃなく、punkのメロディが好きなんだ と。そしてそのメロディはみんなが聴いているようなギターロックやヒップホップじゃ聴く事ができなくて、粗い音質の向こう側で鳴るpunkのレコードでしか聴けなかったのだ。気持ちが入っていて、向こう見ずで、お酒で酔っ払った時みたいに無敵なんだけど、しかしながらひとりぼっちの寂しさや切なさが確かにある。stiff little fingersやasta kaskのメロディはそうだった。このメロディをもっと聴いていたいって思っていたんだ。
Aztec cameraのCDをコンポにセットして再生ボタンを
押した時、僕はとても驚いた。僕の大好きなpunkのメロディだ!って。しかもいつも聴いてるやつみたいにうるさいやつじゃなく、洗練された音の上で鳴っている。多分色々な音楽の要素が入っていて、それらが全てロディの瑞々しい歌の前でキラキラと光り輝くんだ。
聴いてるうちにふと思い出した。幼い頃楽しみだった夏の海のこと。ハッとなった。
Aztec cameraの音の中にはまるで成長をやめ時間が止まってしまったような狂おしいまでの青さがあって、それはポップミュージックとしては致命的に逃避的だ。1度入り込んだら帰ってこれないようなノスタルジーの海が広がっている。
音楽に魔法が備わっているひとつの証明として、初めて聴いた音楽がふいに自分の過去と繋がってしまう瞬間がある。ただの空気の振動でしかない音の連なりが自らの記憶にまで作用するということ。僕はaztec cameraでそいつを体験してしまい、思い出が音楽に変わる瞬間に立ち会った。ロディのギターソロはあの夏の海の中で聴いたセミの鳴き声みたいにいじらしくって、とても美しい。大したことじゃない、ただ美しいものを見たり、それに似た気持ちになれるような体験をaztec cameraがもたらしたというだけの話。たぶん一生聴くんだと思う。
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夕暮れーしょん

iPodを壊してしまった。
一見よくある日常の損失に思えるかもしれないが、僕の心身に与えた被害は甚大だ。
僕は2台のiPodクラシックを容量いっぱいまで使っており、そろそろ3台目の購入を検討していたところであった。
実に10000枚以上に及ぶ僕の所有音源のほとんどが2台のiPodに収められており、こいつがあれば僕はいつでも実家のレコード棚にアクセスできたわけだ。愛していたのだ、間違いなく、2台のiPodを。

それは日曜日のことだった。自宅で夕食を支度している嫁を尻目に、僕はTSUTAYAへ向かうため車を運転していた。無論平日観賞するためのアダルトビデオを調達するためである。スマホではなくテレビの大画面で見るアダルトビデオを目一杯享受するために。車内ではiPodをステレオに繋ぎ、音楽をかけていた。このiPodを1号としよう。確かかけていたのはMan is the bastard!だったと思う。肩を揺らし道を歩く女子高生に目線を送ったり何だりをしながらTSUTAYAを目指していたのだ。
そうしてふぬけた顔した僕を運転席に乗せたN Boxは快楽の根城TSUTAYAにたどり着く。音楽を止めiPodを取り外し画面に目をやった瞬間、僕は凍りついた。
"ミュージックがありません"
確かこんな文言だったと思う。数万曲は入っていたはずだ、1号の音楽データが消えている…。あまりに突然の出来事に僕は声が出なかった。ちょっと待て、僕は車のステレオでiPodを聴き、それを外すという何百回繰り返した動作を行っただけだ。ほんの数秒前まで僕はMan is the bastard!を聴きながら"やっぱノイズコアってシラフじゃ聴けねえや"なんて吹かしてたはずである。思わず崩れ落ちる僕を嘲笑うかのように店内からはきゃりーぱみゅぱみゅが流れてくるのだ。
"もったいない もったいない ほら一緒に もったいないとらんど!"
1号はいつだってそばにいてくれたのだ。楽しい時も 悲しい時も 仕事に行くのが嫌で駅前の広場で時間をつぶしていた時や 好きな子と大洗の海へ行った帰りに真岡のデパートの屋上で花火を見た時や はじめて降神を聴いて志人のフローを真似して歩き通行人に避けられた時や Lolasのカバーアルバムを探して高円寺から祖師ヶ谷大蔵まで歩いた時も知らない女の子から人違いでチョコレートをもらった時も 僕のポケットの中からいかした音楽をチョイスしては日常を彩ってくれたのだ。実に5年以上の長きに渡る付き合いだった。
僕は半年ほど前に実家のパソコンを壊しており、iTunesに保存していた6万曲のデータを消失させていたため、1号に入れていた4万曲近いデータ(うち1万曲分は曲尺1分以内のショートチューンだ)を再生するためには、実家のレコード棚に眠る膨大な音源達を再びiTunesに入れ直さなくてはならない。社会人として家庭を持ち1週間のうち60時間を会社で過ごす身として、それは不可能に近い。
まるで長年連れ添った彼女にフラれた気持ちで、精神と時の部屋から帰ってきたような気持ちで、アダルトビデオを選ぶ気力も失った僕は再び愛車に乗り込み帰路につく。僕に残されたのは2号だけ。3年前の夏のボーナスで買った2号だけ。ここには2万曲弱しか納められておらず、ここ3年で購入した新譜中心のラインナップとなっている。そのため、『今夜は何だか寂しいから大学入りたての時よく聴いてたmineralのファーストかelliottのセカンドが聴きたい』だとか『昔の彼女が好きだったlolasのセカンド聴きながらティムボイキンの真似がしたい』だののニーズに応える事ができないわけである。
激しい失意の中家に帰ると、嫁がミツメのポスターを下敷きに干し芋を作っており、笑うしかなかったわけである。
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the sleeping aides and razorblades 白浜くん ショートインタビュー【無人島に持っていきたい5枚のアルバム】

北海道のthe sleeping aides and razorbladesという若いバンドが大好きです。
バンド名でピンとくるアナタの目には寸分の狂いもありません。新旧パンクスが入り乱れて喝采を送った2000年代の伝説 exploding heartsの曲から引用された名前を持つthe sleeping aides and razorblades、彼らのニュー カセットテープが僕のハートをエクスプロードさせて止まないのであります。今回はメインソングライターであり、歌とギターを担当する白浜くんに、【無人島に持っていきたい5枚のアルバム】についてインタビューしてきました。
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写真中央が白浜くん

本題に入る前に、まずは2013年にリリースされた1stアルバム"space travels in my blood"から紹介していきましょう。
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70年代後半、英米PUNKバンドの中に混じりPOWER POPの雛型とも言えるメロディアスなPUNKを鳴らすバンドが現れ始めた。直ぐに名前が挙がるところならば、buzzcocksをはじめboysの2ndや rich kids"young girls"、real kids、そんでもってベルファストのprotex等がそれです。
要はPUNKとPOWER POPの中間。いいとこ取りとも言う。the sleeping aides~の直接的なルーツはきっとそこにある。そんな一際ポップで熱いPUNKにmega city fourをはじめとするUKメロディックのセンチメンタリズムをグググ~と注入、libertines的なボヘミアニズムまで漂わせながら初期衝動は丸出しで。そんでもって現行インディーポップのスペシャルスパイスを振り撒いたら唯一無二の音像が出来上がった、本作で聴けるthe sleeping~はそんな音です。インディーミュージックの良いとこ取りとも言います。要するに、新旧インディーミュージックのカッコいい部分だけをセレクトして咀嚼、配合したわけです。センスさえあればそこから新しい音楽が生まれてくるわけで、the sleeping~はそいつを成し遂げているわけですね。Literatureと共振しながらも彼ら以上のロマンと衝動を兼ね備えた1stアルバム、apageofpunkのリリースでお馴染みunderground governmentからのリリース。

続いては2014年6月にリリースされたニューカセットテープ"Dub Narcotic Fanclub"について。
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このテープ、ヤバいやつです。フォーマットの妙味も加わり、my bloody valentine"sunny sandae smile"のepとか、fattulipsの4曲入りのやつとか、Seventeenの"don't let go"の7"みたいにインディー史に残るタイプのシングルだと思います。リリースはヤブソン主宰のi hate smoke tapesから!レーベルTシャツ愛用してます♡
先程アルバムのところで、彼らの音楽を"新旧インディーミュージックの良いとこ取り"と表現しました。本作でもそこは不変です。彼らの音楽にはstiff little fingersがいるし、the smithsがいるし、minor threatがいるし、aztec cameraがいるし、smith westernsがいるし、cloudnothingsがいる。もちろんexploding heartsもいるし、Seventeen againもいる。本作はそんな所謂ルーツからの影響をかなぐり捨て笑いながら駆け出していったような痛快さがあります。要するに、本作を聴いてインディーミュージックのウンチク話に終始する必要が無くなったということです。白浜くんの泥酔したピートシェリーみたいな歌も、謎のエフェクトがかかる爆音のギターも、加速していくビートも 彼らの完全なオリジナルであるように思うのです。
その象徴が本作からのリードトラック"L.A.M.F"であります。

THE SLEEPING AIDES & RAZORBLADES / L.A.M ...

この流れを汲むならば来たるセカンドアルバムはとんでもないものになるのでは。ところで、タイトルはKのDub Narcoticスタジオからでしょうかね?

前置きが長くなりました。the sleeping aides and razorblades 白浜くんの【無人島に持っていきたい5枚のアルバム】談義、スタートです。

イチロー(以下 宅):Anorak citylights宅です!宜しくお願い致します。

白浜くん(以下 白):宜しくお願いします!

宅:今日はthe sleeping aides and razorbladesのメインソングライターであります白浜くんの【無人島に持っていきたい5枚のアルバム】というテーマを主題としてお話させてください!アルバム、めちゃめちゃ聴いてます。すげー好きです。

白:わー、そう言われるととても嬉しいです。ありがとうございます!

宅:I HATE SMOKE TAPESから出たテープ聴いてすぐにアルバム買いました笑 新旧のインディーミュージックの良いトコ取りじゃん!って思ってます。

白:いやー、ありがたいです、本当に。良いとこどりになれてれば良いのですが、そう思っていただけたのならとても嬉しいです。
宅:そろそろ1枚目いきましょう!

1枚目:Mega city four/Terribly Sorry Bob
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白:一枚目はこれです。やってる音楽だけでなく、人生の軸にすらなっている1枚です。
宅:MC4の初期シングル集ですね。ジャケットからして最高の1枚です。どんな思いがあるんですか?

白:高校の時とか毎日ネットで音楽探してて、その中でMC4を知ったんです。三大UKメロディックみたいに言われてるSnuff、Leatherface、MC4の中でMC4が一番聴きやすいな~なんて思いながら、田舎に住んでいたのできっとこれは誰も持ってないな、なんて思いながら再発盤の1stを買ったのが僕の初MC4でした。そうして、自分しか知らないから、みたいな理由と裏腹に単純にカッコ良くてハマっていったんです。他のアルバムは当時3rdも再発してないので高校生の身分では買えない日々が続くんですが。社会人になって東京に遊びに行ったときにユニオンでTerribly sorry bobのLP見つけて速攻買いまして。あまりの嬉しさに泣きそうにもなったのですが、ともかく物を買ってあんなに感動したのは初めてでした!北海道にユニオンは無いので、きっとこれって東京とかじゃ普通なのかな?とも思ったけど、そういうの関係なく最高の気分でした笑 宝物みたいな感じですかね笑
宅:僕も地元である栃木のWonder gooというしみったれたユーズドCDとか売ってるお店で、MC4のアルバムを一気に5枚見つけて歓喜した思い出があります笑 他人事とは思えません笑 そういう劇的な出会い方をしたレコードってめちゃめちゃ気持ち入っちゃいますよね。確かにMC4はUKメロディック御三家の中でも1番聴きやすい反面、特に後期なんかは奥深いサウンドを伴っていたように思います。

白:Wonder goo、僕の住んでた田舎町にもありまして、ワゴンセールでthe cureのDVDを500円で買えて最高でした笑 そうですねえ、僕は5枚目とかも最近聴き直して好きになりましたね。4枚目のwallflowerが1番好きなのでまあMC4は全部好きですね!後期の雰囲気もとても好きです。単にパンクだけで構成されてるわけじゃないんだなーと。wizはteenage fanclubとかmudhoneyのTシャツ着てますし。pixiesのカバーとかもやってますもんね。歌詞とか読むと救われます!
宅:Wonder gooでのディグは全国共通だったわけですね笑 それでは2枚目お願いします!

2枚目:exploding hearts/guitar romantic
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白:2枚目はexploding heartsです!
宅:バンド名のルーツですね。ギターのリフ等に影響が顕著だな、と感じてました。

白:そうですね、まんまリフ使ってしまってます笑 初めて聴いた時は衝撃的でした。てか声ミックジョーンズじゃん!みたいな。
宅:2000年代のバンドとは思えないですよね。ミック似のボーカルもそうですし、何よりメロディがポップで素晴らしいです。有名なフォロワーにはTHE CRY!等もいますが白浜くん的にどうですか?

白:CRY!好きですよ!けど、現行ならばsonic avenuesとかcrusaders of loveとか好きですね。

宅:sonic avenues!燃えますよね~笑

白:最高す。アルバム全部好きです!ちなみに、CRY!にメッセして音源送ったことがあるんですが、「音が汚い」と言われました笑

宅:ちょっとCRY!が嫌いになりました笑 

白:でもちゃんと良いトコも言ってくれましたよ笑 普通にやり取り出来て嬉しかったです。

宅:僕はthe sleeping~の方がずっと素晴らしいと思ってます。exploding heartsからの影響ってあくまで一部でしかないし、the sleeping~はもっと白浜くんの好きなものをごちゃごちゃにミキサーした感じを受けます。

白:僕らはクソですよ笑 でもそう言ってもらえると本当に救われます!
3枚目:DIIV/oshin
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宅:3枚目は元beach fossilsのギターがやってるDIIVですね!とにかくギターが気持ちいいアルバムですよね。beach fossilsより好きですか?

白:DIIVの方が好きですね!アルバム本当に凄すぎると思います。
宅:the sleeping~を聴いて、70'sのpunkとかpower popがルーツなのかな、と思ってたのですが新しい音楽からも積極的に影響受けてるんですね。

白:ともかく周りの人に負けたくないので色々吸収しなくては!と常々思ってます。でも結局他の人の方が詳しかったりするのでみんな凄いな~といつも思ってます。
宅:近年のインディーポップ、どこの国のも本当に面白いし良いバンドばかりです。

4枚目:the jesus and mary chain/darklands
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宅:ジザメリですか!世間では前作のpsychocandyの方が名盤とされてますが、白浜くん的にはこっちなんですね。理由を教えてください!

白:1stも、というよりはジザメリは全部最高ですが、昔唯一持ってたジザメリの音源がdarklandsでして、めっちゃカッコ良いramonesだな!と思った記憶があります。メロディがramonesなので笑 歌詞とかも好きです。陰鬱だけど救いがある感じで。psychocandyとか聴いたほうがシューゲイザーなんですけど、こっちの方がポップだなーと思います。やっぱり、単に聴きやすいのが好きなんです。

宅:確かにザラついたramones感ありますね笑 MC4のお話の時も感じたのですが、白浜くんは英詞の和訳も目を通すんですね。興味深いです。歌詞の内容で好きになることもあるんですか?

白:尊敬してるバンドの人って何考えてるんだろう?って思うので。歌詞の内容で好きになることも多いです。そしてそのまま自分の歌詞にも引用しちゃうパターンですねー笑
宅:時間も押してますので、最後の1枚いきましょうか!!

5枚目:over head kick girl/demo
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白:ラスト1枚はover head kick girlのデモCDです。札幌の先輩なんですが、間違いなく人生で1番聴きましたね。

宅:お名前しか拝見したことないです。確かMC4の影響下にあったバンドだと認識してます。

白:単にMC4ではないです。なんというか、まだマイスペースとかあると思うんで聴いてもらえれば夢中になっちゃうと思います。ちなみに僕は再結成ライブみたいなやつで信じられないくらい号泣しちゃいました。そのくらい大好きで、影響かは分からないですがああいう風になりたいな とよく思います。
宅:over head kick girl、チェックしてみます!今日はお時間を割いていただきありがとうございました。

白:本当にありがとうございました!!


以上、白浜くんありがとうございました!秋に出る新しい音源と東京でのライブ、楽しみにしてます。ちなみに白浜くんのベストフェイバリットでありますover head kick girlの音源はこちらで聴く事ができますー!


Over head kick girl - インディーズバンド試聴サイトAudioleaf

早すぎたアノラック/sidewalksについて

Sidewalksというバンドが好きだ。
かれこれ5年くらい聴いているだろうか。sidewalksは80年代初頭にアメリカ/ミルウォーキーで活動していた、早すぎたアノラックバンドである。
シャープなリズム隊にペッラペラの単音ギター、ヘボいボーカル。しかしながらメロディは大変キュートであり、曲のアレンジもモッド風だったりモータウン風だったりレゲエ風だったりガレージ風だったりとなかなか気が効いている。様々なジャンルのエッセンスをつまんでおきながら土台にあるのはヘボい歌にペラペラのギター。僕の中ではvaselinesやbeat happeningと同調するアノラックバンドであり、紛れもなくギターポップであるように解釈しているのだ。buzzcocksやdickiesを思わせる歪なファニー感は、初期のsoup dragonsにも通じるところがある。

僕が保有しているのはhyped to deathというパワーポップ系のレーベルから出ている15曲入りの全曲集。前半は前述したようなアノラックチューンが目白押し、後半になるほどパワーポップ然としてくるのが分かる。
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フォーマットはCDRで、ジャケットも黄色い台紙に写真を糊付けしただけの簡素な作りで、非常に愛着が持てる。
もしかしたらやや入手はしづらいかもしれないけど、アノラック史における隠れた名盤であるように思うのです。peach kelli popなんかのファンもマストなアルバムだと思う。よろしく!

And summer clubとフルーツアンドベジーズ

若き大阪の新鋭、And summer clubのデモを聴いている。
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現行のUSインディ(曖昧な言葉だよね)直系のアートワークにグッときて購入、僕好みのポートレート+シンプルロゴ。Summer campの日本デビュー作に通じる素敵なアートワークです。このメンバー不在感、あまり盛り上がってないパーティ感、好き。
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音の方はというと、バンドの持つポテンシャルが全然活かせてないんじゃないか という印象(偉そうにごめんなさい( ;∀;))
Real estate、big troubles、beach fossilsやviolensからの影響を色濃く感じる所謂ビーチポップサウンド。狙ってやってるのかもしれないけど、ベッドルームっぽい籠った録音ではなく、スタジオ練習のガチャ録りっぽい生々しい録音なので、単純に曲が聴きとりづらい瞬間がある。
しかしながら集中して音の粒を聴取すれば、前述したようなバンド直系の煌めくギターポップサウンドはたまらないものがあるし、個人的な好みを分ける"海へ行くつもりのないビーチポップ感"が満載で、もっともっと練り込まれた録音で聴いてみたいと思う。
まあ、あくまでデモ音源なので余計な物言いは無しとしてしまいたいところではあるが、名刺代わりにするなら少し勿体無いと老婆心ながら思ってしまうのであります。なにしろ曲が良いので。
彼らの正式なスタジオ音源が収録されてるという"生き埋めVA"は先程注文したばかりなのでまだ未聴。聴くのが楽しみです。

続いては足利のキュートアノラックバンド、フルーツアンドベジーズのファーストアルバム"フルーツアンドベジーズのいちねんめ"について。
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僕は南栃木出身なので、足利という地にはそれなりの思いがあります(うちの会社も大いに所縁あるし)。そんな場所でcar10等とマイペースに活動する彼女達の自主制作音源。
ボロくてポップで歌心がこぼれ出すアコースティックポップは聴き手を選ばず、子供からお年寄りにまで受け入れられかねない敷居の低さ。ギター以外にもピアニカやたて笛や謎の鈴や鉄琴やバケツ(!)を駆使してアレンジしており、ドラえもんアンパンマン等のアニメ主題歌やローカルCMソングをローファイに緩く表現したかのような自然体のわかりやすさ&ポップさ です。女の子が石ころやガラクタでおままごとする あの眩しい独創性を音楽で発揮しているように思えて何とも微笑ましいく、フレッシュな果物や野菜のように瑞々しいアルバムであります。

以上、2つの若いバンドについての雑感でした。両者やNOT WONKの新曲も入った"生き埋めVA"、聴くのが楽しみ。

呆れるくらいにパンク♡ぐらんぴぃず♡

7月6日に結婚し、新居に引っ越した。職場から程近い新築アパートの2階だ。さぞかし甘い新婚生活が始まることだろうと夢想していた。朝はチューで送り出してもらい、昼は愛妻弁当を食べ、夜は美味しい晩御飯を食べながらバラエティ番組等を見て笑うのだ。お風呂で背中を流してもらって、夜はくっついて眠る。
現実はというと、僕は毎日でひとりで起き、コンビニで朝御飯と昼御飯を調達し、夜はテレビもつけずに冷凍食品のパスタをすすっている。漫画を読みながら眠り、気付いたら朝になっている。何故こんな体たらくになってしまったのか。
答えはシンプルで、平日は嫁が実家に帰っているからだ。
妊婦というものは大変辛いジャンルらしく、仕事しながら妊婦をこなすのはなかなかハードらしい。新居から職場までは車で片道1時間かかるため、平日は職場に程近い実家から通勤し、週末に新居へ戻ってくるという具合である。
世間では"週末婚"と呼ばれている。どうやら僕らはそれらしい。

仕方ない 仕方ない と言い聞かせながら一人暮らしをこなしているわけだが、どうやらこれがなかなか悪くない。何が悪くないって、自由だからだ。大音量でエッチなビデオを見ようが、drop deadを聴こうが、部屋をキンキンに冷やした状態で布団に入ろうが、寝る前にお菓子を食べようが、自由なのである。
想像してみて欲しい、社会人になってから5年だ。3年を実家で過ごし、1年半を熊谷の社員寮で過ごし、半年を嫁との同棲で過ごしている。常に他者と共存してきた身としては、学生時代以来の一人暮らしに興奮を禁じ得ないわけだ。しかも学生時代の後半は当時の彼女と半同棲してたもので、実に7年ぶりくらいの一人暮らし。平日限定ではあるが。
というわけで、真夜中にコンビニに行ったり観ないであろうDVDをたくさん借りてきたり、音楽は大きな音で聴き放題。それなりに楽しんでいる。ただ、ひとつだけ懸念事項がある。お金の話である。
僕は音楽が好きなので、毎月新品中古あわせて音源を15枚~30枚くらい買うサイクルを崩さず生きてきた。17歳くらいの頃からだ。これは最早僕のライフワークであり、日常的にネットやレコード屋さんでディグる事が最大の趣味となっている。
結婚してから僕の収入は"お小遣い"のみとなっており、それがまあ、月に30000円となっている。正直、この金額では今までの購入サイクルを維持することが全くもってできない。2500円の新譜を買うなど相当の決心が必要なのである。ましてや僕はサラリーマンだ、昼御飯だとか飲み会だとか経済新聞だとか様々な費用の一時的な立て替えだとか、怒濤のような出費の波が僕の物欲を押し流すわけである。新しくオープンした大宮のdisk unionで、secret affairのセカンド500円の購入を1時間悩む程だ。事の重大さを理解していただけただろうか。
音楽が好きであるという事は、ましてや、パッケージされたフィジカルな音源のみを嗜好するアナログなリスナーにとって、①音源購入費用の捻出 ②音源を保管するスペースの捻出 ③デートコースにおけるレコード屋さんの選択 (10分だけ見てきていい?という守れない約束)はもはや一生の悩みといっていい。命題である。
僕は今まさにその命題最大の関門、音源購入費用と戦っているわけであります。本当に苦しいです。ましてや嫁は音楽に無関心、レコードはゴミだと思っているわけで…。隙あらば僕のコレクションをブックオフに引き取らせようと狙うわけです。世のサラリーマン諸君はどうしているんだろうか。

話が大きく脱線したわけであるが、そんな一人暮らしの最中だ、それなりに音源を聴いたりネットを見たりする時間はあります。
寝る前にsoulmineの記事を読んでいて、胸が熱くなる名前を発見したわけです。"the grumpies"。熱心に聴いたバンド。
元々僕はポップパンクというジャンルにそこまで精通しているわけではなく、ポップパンクファンのマスト盤を一通りなぞって満足してるくらいの浅いファンであります。grumpiesもポップパンクファンの間では王道中の王道、ポップパンクを少し勉強すればすぐに名前が見つかるバンドであるわけです。
あれは大学生の終わり頃だったろうか、新宿のユニオンパンク館にてplow unitedやsidewalksなんかと一緒にgrumpiesの"who ate stinky?"を購入。とにかく衝撃を受けました。
ハイもローも関係ない、ギターもベースもドラムも融解したギッタギタのジャンクなアンサンブルの上を、常軌を逸したテンションで歌いまくるガキみたいな男女ボーカル。みなぎる無邪気な狂気。しかしメロディは狂おしいほどにポップ。どうやって録音したのか想像もつかない爆発的に汚い音質。どこをどう聴いても最高で、一緒に買ったplow unitedはあまり聴かずじまい。
そして、Grumpiesを聴き進めていくうちにひとつの疑問が浮かぶわけです。
"これ、ポップパンクなの?"
確かに死ぬほどポップだし、呆れるくらいパンク(!)です。だが、その2つをくっつけたポップパンクという言葉で括るとどうも違和感がある。少なくとも僕が聴いてきたポップパンクとは似ても似つかないし、こんなに過剰で初期衝動を感じるポップパンクバンドは聴いたことがない。形式や趣味嗜好より衝動が先に立っている印象を受けた。所謂パワーポップと判別ができないような、3コードにビーチボーイコーラスで様式美を競うポップパンクとは全く別物なのだ。海岸や地名や言語じゃ括れないポップパンクバンド!そんな結びで終わりにしたい。
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『ヤツらの勝手さ!』NOT WONK 加藤くんショートインタビュー

毎度おなじみ流浪のブログ、Anorak citylightsです。

北海道の苫小牧を中心に活動する3ピース インディーロックバンド、NOT WONKをご存じでしょうか。
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高校時代にバンドを結成、現在メンバー全員が10代ながら3枚のデモ音源を発表。目下最新作である"wonk for wonk"においては、Mega city fourとcloud nothingsがポゴダンスを踊るような 蒼いメロディと疾走感が理屈抜きでカッコ良いです。
筆者も何気なく試聴した"not enough"に心奪われ、デモ音源を2枚注文、聴きまくっております。

過去と現在のハイブリットといいますか、既にこの世には無い しかしながら爛々と光を放ち続ける過去の音楽を、今のインディーロックを通過した価値観でもって鳴らす。しかも10代の若者が、です。非常に健全な事であります。音楽の理想的な受け継ぎ方だな~と感動すら覚えたわけです。

音源良かったし話がしたい!って事で、早速 メインソングライターでありギターボーカルを務める加藤くんにインタビューさせていただきました。お時間の関係上長い時間のお話ができずショートインタビューという形になりますが、NOT WONKを10倍楽しく聴くテキストとしてご活用ください!巻末には勿論あの質問もあります。

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(真ん中が加藤くん)
試聴音源はコチラ→ http://soulmine.jp/?pid=76030411
(not enoughのスタジオ音源が聴けます。最高でしょ?)



イチロー(以下、宅):Anorak citylights宅です。ヨロシクお願いします!

加藤くん(以下、加):よろしくお願いします!!

宅:2枚のデモ聴かせていただきました!月並みな感想ですけど、凄く良いです。やっぱり一番先に思い出すのはMega city fourですねー!影響受けてますか?

加:まさにその通りです!一番最初に好きになったバンドでは無いんですが、多大な影響を受けているつもりでやっています笑
宅:そもそもどんな音楽が好きだったんですか?最初からパンク?

加:どこを最初にするかなんですが、小学生の頃に兄がGood charlotteSimple planを聴いていて、今思えばそれが一番初めのパンクとの出会いだったのかもしれません!中学生の頃はELLEGARDENにどハマりしていて、バンドで一番最初にコピーした曲もELLEGARDENの曲です。

宅:あー、2000年代初頭にポップスっぽいパンクのブームがありましたよね。僕もnew found gloryとか聴いてました。では、バンドも初めはコピバンで、そこから徐々に掘っていってMega city fourに出会うわけですね?

加:バンドを始めたキッカケとしては、高校一年生の時に今までやってた野球を辞めて楽器を始めた事です。初めて観に行った地元のライブで 指入れGenMENというパンクバンドを観て、俺もバンドをやらなきゃ!と感化された記憶があります。
宅:指入れGenMENって凄い名前ですね。

加:はい!それから約半年後くらいに自分のバンドで初ライブをしたんですが、そこで 指入れGenMENの白浜くん(現the sleeping aides&razor blades)が別バンドで出ていて、初対面の僕にSEVENTEEN AGAiNのファースト(超名盤!)を貸してくれたんです。そこから白浜くんにメロディックパンクバンドのCDを借りまくって、Mega city fourに行き着きました。
宅:SEVETEEN AGAiNのファーストがキッカケでパンクにのめり込む、凄く今っぽいエピソードです。あれは僕もたくさん聴きました!NOT WONKからはMega city fourの中期からの影響を感じるんです。世間でも評判の初期ではなく、ミディアムテンポの腰を据えた曲がガンガン入ってきたsebastopol RD~magic bulletsくらいの時期。加藤くんはどのアルバムが一番好きですか?

加:実を言うと、Mega city fourはファーストと、去年再発されたsebastopol RDとwallflowerのシングルしか持ってないんです!ファーストは 本当に俺たちパンクバンドだぜ!みたいな感じがして凄くいいんですが、一番好きなのはsebastopol RDかもしれないです。僕はあのアルバムにグラスゴー感を感じていて、色んな音楽的要素が見え隠れしているところがたまらなく好きなんです!
宅:sebastopol RDは所謂メロディックパンクでは決して無く、wizの歌を軸にギターポップネオアコにまで枝葉が伸びている感じがありますよね。あとはNOT WONKなんですが、UKメロディック以外にもUSイーストベイのラフメロディックとか、最近のインディーポップからの影響も感じています。Mega city four以外に影響を受けたバンドについて教えてください。

加:まず、一番最初に挙げたいのはGreen dayです!insomniacくらいまでしか聴けないんですが、ファーストはポップパンクというよりイーストベイだと思って聴いてます。あとは現行のUSインディーバンドですね。よく聴くのはcloud nothings、smith westerns、the drums等です。あとは、スーパーカーのスリーアウトチェンジには結構影響を受けています。

宅:not enoughからは初期Green dayをビンビン感じてました笑

加:あれは完全に、ファーストに入ってるgoing to pasalacquaのオマージュです笑
宅:それと、clod nothings、smith westerns、drumsは納得です。NOT WONKはMega city fourとUSインディーを繋ぐ貴重な存在だと思ってます。スーパーカーは何だか意外です。あんまり日本のバンドっぽさを感じないんですよねー。あ、新しいデモのジャケットにはおとぎ話がいましたが笑

加:スーパーカーくるりはおとぎ話は、日本のバンドの中でも特に好きです。luckyは名曲です!
宅:ありがとうございます。そろそろお時間ですので、こんな感じでショートインタビューを締めたいと思います。貴重な時間をありがとうございました!

加:こちらこそありがとうございます!こんな体験初めてでしたので笑 本当に楽しかったです!

加藤くんの『棺桶に持っていきたい5枚のレコード』

Mega city four/tranzophobia
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green day/1039/smoothed out slappy hour
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cloud nothings/cloud nothings
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literature/arab spring
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the drums/the drums
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加藤くんありがとうございました!次はもっと長くお話しがしたいですね!
アルバムもお待ちしてますよ!!!