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レコードを買ってから開けるまでのドキドキとか、自転車のペダルを加速させる歌や夏の夜中のコンビニで流れる有線など些細な日常とくっついて離れない音楽についての駄文集 twitter ID→ takucity4

NOT WONK加藤くんロングインタビュー

2015年5月20日、KiliKiliVillaより1枚のアルバムがリリースされます。

バンドの名前はNOT WONK。北海道苫小牧に住む若干20歳の若者たちが作り上げたアルバムです。筆者も一足早くアルバムを聴かせていただきましたが、本当にとんでもないものが刻まれてしまっている作品だと思います。この1枚で何か大きなものが変わっていくのかもしれない。そんな予感と可能性に満ちた作品です。

リリース前夜の4月下旬、東京都渋谷区某所にてNOT WONK加藤くん単独インタビューを実施。KiliKiliVillaを主宰する安孫子氏、与田氏、福井氏のお三方に見守られながら程良い緊張感でインタビューはスタートしました。

NOT WONK加藤くんロングインタビュー、最後まで楽しんでいただければ嬉しいです。

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NOT WONK - Laughing Nerds And A Wallflower ...

アルバム発売おめでとうございます。アルバム、毎日聴かせていただいているのですが、恐ろしい出来だと感じています。大きな例えかもしれませんが、The StrokesやArctic Monkeys等、時代の節目に現れては若者の共感を一身に集めるようなスケールの大きい作品になっています。今とても面白い事になってる日本のパンクシーンの可能性を一段と高める事になるなんじゃないか、と思います。

安孫子(以下 安):うひぃーーー!笑

加藤(以下 加):ありがとうございます!今回僕達にとって初めてのアルバムを作らせていただく事になって、まず初めに目指したのは「やりすぎない」という事なんです。アルバムを作るから何か特別な事をしよう、とは思わなかったんです。普段通りのテンションで演奏して、録音をして、ありのままのムードをアルバムに落とし込みたかった。

今回、デビューアルバムにして17曲収録という大ボリュームになっているわけですが、この辺の意図についても教えてください。

加:初めは10曲入りのアルバムにする予定だったんです。デモCDの曲は収録せずに、新曲のみで作る予定だったんですね。というのは「デモCDの曲を入れるとアルバムとしてブレてしまうかも」という思いがあったんです。

ただ、僕が好きなスーパーカーのファースト(スリーアウトチェンジ)が19曲入りだったこともありまして、デモCD収録曲の再録を加えて曲数を増やしたんですね。19曲には届かなかったんですが、収録曲を増やすために『1994』や『Super City Three』、『Bunco』等を新たに書き下ろして録音しました!

新曲と既発曲が全く違和感なく溶け込んでいる事に驚きました。

加:主観的なところで見てしまうと少しはてなマークがつくところも正直あるかもしれません。でも、自分達を全く知らない方々がこのアルバムを聴いていただいた事を想定すると、何の問題も無いと感じています!

17曲も入っていると、曲順を決めるのも大変だった事が想像できます。

加:はい!まず、1曲目の『1994』はアルバムのイントロダクションっぽい曲が作りたくて新たに書いた曲なんです。1994年は僕の生まれた年ですね。弾き語りから始まるのは割とベタかもしれませんが、絶対にやってみたかった事です。

アルバム全体の構成なんですが、抑揚をつける事を意識しました。17曲も入っていると、ちょっと長すぎて最後まで聴けなかったり、中だるみを感じる事もあり得ると思うんです。それは絶対に避けたかったんですね。色々悩んだ結果、新曲を前半に集めて再録を後半に集めました。そうすれば昔から僕達を知っている方も楽しめると思ったんですね。

なるほど。僕はアルバムの前半もそうですが、後半の方がむしろ好きかもしれません笑

加:ありがとうございます!アルバムの最後に『Never Dye It Blonde』という曲が入ってるんですが、僕はどうしてもこの曲を最後に持っていきたかったんです。というもの、僕はリスナーとして「アルバム最後の曲」というものが好きで。デモCDの最後に収録されている『I Know』も元々はそんな思いから作ったんですね。『1994』からアルバムを聴いていただいたら、『Never Dye it Blonde』まで聴いてもらえたら嬉しいです!

既発曲については今回アレンジも大幅に変わっています。

加:既発曲については、ライブでやっているアレンジで録音しようと考えていたんです。ただ、デモCDの曲を収録する事が決まったのはレコーディングが開始してからだったんですね。実のところ、デモCDの曲は最近のライブでもあまり演奏していなくて。ただ、以前の録音より絶対に良くなる自信がありました。僕は自分の音源を毎日聴くんですよ。それこそ登下校の時とか。日頃から頭の中で色んなアレンジを考えていたので、それを煮詰めて具現化したんです。『I Know』は完全に違う曲になったと思います!

ちなみに、『I Know』は安孫子さんにもコーラスで入っていただいています。

女性コーラスの起用には驚きました。

安:凄く効いてるよね。あれによって更に見えてくるものがあるよね。

加:今回のアルバムはコーラスも頑張りました。僕、コーラスが多用されている曲って好きなんです。より曲が輝く感じがします。コーラスはなるべくたくさん入れたいんです。

そして、アルバムはKiliKiliVillaからのリリースです。

加:最初、安孫子さんからアルバムのリリースのお誘いを受けた時は、嘘だと思いましたね!笑 今だから言えるんですが、少し疑いました笑 ただ、お誘いいただく前から、「まとまった音源を作りたい」と思っていたんですね。I Hate Smoke Tapesからリリースしていただいたカセットテープも自分達で録音していたので、次回は誰かの力をお借りしたい願望がありました。

安:タイミングがバッチリ合ったわけだ。

加:お誘い頂いて、本当はふたつ返事でオッケーさせていただきたかったんですけど、少し考える時間をいただきました。

と、いうのもですね、安孫子さんはKiliKiliVillaについて「パンクのレーベル」と表現されて、そこが少しだけ気になったんです。僕たちはパンクが大好きですけど、パンクとは異なる発展性も求めていたので、少し迷ってしまいました。

安:うん、あれはあえてパンクという言葉を使ってみたんだよね笑 パンクの文脈にあるレーベルにしたい、という事だから。

加:パンクは勿論一番好きですし憧れではあるんですが、僕たちが最終的に目指しているのはそこだけではなくて。パンクバンドと評される事は本当に光栄ですが、少し気恥ずかしさもあります。

安:パンク観、音楽観みたいなものを一瞬で共有できればそれでいいんだよね。

パンクシーンに留まり続ける事の面白さも勿論あると思います。

安:うん、それはそれで面白いんだよね。そして、NOT WONKは清純かつあざとくない活動をしていくと思う。でも、多分はみ出てしまう。だから、色んなパンクバンドの子たちと話してもさ、みんなNOT WONKにめちゃめちゃ期待してるんだよね。

加:僕がカッコいいな、と感じているポジションは…例えば、Lostageですね!僕は彼らのアルバムをそれこそ1枚くらいしか持っていないので音楽的に語れるところは多くありませんが笑 大きい会場やフェスも出るし、札幌クラブカウンターアクションでの個人企画にも出ていたりしてとても憧れますね。KiliKiliVillaには彼らにも感じる発展性や間口の広さも内包されているので、最終的にリリースを決めさせていただいたんです。その流れで2014年末のKiliKiliVilla設立記念イベントにも呼んでいただいて。

安:ほんと嬉しかったなあ。

あの時のこと、凄く鮮明に覚えています。(※2014年12月28日KiliKiliVilla主催『不安と遊撃』において、NOT WONKは機材トラブルによりライブを一時中断する憂き目にあっていた。)

安:あの時は泣けたね。アンプのトラブルがあったけど、復旧後のライブが物凄く良くて。加藤君の直情的な部分も見れて、NOT WONKには申し訳ないけど、NOT WONKをもっと好きになった。

加:あの日はですね、そもそも前々日に『Laughing Nerds And A Wallflower』のレコーディングをしてたんですね。レコーディングのための練習も入念にして、バンドの状態はめちゃめちゃ仕上がっていたと思いますし、苫小牧の先輩達からも背中を押してもらって臨んでいたんです。なのに、蓋を開けてみたらアンプが壊れていて、ギターの音が出なくなってしまった。「よりによって何でこんな日に!」って思いました笑 僕はただ自分に腹が立って、情けなくて。

安:みんながあのトラブルすらドラマチックに感じたよ。俺は泣いて震えたね。

加:LINKの柳井さんには「俺はあのまま最後まで音鳴らなくていいと思った笑」って言われました笑 ほんと1日ヘコんでました。

話のベクトルを少し変えさせていただきます。NOT WONKはパンクバンドとしてキャリアをスタートしていますが、所謂パンクリスナー以外からも熱烈な支持を集め始めています。加藤君にとって、今の日本のパンクシーンはどう映っていますか?そして、その中でどうありたいのでしょうか?

加:僕はSEVENTEEN AGAiNが好きでバンドを始めたので、今でもパンクにはとても憧れているんですが、僕には良くも悪くも窮屈に感じる瞬間もあったんです。なので、パンクシーンをもっと広めていきたいし、切り開いていきたいんです!パンクではない音楽シーンにもパンクを受け入れさせていきたいし、パンクのカッコ良さを広めていきたい。

安:加藤くんはスーパー自然体だからねー。去年から日本各地でライブするようになって、色んなパンクシーンを楽しんでいるんだと思う。

加:それですね!そして、僕が思っている事とKiliKiliVillaが思っている事は近しいんだと思います。それは今回リリースされたコンピレーションアルバム(While We're Dead.:The First Year)のメンツから見ても明らかですし。単純に僕の好きな人達ばかりが収録されていますし。今まで僕達と共有できる考えを持っている人達が日本全国にいたんですけれど、接点が無くて繋がってこれなかった。最近になって各地の点が線で繋がりはじめていて、そうなれてきたのはKiliKiliVillaの影響も大きいんだと思います。

安:レーベル初めて本当に良かったなー笑 まだまだこれからです!

加:少し話を戻すと、僕は特定のシーンの方だけに聴いてもらうより、色々なタイプのリスナーの耳に届いたらいいな、と思っているんです!パンクカルチャーに精通していない方にも聴いてもらいたい。それができたらバンド冥利に尽きます。

なるほど。加藤君は北海道の苫小牧という、所謂非文化圏でバンド活動をしてきました。苫小牧という環境が自らの創作に与えた影響って何だと思いますか?

加:東京や大阪等の都市であれば、同じ音楽が好きな人達や同じ考えを持つ人達で集まれるくらいの文化的な土壌があると思うんですけど、苫小牧にはそれが無くて。MEGA CITY FOURはもっての外、GREEN DAYを好きな人でさえ僕は出会えないような環境でバンドをやってきました。やはり「わかってもらえない感」は大いにあるかもしれません。

そんな中で、僕は数少ない先輩方から「バンドとはこうあるべきだ」という事を演奏や音作り、ライブの進め方に至るまで教えていただきました。勿論1から10まで手取り足取り教えていただいたわけではなく、先輩方からの助言を参考にして自分達の音楽に落とし込んでいきました。ライブも頻繁に観ていただいて、常に評価や意見をいただいていました。なので、文化的な側面ではないところで、苫小牧から良い影響を受ける事はたくさんありました。

安:俺がNOT WONK2回目に観たのは2014年のMATSURIの時だったのね。彼らはスタジオライブでの出演だった。スタジオライブはさ、バンドの普段の音作りが丸裸になるから何気にちょっと難しいよね。より意識的な音作りを求められる。最終的にぐちゃぐちゃになってしまうケースも多々ある。でも、NOT WONKはスタジオライブでも音作りが非常に上手かった。これにはほんとビックリした。勢いだけとか、技術の稚拙さに逃げないんだよね。演奏や音作りが真っ当に上手い。

バンドとしての土台、地力がある。

安:そう!苫小牧で徹底的にサウンドメイクの基礎をつけているんだよね。だから、自主音源でもあんなに高いクオリティのものを作り上げることができている。

苫小牧でのバンド活動は非常に恵まれたものであるんですね。

安:うん、本当に恵まれてるんだと思う。

THE FULL TEENZの伊藤君が仰ってた、フジロッ久(仮)の藤原君とNOT WONKのライブビデオを観ていて、「なぜこんなにステージングに貫録があるんだろう」と2人で頭をかしげた話に通じるものがありますね。

安:うんうん。NOT WONKはパンクの持つある種のアマチュアリズムを迎合しないできたんだよね。

加:嬉しいです!結果的に苫小牧での経験でバンドとしての土台ができました。今後も苫小牧を中心に活動して、呼ばれれば日本各地でライブをしていきたいです。そういう形がベストです。

安孫子さんは生き埋めレコーズのコンピレーションアルバム『生き埋めVA』でNOT WONKを知ったんですよね?

安:うん、俺はkillerpass林くんの家で生き埋めVAを聴いたんだよね。あそこに収録されてる『Guess What I'm Thinking』1曲で虜になった。それから通販で購入したデモCDを聴いて、彼らのルーツがMEGA CITY FOURだと知って。もうキュンキュンきた笑 「あー!これ俺の大好きなやつー!」みたいな笑 一緒に作品作りたくなって仕方なくなった。

加藤君、アルバムを制作する上で具体的にインスピレーションを受けたバンドやアルバムはあるんですか?

加:そうですね。僕は皆さんが思ってるより音楽を深く掘れてなかったりするんですよ笑 それこそ今日もずっと自分達のアルバムを聴いていましたし笑 そして、僕は本当に今でもMEGA CITY FOURばかり毎日聴いています。色んな人に、「何聴いてるんですか」って聞かれるんですけど、いつも困ってしまいますね。去年ガッツリハマったのもCirca WavesとLiteratureくらいで。

なるほどです。やはり、MEGA CITY FOURがNOT WONKのルーツを辿る上で最も重要になってくるわけですね。

加:本当にそうです。MEGA CITY FOURって日本では局地的にとても愛されてますけど、イギリス本国では不遇の扱いを受けていたバンドじゃないですか。その辺も興味ありますね。

安:日本でも一時期は忘れられていたと思う。今でこそ再評価が進んでさ、音源も値段が高騰していたりするけどね。20年以上前のバンドだけど、やっぱりあのメロディの美しさに心掴まれるよね。

与田(以下 与):MEGA CITY FOURのファーストって何年のリリースだっけ?

加:1989年ですね!GREEN DAYのインディーデビューと同じ年です。

与:なるほどね。その頃のイギリスはStone Rosesが出てきて、数年間はマッドチェスターのムーブメントが起きていた時期じゃん?イギリスの若者でロックやパンクを聴いてる者なんていなくてなってしまった。みんなテクノ、ハウス、アシッドハウス漬けで。いわばMEGA CITY FOURは当時からすれば時代遅れだったというか。メロディが立っている真っ当なロックンロールなんて過去の遺物みたいに捉えられてたんじゃないかな。

一同:なるほど~!

安:面白いのは、2000年代の日本において、GOING STEADYがカバーした事などでMEGA CITY FOUR初期のカッコ良さを紹介できたと思うんだ。

でも、2010年代のここにきて、NOT WONKがMEGA CITY FOURの中期、ミドルテンポの曲が主流になってきた頃を凄く評価してるでしょ?「ここにきてそこを掘ったか~!」と笑 そこがこう、音楽の面白いとこだよねー。

与:MEGA CITY FOURはさ、80年代のThe SmithsとかNew Orderから継承するものが何も無かったんだよね。Stone Rosesにはそこがあったから。MEGA CITY FOURはUKロックの王道からは外れてしまったわけだよ。デビューがもう少し早かったり遅かったりすれば、また状況が変わったのかもしれない。

ただ、2015年の日本で苫小牧の若者が再びMEGA CITY FOURに光を当てている、それも中期の彼らを笑 面白いねー。

安:MEGA CITY FOURは20年以上前のバンドだけど、年月を超えて本当に素晴らしいです。

与:Stone Rosesにも勿論パンクのアティチュードが根底にあったんだけど、生み出した音楽が全く異なるものだった。UKロックの伝統を引き継ぎながら、ダンスミュージックとのクロスオーバーを果たして全く新しいものを提示したんだよね。それが当時の若者達の気分にガッツリはまった。MEGA CITY FOURは勿論凄かったんだけど、当時の時代のムードにははまらなかったんだね。それこそロンドンのライブハウスがどんどん潰れていったタイミングなんだよ。いかにロックミュージックが下火だったか分かる。

正直、NOT WONKはパンクシーンにおいて異端だと思う。全く新しいものを作っていると思う。でも、パンクが無ければNOT WONKはスタートしていなかった。それはStone Rosesも同じなんだ。だから、NOT WONKにはとても可能性を感じているよ。

今、NOT WONKを好きになったリスナーが、NOT WONKを入り口にしてMEGA CITY FOURを聴き始めてる現象も局地的にですが起こっています。

加:めちゃくちゃ嬉しいですね。バンド冥利に尽きます。wizが報われる。

安:そっか、でもこれからNOT WONKがもっと広がっていけば、その現象は拡大していくわけだもんね。面白いなー笑 けむちゃん、MEGA CITY FOURのアルバム売り払ってる場合じゃないよ笑

僕は彼らの同じアルバムをたくさん持っているので笑 さて、話を本筋に戻します。加藤くんは今回のアルバムでパンクシーン、ひいては日本のロックシーンにどんなインパクトを与えたいと思ってますか?

加:まずは、今回のアルバムを作る上でお世話になった人々に恩返しがしたいです。それは数字で表せるものじゃないかもしれませんが。今回、5月のタワレコメンに選出していただいたり、良い意味で自分が予想外の状況になっていて。

僕は曲を作ってライブができればそれが一番幸せなんですが、今回のアルバムが広がってくれれば単純に凄く嬉しいと思います!もし酷評だったとしても、「じゃあみんなにもっと良いって思ってもらえるものを作ろう」とは思いませんし。先輩方が僕達にとても期待してくれているのも本当に嬉しいんですし、その気持ちに応えることが出来ればいいかな、と。

なるほど。その辺のテンションはメンバー間で共有できている?

加:正直、それはNOT WONKの弱いところで笑  CAR10とか本当に羨ましいと思ってるんですが、NOT WONKはオリジナルメンバーって僕だけなんですよ。ベースのフジとドラムのアキムは10人目くらいのメンバーなんです。

お!では、話は前後しますがNOT WONKの結成秘話をお話しいただきたいです。

加:2010年に結成して、最初はHi-STANDARDとELLEGARDENのコピーからバンドを始めたんです。僕はギターではなくベースを弾いていました。2011年に初ライブをして、その後にFREEKICKっていう先輩のバンドの企画に出させていただきました。その時に、初めてオリジナル曲を披露したんです。そこで初めて自分の曲を評価してもらって。嬉しくてたくさん曲を作っていたら、残念ながら初期メンバーが脱退していったんです。それから何人もメンバーの入れ替わりがありまして。THE SLEEPING AIDES AND RAZORBLADESの白浜くんも一時期NOT WONKのサポートメンバーだったんですよ!笑

安:マジー!?笑

加:白浜君と一緒に数回ライブもやりました。当時彼はTHE SLEEPING AIDES AND RAZORBLADESの前身バンドをやっていて、イーストベイパンクに色々混ぜた感じの音を出していました。カッコ良かったですね~!

白浜君の肩書きは現THE SLEEPING AIDES AND RAZORBLADES、ex-NOT WONKになるわけですね笑

加:本人は嫌がるかもしれませんが笑 それから白浜君もサポートメンバーを卒業して、メンバーが僕ひとりになった時に見付けたのがフジとアキムだったんですね。最初ふたりは普通のお客さんでした。NOT WONKを観に来ていた後輩だったんです。

僕がよく出ているライブハウスの2階がスタジオになっていまして、よく練習で使っていたんです。ある日、隣の部屋からブラストビートが聴こえてきて、覗いてみたら僕の高校のジャージを着た奴がブラストビートを叩いていたんですよ笑

高校のジャージでブラストビート笑  

加:そこから僕が話しかけて、メンバーに入ってもらったんです。フジも僕のメンバー募集の誘いにすぐ食いついてくれて、入ってくれました。現メンバーが固まったのが2013年の5月くらいですね。それからすぐにセカンドデモCDを作りまして。

名作デモ『Wonk For Wonk』の前作ですね!

加:はい!あれはGreen DayとかErgs!に憧れて作った作品ですね。丁度その頃Snuffy Smileのバンドを知るようになりまして。NavelやLong Ball To No-One等ですね。そこからMEGA CITY FOURに行き着くわけです。

その話は置いておいて、そんな感じでふたりとの関係が始まったものですから、正直スタジオとライブ以外で会う事はあまり無かったんですよ。

と、いうことは今回のレコーディング合宿は・・・・・笑

加:はい、ほぼ初めてですね、ふたりと寝泊まりしたのは!笑

安:マジかーーーーーーー!!笑

加:良い経験をさせていただきました笑 ふたりには演奏以外のバンド活動を殆ど任せてこなかったので、これからはその辺もどんどん共有していきたいですね。

もしかして、好きな音楽もバラバラですか?笑

加:最近は共有できるようになりましたけど、以前は正直全く合わなくて笑 フジはニュースクール系のハードコアしか聴きませんでしたし、アキムはフュージョンとメタルを聴いていましたね笑 

それから、僕が白浜君にしてもらったように、自分の好きな音源をふたりに貸すようになりまして、徐々に価値観を繋げていったんです。

安:それにしてもフジくんもアキムくんも加藤くんの持ってくる曲に対する理解度は物凄いからね。面白いなあ。

そろそろ、インタビューも締めに入りたいと思います。

 与:最後に、俺も一言話していい?笑

お願いします!

与:パンクの精神性を持ちながら、高い音楽性を持っているバンドが日本ではしばらくアンダーグラウンドからしか出てきていない気がするのね。特に最近のメジャーなロックシーンにそんなバンド は出てきていない。だから、日本の音楽産業が一巡した今のタイミングでNOT WONKみたいなバンドが出てきたのはある意味必然なんだよね。自分達の方法論、自分達のパンク・アティチュードで、何か大きなものを揺り動かす可能性を秘めたバンドが現れた。みんな潜在的に求めてたんだと思う。

そして、今回のアルバムなんだけど、本当に理屈じゃないものになっているというか。ロックンロールの歴史では、若者がそのままの気持ちで音楽を作り上げた結果、とんでもないものが出来上がってしまう瞬間がある。それはBeatlesだったりStone RosesだったりClashだったりって事なんだけど、狙ってできるものじゃない。「こうなりたい」「ああなりたい」って気持ちだけじゃなくて、「これを伝えたい」という計算の無い本当の気持ちが盤に刻まれた時、結果的にとんでもなく多くの人の心を捉えるんだよね。反対側からモノを見るのでなく、真正面からストレートにとんでもない球を投げるバンド。音楽の知識の深さ等は一切関係なく、「音楽が好き」という純粋な気持ちに訴えかけるバンド。NOT WONKはそういう存在なんだと思う。それがロックのいちばんの魅力でもある、プレスリーの時代からずっとそういうバンドが時代ごとに飛び出してきてるのは偶然じゃないし、今の日本のロックシーンでは本当に貴重な存在。

加藤君、ロックは剥き出しの気持ちを歌った奴が一番偉いし、時代を変えるんだよ。全ては後からついてくるから。

パンクの諸先輩方からの期待を一身に受けているわけですが、今後のNOT WONKが本当に楽しみです。

加:ありがとうございます!本当に恐れ多いですが、自然体で頑張ろうと思います。まずは、アルバムのリリースと反響が本当に楽しみです。

今後もライブだったりリリースだったり色々仕込んでいるので、チェックしてください!

 

 リリースinfo

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NOT WONK “Laughing Nerds And A Wallflower”

2015年5月20日発売
品番:KKV-014 
2,000円(税抜)